松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

ご案内:「理論とデータから学ぶ大学組織論」(9/29(木)午後,早稲田大学アカデミックソリューション様・2022年度SDセミナー)について

標記のセミナーにおいて,お手伝い(ないし,手がけた分析の一部披露?)をすることになりました。
ご関心おありでしたら,お越しいただければ幸いです。

大学はとても複雑な組織です。たとえば、企業のように「利益の追求」のような単一な目標を目指せば良いわけではなく、多様な使命を負っています。それら複数の使命や目標が、時と場合によっては競合することさえあります。また、大学には、教員と職員そして学生が存在していますが、それぞれに目的も役割も違っており、このような異質な成員によって構成される組織は、社会において一般的な企業組織に比しても、異質であるとさえ言えます。
大学のこうした複雑性の一因は、大学が、営利組織としての企業とは異なり、「公共組織」−他には病院、行政組織など−であることに起因しています。公共組織は、市民のために公平や平等といった理念を実現することを重視しており、かつては大学は主として進学機会の均等や保証が重視されていました。

ただし、皆さんもご存じのように、そうも言っていられない事情も生じています。近年では、18歳人口の減少により、大学生の中核を成す学齢期学生の奪い合いが、国公私の設置者を問わず生じており、企業組織のような大学経営が求められています。また、「教学」への一層の注力のための、ガバナンス・マネジメントも求められ、大胆な改革も断行されました。そして大学の経営・質保証を効果的に進めるために、IR(Institutional Research)等を導入してエビデンスに基づいた組織の運営も求められています。また、設置形態を跨ぐ形での連携・統合も大胆に進行中です。

つまり、今大学は、公共組織としての性質と、企業組織としての性質という極めて異質な、対局とも言える性質を同時に満たす必要に迫られており、その複雑性を増大させています。その複雑性にともすると埋もれてしまい、職員は「大学で一体何をやるべきなのか」がわからなくなることも少なくないでしょう。実際、過去の研究でも「大学とは、組織化された無秩序だ」という言及もあるくらいですし。

このような背景を踏まえ、大学という複雑怪奇な組織を、少しでも理解するために、この講座では、様々な理論やデータ分析の結果に、皆さんと一緒に触れてみようと思います。

seminar.w-as.jp