松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

「ハラスメントのない職場」というあり得ない仮定

「ハラスメントのない職場」なんてあり得ない 「ハラスメントのない職場」という言葉を耳にすることがある。 それはポスターのキャッチコピーであるときもあれば,宴会における素朴な感情であるときもある。 ここでは「職場」としたが,「世界」や「学校」「…

アラン・ソーカル,ジャン・ブリクモン(田崎晴明,大野克嗣,堀茂樹訳)(2000)『「知」の欺瞞』(岩波書店)を読了

本書を知った契機は,年初に落合陽一氏と古市憲寿氏が,専門外の医療制度について雑誌上でコメントを出したことをきっかけに,ボロカスに叩かれていたことにある。 本書の要諦は,エピローグに記述されている。抜粋すると次のとおりである。 1. 自分が何をい…

数理社会学会監修(2007)『社会の見方、測り方:計量社会学への招待』(勁草書房)を読了

本書は,以下の項目を扱っている。 ・データをつくる ・データの適切さを考える ・データの分布をしらべる ・2つの変数の関連をあきらかにする ・ある1つの社会現象の原因を調べ予測する ・複数の社会現象の因果構造をあきらかにする ・社会学的概念を測定し…

論文が出ました:「私立大学等改革総合支援事業タイプ1選定と教育投資・定員充足の関係」『大学論集』第51集,pp.49-64.

よろしければご批判ください。 ir.lib.hiroshima-u.ac.jp 要旨は次のとおりです。 私立大学等改革総合支援事業タイプ1選定と教育投資・定員充足の関係をパネル・データ分析によって推定することを試みた。具体的には,財務省の言うようなタイプ1選定→教育投…

報告を行います:「EBPMにおける分析方法の応用可能性と課題」@日本高等教育学会第22回大会【6月8日(土)12:15~14:15】

よろしければご批判ください。 Ⅱ-2部会 大学政策 司会:大森 不二雄(東北大学) 12:15~12:35 高等教育政策の現在―幻想の国立大学法人化、解体する分担管理、増殖する政策のインブリーディング― ○羽田 貴史(東北大学) 12:35~12:55 大学改革の副作用に…

【ご案内】2019年度 第1回 大学職員のための(I)Rゼミナール(5月26日(日)開催:広島大学 東京オフィス 408号室)について

開催しますので,以下から申し込みください。申し訳ありませんが,今回から有料にしています。 また,私自身は某全私教協の仕事で伺えませんが,企画にはタッチしています。 今回のキモは,案内文にあるこちらです。 高価なシステムを導入して,高度な分析を…

2019年4月に読了した小説,評論,エッセイ,漫画

仕事が速い人は「見えないところ」で何をしているのか?作者: 木部智之出版社/メーカー: KADOKAWA / 中経出版発売日: 2016/05/20メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る夫のカノジョ (双葉文庫)作者: 垣谷美雨出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2013/10…

竹田一則編著(2018)『よくわかる!大学における障害学生支援:こんなときどうする?』(ジアース教育新社)

標記の本を読了した。 本書は,大学における障害のある学生への就学支援に関する基本的な考え方を個別大学の事例とともに解説したのちに,「こんなときどうする?」をテーマに,視覚障害,聴覚障害,運動障害(肢体不自由),病弱・心身虚弱,内部障害,発達…

【メモと紹介】小林信一(2019)「グランドデザイン答申をどう読むか」『IDE 現代の高等教育』No.609, pp.37-42.

標題の論稿において,近年の"政策誘導"に関してきわめてわかりやすい記述があったので,メモを兼ねてご紹介したい(pp.38-9)。 この事例((引用者注:前段において,高等教育の無償化対象校の選定要件(外部理事と実務家教員の登用)が挙げられている。)は,…

論文が出ました:「私立大学の教職課程における「センター組織」の実際」『大学事務組織研究』第6号,pp.45-53.

残念ながらオープンアクセスではありませんで,有料で頒布する形式になっています。 大学事務組織研究会 » Blog Archive » 大学事務組織研究会「大学事務組織研究(第6号)」 頒布のお知らせ。 抜刷はありませんが,冊子が三冊ほどありますので,仰っていた…

2019年3月に読了した小説,評論,エッセイ,漫画

田舎でロックンロール作者: 奥田英朗出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店発売日: 2014/10/31メディア: 単行本この商品を含むブログ (9件) を見る私の個人主義 (講談社学術文庫)作者: 夏目漱石出版社/メーカー: 講談社発売日: 1978/08/08メディア: 文庫購入: …

論文が出ました:「大学の研究生産とガバナンス」『名古屋高等教育研究』第19号,pp.153-169.

村澤先生,中尾さんとの共著です。 要旨は次のとおりです。 本稿は、大学の生産性の影響要因について、昨今関心が高まっているガバナンスを中心に検討した。その際本稿での方法論上の特徴は、「ゼロのインフレ」への対応である。本稿で扱う大学の生産性指標…

卒業された担当学部の学生のみなさまへのメッセージ

昨日は学位記授与式*1でした。 担当学部の卒業生のみなさまへは,以下のメッセージをあらかじめ送っていました。 Congratulations on your graduation! GC学部を卒業予定のみなさま 教務の松宮です。このたびはご卒業おめでとうございます。 みなさまは一期…

小入羽秀敬(2019)『私立学校政策の展開と地方財政:私学助成をめぐる政府間関係』(吉田書店)を読了

本書は,国による私学助成政策の変化が,地方教育財政にいかなる影響を及ぼしたかについて,政府間関係論を援用しながら分析したものである。 一番の特徴は,高校以下に対して配分される私学助成に焦点をあてたことであろう。 おそらく大学関係者にはあまり…

