松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

2018-01-01から1年間の記事一覧

【ネタばれなし】ウェス・アンダーソン監督作品『グランド・ブダペスト・ホテル』を鑑賞

標記の作品を鑑賞した。 高級ホテルのコンシュルジュとベルボーイの交流を描いた作品だが,時代背景が古く,映像がきれい。グランド・ブダペスト・ホテル (字幕版)発売日: 2014/09/09メディア: Amazon インスタント・ビデオこの商品を含むブログ (1件) を見る

柚木麻子(2012)『けむたい後輩』(幻冬舎文庫)を読了

女子大における,先輩,後輩,幼馴染の人間模様を,女性のプライドと劣等感を鍵に描いた作品。けむたい後輩 (幻冬舎文庫)作者: 柚木麻子出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2016/12/06メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る

吉村昭(1975)『高熱隧道』(新潮文庫)を読了

標記の本を読了した。 昭和11年着工のトンネル工事(超高温のトンネル内,現場を襲う雪崩)のお話。高熱隧道 (新潮文庫)作者: 吉村昭出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1975/07/29メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 40回この商品を含むブログ (41件) を見る

フレデリック・ラルー(嘉村賢州、鈴木立哉訳)(2018)『ティール組織:マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』(英治出版)を読了

標記の本を読了した。 本稿の要諦は,組織モデルの発達段階として,①衝動型(レッド):恐怖による支配 ②順応型(アンバー):官僚制 ③達成型(オレンジ):実力主義 ④多元型(グリーン):ミュニティ ⑤進化型(ティール):生命体型組織の5つを示し,最後の⑤がどのよ…

アルン・スンドララジャン(門脇弘典訳)(2016)『シェアリング・エコノミー』(日経BP社)を読了

標記の本を読了した。 本書が描く「シェアリング・エコノミー」的未来は,次のような状態を指す。 1 おおむね市場に基づく──財の交換が行なわれ新しいサービスが生まれる市場が形成され、より潜在力の高い経済活動が実現する。 2 資本の影響力が大きい──資…

菊澤研宗(2011)『改革の不条理:日本の組織ではなぜ改悪がはびこるのか』(朝日文庫)を読了

標記の本を読了した。 あなたもなぜ,「この組織では,このようなバカな(’不合理な)ことが行われるだろう?」と思うことがあるだろう。 本書は,むしろ実はそれは個人が合理的に行動した結果であることを,新制度派経済学の側面から描くものである。 筆者…

「まずは本務を」論の難しさ

以下の記事を拝読した。 photon28.hatenadiary.jp この手の話題は半ば食傷気味でもあるのだが,いい機会なので自分の考えをまとめておきたい。 「本務ができている状態」は明確に定義できない 上記の記事は非常に示唆的で,本文中に答えめいたものがある。 …

【ネタばれなし】吉村昭(1989)『漂流』(新潮文庫)を読了

標記の本を読了した。 江戸時代の漁師が難破し,10年以上を無人島で過ごすお話。 日本版のロビンソン・クルーソーとも呼ぶべき鬼気迫る作品。 おそらく,実話にもとづくフィクション。漂流 (新潮文庫)作者: 吉村昭出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1980/11/27…

各種お問い合わせは,こちらにお願いします。↓ sanjyuumatsu@gmail.com

教職課程や(再)課程認定の照会をいただいてきましたが,継続します(「再」の方はもうないですね)。 【2018年3月までトップに掲載】教職関連,特に再課程認定申請関連のお問合せがある方はこちらへ → sanjyuumatsu@gmail.com - 松宮慎治の憂鬱「大学職員…

「課程認定申請大学からの事例報告―プロセス,設置の趣旨,教員審査を中心に―」

標記の報告が,『阪神教協リポート』No.41(2018.4.1)pp.67-76.に掲載されています。 抜刷がご入用でしたらご用命ください。

過剰な経験志向と人事異動信仰

はじめに 一般に,大学職員も含めた行政的組織の総合職では,いくつかの部門を定期的に「回す」,いわゆる人事異動が行われているものと思う。 もちろんこの前提は,「人事異動によって経験を得ることが,仕事にとってプラスである」ことにある。 しかしなが…

(2018年度)神戸学院大学におけるWEEKDAY CAMPUS VISITの実施について

以下のとおり実施します。もしよろしければお越しください。 (このブログの読者に,高等学校のステークホルダーがいらっしゃる可能性は低い気はしますが) WEEKDAY CAMPUS VISITを7/16(月・祝)に実施します | お知らせ | 入試情報 | 神…

盛山和夫(2013)『社会学の方法的立場:客観性とはなにか』(東京大学出版会)を読了

標記の本を読了した。 本書は,「社会学はいかにした『学問』たりうるか」(まえがき)という問いにもとづき,社会学の方法的立場についていくつかの側面から照射したものである。 章立ては以下のとおり。 1章 リスク社会における事実性と反照性 1 リスク社…

【残り8日】学術系クラウドファンディング「文系学問は役に立たない?イェール報告の解釈を再考する!」

以下のクラウドファンディングの募集期間が,残り8日となっています。 shinnji28.hatenablog.com 上記の記事でも書きましたように,人文社会科学系でこのような試みがどうスケールするのか興味があります。 また,若く優秀な研究者の待遇の改善や,支援とい…

