松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

2018-09-01から1ヶ月間の記事一覧

中室牧子・津川友介(2017)『原因と結果の経済学:データから真実を見抜く思考法』(ダイヤモンド社)を読了

今更ながら?表記の本を読了した。 エビデンスには階層があるという話は印象に残った。 具体的には, 回帰分析→自然実験と擬似実験(差の差、操作変数法、回帰不連続デザイン、マッチング法→ランダム化比較実験→メタアナリシス の順でエビデンスとしての信頼…

ウーバーイーツを使ってみた@神戸

1週間と少し前,ウーバーイーツを使ってみた。 ウーバーイーツとは,素人が色々な飲食店の料理を自転車で運んでくれるサービスであり,アプリひとつで注文が可能である。 www.ubereats.com 大体この手のサービスは東京から始まる。 最初に興味をもったときは…

S.スローター,G.ローズ(成定薫監訳)(2012)『アカデミック・キャピタリズムとニュー・エコノミー:市場,国家,高等教育』(法政大学出版局)を読了

本書では,前書『アカデミック・キャピタリズム』をひいて,今回示すアカデミック・キャピタリズムを次のように定義している。 アカデミック•キャピタリズムとは、外部からの収入を獲得するための市場行動あるいは擬似市場行動の追求と定義することに変わり…

本田由紀編(2018)『文系大学教育は仕事の役に立つのか:職業的レリバンスの検討』(ナカニシヤ出版)

本書は,文系大学教育は仕事の役に立ちうるのであるという,ある面では常識的な仮説を,いくつかのテーマに沿って検討したものである。 本書の重要なところは,単に「役立ちうるのだ」「だから文系不要論はアホなのだ」という単純な因果を描いているわけでは…

早川純貴・内海麻利・田丸大・大山礼子(2004)『政策過程論:「政策科学」への招待」(学陽書房)を読了

本書は,政治学の視点から政策過程分析を論じたものである。 特徴は,実際に政策形成に携わった論者が執筆されていることと,官僚機構における予算編成過程等の分析方法(第4章)と,政策評価やフィードバック(第6章)に関することへの論及があることのよう…

朴澤泰男(2016)『高等教育機会の地域格差:地方における高校生の大学進学行動』(東信堂)を読了

本書は,大学進学率の地域格差が生じるメカニズムを,進学の費用便益分析から描いた。 博士論文が刊行されたものであるので,博論の書き方という視点からも勉強になった。 また細かいところではあるが,新たに知った重要なこととして,進学率を県外進学率と…

渡辺孝(2017)『私立大学はなぜ危ういのか』(青土社)を読了

筆者は金融論が専門であるが,文教大学学園の理事経験があり,その仕事からきた問題意識にもとづき本書を執筆されたようである。 第1部では,戦後の高等教育政策の変遷とその中での位置づけを,第2部では,私立大学経営が抱える構造的な問題を,第3部では,…

日本教育社会学会編(2018)『教育社会学のフロンティア2:変容する社会と教育のゆくえ』(岩波書店)を読了

教育社会学の学問としての歩みを紹介した第1巻を踏まえて,教育社会学のトピックがわかりやすく紹介されている。 取り上げられているテーマとしては,具体的には,教育格差,能力巻,職業観,教師,学校問題,ジェンダー,若者論,子ども,ニューカマー,ネ…

伊神満(2018)『「イノベーターのジレンマ」の経済学的解明』(日経BP社)を読了

本書はご存知,クリステンセンによる『イノベーションのジレンマ』を,経済学的見地から実証的にサポートしたものである。 クリステンセンによるそれは, 「テーマと事例は面白いが、理論も実証もゆるゆるだ。経済学的に煮詰める必要がある」 からである。 …

【ネタばれ無し】クリストファー・ノーラン監督作品(2006)『プレステージ』を鑑賞

競い合う2人のマジシャンを描く作品。 マジックにのめり込むあまり,最終的に互いに狂気にたどり着く。 その狂気は,「人間瞬間移動」をいかにして成功させるかで極まる。 ★★★★☆プレステージ (字幕版)発売日: 2013/11/26メディア: Prime Videoこの商品を含む…

振れ幅の大きさとそのコントロール

振れ幅の大きさ(1)生活 よく,「一度上げた生活水準を下げられない」と言う人がいる。 これは厳しい。 なぜなら,この手の性格だと,生活水準を一定に保ち続けるだけでは満足度が維持できないので,上げ続けるしかなくなるからである。 一方,上げた生活水…

某カードがなかなか脱会させてくれない

実家に帰ると年会費の請求が来ていたので脱会しようと思い電話したのだが,混雑しているとのことで繋がらない。 脱会しようと考えたのは,もう某レンタルビデオ店を使うことは二度とないからだ。 5年くらい使っていなかったにもかかわらず,無駄に年会費を払…

今野敏(2007)『慎治』(中公文庫)を読了

標記の本を読了した。初版は1997年。 しかし,自分がこの作品を知ったのは2007年だと思う。 大学生のとき,友人が「こんなのがあったよ」と写真を送ってくれた記憶がある。 10年越しに読み終わった。 いじめられている中学生が新しい世界を発見しながら強く…

カール・R・ポパー(大内義一・森博訳)(1971)『科学的発見の論理(上)(下)』(恒星社厚生閣)を読了

自分の中で夏の課題図書にしていた標記の本を読了した。 有名な反証可能性概念は早くも上巻の第1章で登場する。 反証可能性とは,「経験的科学体系にとっては反駁されうるということが可能でなければならない」(p.49)ことを指すが,この前提には,反証可能…

山本勲(2015)『実証分析のための計量経済学:正しい手法と結果の読み方』(中央経済社)を読了

標記の本を読了した。 今まで読んだ統計関連の中でもかなりわかりやすい。 おそらく,「実証」に焦点をあてて,具体的とともに解説してくださっているからだと思う。 その目的から,rやstataのコードの記載はない。数式は多少ある。実証分析のための計量経済…

さようなら,メガバンク

初めて作った銀行口座 大学に入学した年,初めて銀行口座を作った。 それが三井住友銀行だった。 2004年当時,他の選択肢は考えられなかった。 親に連れられて,最寄り駅の支店に行き,作ったのである。 以来,アルバイトの振込から始まり,就職してからの給…

日本教育社会学会第70回大会での報告資料について:「私学助成は定員割れ大学を延命させるのか」

標記の報告資料をアップしました。 https://researchmap.jp/?action=cv_download_main&upload_id=173192 なお,本研究の推進にあたっては,以下の資金の助成を受けています。 ・文部科学省機能強化経費「大学における教育研究の生産性向上に関する国際共同研…