私の「私の個人主義」体験

以前,以下のような記事を書いたことがあります。 shinnji28.hatenablog.com ここで述べたことは要するに,社会的に恵まれた立場で過ごしてきた自分は,そのメリットを自らだけが享受するのではなく,世の中に返していく必要があるという義務感を覚えている…

野村茂樹・池原毅和編(2016)『Q&A 障害者差別解消法』(生活書院)を読了

標記の本を読了した。 本書は,障害者をめぐる日常生活における制限が,心身の機能ではなく,社会的障がいから生じるという,医学モデルから社会モデルへの転換を前提とした上で,法曹が種々のケースをQ&A方式で解釈を述べたものである。 差別解消法による合…

赤川学(2018)『少子化問題の社会学』(弘文堂)を読了

本書は,少子化問題の,「言ってはいけない」タブーについて,データにもとづき社会学的に分析し,問題を提起するものである。 本書の要諦は,やはり「少子化問題の「言ってはいけない」を論じた第1章であり,一言でいえば,「日本の少子化要因の約9割は、結…

2019年2月に読了した小説,エッセイ,漫画

パレートの誤算 (祥伝社文庫)作者: 柚月裕子出版社/メーカー: 祥伝社発売日: 2017/04/12メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る新装版 星降り山荘の殺人 (講談社文庫)作者: 倉知淳出版社/メーカー: 講談社発売日: 2017/07/14メディア: 文庫この商…

佐藤俊樹(2019)『社会科学と因果分析:ウェーバーの方法論から知の現在へ』(岩波書店)を読了

本書は,ウェーバーが構築した方法論の生成過程を解説し,そのことを通して社会科学における因果分析を包括的に論じようとするものである。 ここでいう方法論とは,適合的因果構成をさす。 適合的因果構成とは,「因果を(a)版事実的に(=半実仮想の形で)…

2019年1月に読了した小説,エッセイ,漫画

国を蹴った男 (講談社文庫)作者: 伊東潤出版社/メーカー: 講談社発売日: 2015/05/15メディア: 文庫この商品を含むブログ (1件) を見る残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか? (光文社新書)作者: 中原淳,パーソル総合研究所出版社/メーカー: 光文…

Stataのコマンドを公開しました

論文が機関リポジトリでオープンになっていました - 松宮慎治の憂鬱 上記論文のStataのコマンドを公開しました。 下記からDL可能です。 松宮 慎治 - 資料公開 - researchmap

論文が機関リポジトリでオープンになっていました

下記論文,機関リポジトリでオープンになっていました. shinnji28.hatenablog.com よろしければこちらからご高覧ください. ir.lib.hiroshima-u.ac.jp

日々の業務を通して見える学生―10年間の経験から―

以下の文章は,4年前に高等教育研究会の依頼によって行った話題提供(2014年度「大学職員フォーラム」に話題提供者として呼んでいただきました - 松宮慎治の憂鬱)によるものです(原文は,『大学創造別冊大学職員ジャーナル』(第18号,pp.52-59., 2015年5…

論稿が出ました:「『グランドデザイン答申』を読む」『関西教職教育研究 』第3号,pp.46-51.

昨年度現所属の大学を退職された今西幸蔵先生が,組織された関西教職教育研究会の発行です. ほぼエッセイ的な内容ですが,ご入用でしたら冊子お送りしますのでご用命ください. 要旨は以下のとおりです. 『学士課程答申』と『グランドデザイン答申』を比較…

佐藤俊樹(1996)『ノイマンの夢・近代の欲望:情報化社会を解体する』(講談社選書メチエ)を読了

つい先日,以下のような技術革新を話題にしてしまったばかりであるが, shinnji28.hatenablog.com 本書はそうした技術革新(「情報化社会」)が単なる幻想=「近代産業社会がその内部にはらんでしまう夢」(p.220)であることを喝破したものである. 「情報…

柳川堯(2018)『P値:その正しい理解と適用』(近代科学社)を読了

標記の本を読了した. データにバラつきがあり,それが確率法則に従って起きることを出発点として,基本的事項から誤用,算出方法,検定,サンプルサイズとの関係等が丁寧に説明されている.P値 ―その正しい理解と適用― (統計スポットライト・シリーズ)作者:…

インターネット以前と,インターネット以後に関する駄文 #平成ネット史

平成ネット史(仮)という番組 1月2日,3日と連夜NHKで放送されていた「平成ネット史(仮)」を見ていた. 前編は主に90年から2005年頃まで,後編は2000年代後半(主としてiPhone以降)が取り上げられていた. 自分の人生に重ね合わせると,中学生頃から「イ…

yahoo!知恵袋で自身のブログが取り上げられている件

数年前の記事がこうして議論の対象になるのは,おそろしいことだと思います. 過去の記事でも,考え方は日々変わるので,今も同じようなことを考えているわけではありません. これは常にそうです. detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

ガート・ビースタ(藤井啓之・玉木博章訳)(2016)『よい教育とはなにか:倫理・政治・民主主義』(白澤社)を読了

標記の本を読了した. もっとも印象に残ったのは,第1章と第2章である. ビースタは第1章でまず,教育は道具的問い(どのように)ではなく,規範的問い(なぜ)のもとに置かれなければならない,と喝破する. 規範的問いがあって初めて道具的問いが成立する…

気力みなぎる状態になるのに1週間かかる

正月から辛気臭い話で恐縮だが、自分は幼い頃から体が強い方ではない。 水泳をしたり剣道をしたりして、体育会を装ってきた時期もあるが、どう考えても体力はない方である。 27日から仕事が休みで、そのあと広島と岡山を経由して29日に実家に帰ったのだが、…