松宮慎治の憂鬱

タイトルは友人が考えたもので,某アニメのことはわかりません。

「パッと言えてしまうようなこと」の重要性

「パッと言えてしまうようなこと」 以下の記事を拝読した。 パッと言えてしまうようなことを言ってみる:8月5日朝日朝刊「折々のことば」に寄せて | 群衆の居場所 こちらで述べられていることは,「パッと言えてしまうようなこと」が卑下されつつ,互いに「…

ポイントカード・ハラスメント

「ポイントカードはよろしいですか?」 最近,というよりもずいぶん前から,コンビニやスーパーで精算する前,「ポイントカードはよろしいですか?」と聞かれることが増えた。 いや,「増えた」どころか,ほぼ間違いなく聞かれるようになっている,と言って…

中澤渉(2018)『日本の公教育:学力・コスト・民主主義』(中公新書)を読了

本書は,さらにもう一つ前のご著書『なぜ日本の公教育費は少ないのか:教育の公的役割を考えなおす』(勁草書房)を補完する意味で著されたものである(「あとがき」より)。 社会科学の方法論や専門的知見を広範に引用しながら,公教育の在り方を考える上で…

山本周五郎(1979)『町奉行日記』(新潮文庫)を読了

標記の本を読了した。 表題作の「町奉行日記」のほか短篇が10編収録されている。 周五郎作品で読んだことのないものはないと思っていたが,これは読んだことなかった。町奉行日記 (新潮文庫)作者: 山本周五郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1979/03/26メデ…

学会報告を行います:「私学助成は定員割れ大学を延命させるのか」

以下のとおり(p.49),日本教育社会学会第70回大会(9/3, 4)で報告を行います。 http://www.gakkai.ne.jp/jses/conference/documents/program2018.pdf

Peter Landesman監督作品(2017)『コンカッション』を鑑賞

標記の映画を鑑賞した。 アフリカ出身の医者がNFLの選手のタックルが,重篤な障がいをもたらすことを明らかにし,既得権益と戦うというお話。 実話にもとづくらしく,本当なのかと驚く。コンカッション (字幕版)発売日: 2016/12/14メディア: Amazonビデオこ…

辻村深月(2018)『家族シアター』(講談社文庫)を読了

標記の本を読了した。 7つの短編が収録されているが,そのすべてがスキルフルである。 そのテーマと相まって,限りなく重松清っぽい。家族シアター (講談社文庫)作者: 辻村深月出版社/メーカー: 講談社発売日: 2018/04/13メディア: 文庫この商品を含むブログ…

朝井リョウ(2016)『ままならないから私とあなた』(文藝春秋)を読了した

標記の本を読了した。 2本の中編が収録されている。 ややプロットありき(それで終わり)に見えたのが気になった。ままならないから私とあなた作者: 朝井リョウ出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2016/04/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (7件) を見…

ディル・ドーテン(野津智子訳)(2002)『仕事は楽しいかね? 2 』(きこ書房)を読了

標記の本を読了した。 たしかに面白いのだが,個人的には1の方が上だった。 しかし素晴らしいシリーズであることは間違いない。仕事は楽しいかね?2作者: デイル・ドーテン出版社/メーカー: きこ書房 発売日: 2015/01/20メディア: Kindle版この商品を含むブ…

モチベーションで飯は食えない

peingでいただいた質問 本日,peingで以下のような質問をいただきました。 今猛烈にやる気が出ないのですが、モチベーションを維持するためにどんなことをしていらっしゃいますか? | Peing -質問箱- 回答は次のとおりです。 元々やる気はないタイプなので、…

【ネタばれなし】ウェス・アンダーソン監督作品『グランド・ブダペスト・ホテル』を鑑賞

標記の作品を鑑賞した。 高級ホテルのコンシュルジュとベルボーイの交流を描いた作品だが,時代背景が古く,映像がきれい。グランド・ブダペスト・ホテル (字幕版)発売日: 2014/09/09メディア: Amazon インスタント・ビデオこの商品を含むブログ (1件) を見る

柚木麻子(2012)『けむたい後輩』(幻冬舎文庫)を読了

女子大における,先輩,後輩,幼馴染の人間模様を,女性のプライドと劣等感を鍵に描いた作品。けむたい後輩 (幻冬舎文庫)作者: 柚木麻子出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2016/12/06メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る

吉村昭(1975)『高熱隧道』(新潮文庫)を読了

標記の本を読了した。 昭和11年着工のトンネル工事(超高温のトンネル内,現場を襲う雪崩)のお話。高熱隧道 (新潮文庫)作者: 吉村昭出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1975/07/29メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 40回この商品を含むブログ (41件) を見る

フレデリック・ラルー(嘉村賢州、鈴木立哉訳)(2018)『ティール組織:マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』(英治出版)を読了

標記の本を読了した。 本稿の要諦は,組織モデルの発達段階として,①衝動型(レッド):恐怖による支配 ②順応型(アンバー):官僚制 ③達成型(オレンジ):実力主義 ④多元型(グリーン):ミュニティ ⑤進化型(ティール):生命体型組織の5つを示し,最後の⑤がどのよ…

アルン・スンドララジャン(門脇弘典訳)(2016)『シェアリング・エコノミー』(日経BP社)を読了

標記の本を読了した。 本書が描く「シェアリング・エコノミー」的未来は,次のような状態を指す。 1 おおむね市場に基づく──財の交換が行なわれ新しいサービスが生まれる市場が形成され、より潜在力の高い経済活動が実現する。 2 資本の影響力が大きい──資…

菊澤研宗(2011)『改革の不条理:日本の組織ではなぜ改悪がはびこるのか』(朝日文庫)を読了

標記の本を読了した。 あなたもなぜ,「この組織では,このようなバカな(’不合理な)ことが行われるだろう?」と思うことがあるだろう。 本書は,むしろ実はそれは個人が合理的に行動した結果であることを,新制度派経済学の側面から描くものである。 筆者…

「まずは本務を」論の難しさ

以下の記事を拝読した。 photon28.hatenadiary.jp この手の話題は半ば食傷気味でもあるのだが,いい機会なので自分の考えをまとめておきたい。 「本務ができている状態」は明確に定義できない 上記の記事は非常に示唆的で,本文中に答えめいたものがある。 …

【ネタばれなし】吉村昭(1989)『漂流』(新潮文庫)を読了

標記の本を読了した。 江戸時代の漁師が難破し,10年以上を無人島で過ごすお話。 日本版のロビンソン・クルーソーとも呼ぶべき鬼気迫る作品。 おそらく,実話にもとづくフィクション。漂流 (新潮文庫)作者: 吉村昭出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1980/11/27…

各種お問い合わせは,こちらにお願いします。→ sanjyuumatsu@gmail.com

以前,教職課程や再課程認定関連の照会をいただいていましたが,継続します。 shinnji28.hatenablog.com「大学職員になりたい」というご相談もお待ちしております。 shinnji28.hatenablog.com匿名で相談・質問などをされたい方はこちらへ。 回答はツイッター…

「課程認定申請大学からの事例報告―プロセス,設置の趣旨,教員審査を中心に―」

標記の報告が,『阪神教協リポート』No.41(2018.4.1)pp.67-76.に掲載されています。 抜刷がご入用でしたらご用命ください。

過剰な経験志向と人事異動信仰

はじめに 一般に,大学職員も含めた行政的組織の総合職では,いくつかの部門を定期的に「回す」,いわゆる人事異動が行われているものと思う。 もちろんこの前提は,「人事異動によって経験を得ることが,仕事にとってプラスである」ことにある。 しかしなが…

(2018年度)神戸学院大学におけるWEEKDAY CAMPUS VISITの実施について

以下のとおり実施します。もしよろしければお越しください。 (このブログの読者に,高等学校のステークホルダーがいらっしゃる可能性は低い気はしますが) WEEKDAY CAMPUS VISITを7/16(月・祝)に実施します | お知らせ | 入試情報 | 神…

盛山和夫(2013)『社会学の方法的立場:客観性とはなにか』(東京大学出版会)を読了

標記の本を読了した。 本書は,「社会学はいかにした『学問』たりうるか」(まえがき)という問いにもとづき,社会学の方法的立場についていくつかの側面から照射したものである。 章立ては以下のとおり。 1章 リスク社会における事実性と反照性 1 リスク社…

【残り8日】学術系クラウドファンディング「文系学問は役に立たない?イェール報告の解釈を再考する!」

以下のクラウドファンディングの募集期間が,残り8日となっています。 shinnji28.hatenablog.com 上記の記事でも書きましたように,人文社会科学系でこのような試みがどうスケールするのか興味があります。 また,若く優秀な研究者の待遇の改善や,支援とい…

【ネタばれ無し】ジョン・マッデン監督作品(2016)『女神の見えざる手』を鑑賞

標記の映画を鑑賞した。 キレキレの女性ロビイストが銃規制法案で勝つために色々とがんばるはなし。女神の見えざる手 [Blu-ray]出版社/メーカー: Happinet発売日: 2018/04/03メディア: Blu-rayこの商品を含むブログ (1件) を見る

三谷幸喜監督作品(2011)『short cut』を鑑賞

標記の映画を鑑賞した。 離婚しそうな夫婦がエンストした車を捨てて山道を下っていく話。 見所は,112分が全てワンカットになっているところ。 ネットのレビューの評価は非常に高かったのだが,自分は楽しめなかった。 技術的にすごいのはなんとなくわかる。…

コンラート・パウル・リースマン(斎藤成夫/斎藤直樹訳)(2017)『反教養の理論:大学改革の錯誤』(法政大学出版局)を読了

標記の本を読了した。 本書は,オーストリアの哲学者による新自由主義的大学改革の批判本である。 章立ては次のとおり。 第1章 億万長者になるのは誰か、あるいは知っておかなければならないことのすべて 第2章 知識社会は何を知っているか? 第3章 教養・半…

盛山和夫(1995)『制度論の構図』(創文社)を読了

標記の本を読了した。 構成は次のとおりである。 第1章 制度という問い 1 行動様式と構想力 2 新制度学派 3 市場と組織 4 組織とは何か 5 制度論の課題 第2章 パーソンズにおける秩序問題 1 功利主義的社会理論 2 「秩序問題」のイメージ 3 秩序問題の認識論…

日本高等教育学会編(2018)『高等教育研究』第21集―学生多様化の現在―を読了

リジェクトされてしまった号の学会誌が届いたので読了した。 9割が特集論文であったが,やはり選抜性の効かない「マージナル大学」を取り上げた居神先生の論稿はパンチが効いていた。 ご所属がご近所の神戸国際大学ということで,かなりリアルである。 また…

未来のわからなさを楽しむために―「大学冬の時代」論への異議―

未来のわからなさを楽しむために―「大学冬の時代」論への異議―*1 1.はじめに―こうなることは、前からわかっていた― まあこうなることは、わかっていたことじゃないですか。ぼくの中では少なくとも。ぼくらの中では、売れなくなるのは間違いないと。で、こ…