【ネタばれ無し】ジョン・マッデン監督作品(2016)『女神の見えざる手』を鑑賞

標記の映画を鑑賞した。 キレキレの女性ロビイストが銃規制法案で勝つために色々とがんばるはなし。女神の見えざる手 [Blu-ray]出版社/メーカー: Happinet発売日: 2018/04/03メディア: Blu-rayこの商品を含むブログ (1件) を見る

三谷幸喜監督作品(2011)『short cut』を鑑賞

標記の映画を鑑賞した。 離婚しそうな夫婦がエンストした車を捨てて山道を下っていく話。 見所は,112分が全てワンカットになっているところ。 ネットのレビューの評価は非常に高かったのだが,自分は楽しめなかった。 技術的にすごいのはなんとなくわかる。…

コンラート・パウル・リースマン(斎藤成夫/斎藤直樹訳)(2017)『反教養の理論:大学改革の錯誤』(法政大学出版局)を読了

標記の本を読了した。 本書は,オーストリアの哲学者による新自由主義的大学改革の批判本である。 章立ては次のとおり。 第1章 億万長者になるのは誰か、あるいは知っておかなければならないことのすべて 第2章 知識社会は何を知っているか? 第3章 教養・半…

盛山和夫(1995)『制度論の構図』(創文社)を読了

標記の本を読了した。 構成は次のとおりである。 第1章 制度という問い 1 行動様式と構想力 2 新制度学派 3 市場と組織 4 組織とは何か 5 制度論の課題 第2章 パーソンズにおける秩序問題 1 功利主義的社会理論 2 「秩序問題」のイメージ 3 秩序問題の認識論…

日本高等教育学会編(2018)『高等教育研究』第21集―学生多様化の現在―を読了

リジェクトされてしまった号の学会誌が届いたので読了した。 9割が特集論文であったが,やはり選抜性の効かない「マージナル大学」を取り上げた居神先生の論稿はパンチが効いていた。 ご所属がご近所の神戸国際大学ということで,かなりリアルである。 また…

未来のわからなさを楽しむために―「大学冬の時代」論への異議―

未来のわからなさを楽しむために―「大学冬の時代」論への異議―*1 1.はじめに―こうなることは、前からわかっていた― まあこうなることは、わかっていたことじゃないですか。ぼくの中では少なくとも。ぼくらの中では、売れなくなるのは間違いないと。で、こ…

高等教育組織の行動選択とパフォーマンス―『大学四季報』データの活用を中心に―

shinnji28.hatenablog.com 上記に関する報告資料をアップしました。 よろしければご高覧ください。↓ https://researchmap.jp/?action=cv_download_main&upload_id=163041

平成30年5月14日(月)RIHE第1回公開研究会『大学の「可視化」「数値化」再考:東洋経済新報社『大学四季報』を活用した大学組織行動の分析』の資料

以下にアップしています。 松宮の報告部分のみです。 これまで良い場所がなかったので,なんとくいやだったから作るまいと思っていましたが,このためにリサーチマップ作りました。 私立大学等改革総合支援事業タイプ1選定と 教育投資・定員充足の関係 from …

田中明彦(2017)『新しい中世:相互依存の世界システム』(講談社学術文庫)を読了

標記の本を読了した。 本書のキーワードである「新しい中世」は,冷戦終結や欧米の覇権の後退後であるポスト近代を示すものである。 ここでいう「新しい中世」は,ヨーロッパの中世とポスト近代が「似ている」と考えられるところからきている。 どこが似てい…

西川美和監督作品『永い言い訳』を鑑賞

標記の映画を鑑賞した。 バスの事故で妻を亡くした男が,母を亡くした子供たちが邂逅し,誰かのために生きることを知る物語。 永い言い訳発売日: 2017/03/03メディア: Amazonビデオこの商品を含むブログを見る

森絵都(2018)『無限大ガール』(Kindle Single)を読了

部活動の助っ人として「空っぽの自分」を受け入れた高校生にまつわる短編。無限大ガール (Kindle Single)作者: 森絵都出版社/メーカー: Amazon Publishing発売日: 2018/03/20メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る

辻村深月(2017)『ナベちゃんのヨメ』(Kindle Single) を読了

学生時代に愛された渡辺くんこと「ナベちゃん」の結婚相手にまつわる体験。ナベちゃんのヨメ (Kindle Single)作者: 辻村深月出版社/メーカー: Amazon Publishing発売日: 2017/07/14メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る

池井戸潤(1999)『なるへそ』(Kindle Single)を読了

一目ぼれした相手がバスを降りた駅に,「なるへそ」というお店があったということにまつわる短編。なるへそ (Kindle Single)作者: 池井戸潤発売日: 2015/04/20メディア: Kindle版この商品を含むブログ (2件) を見る

辻村深月(2017)『パッとしない子』(Kindle Single) を読了

テレビのアイドルを教えた小学校教師が,昔「パッとしない」と思い,周囲にもそう言っていた本人と再会した短編。パッとしない子 (Kindle Single)作者: 辻村深月出版社/メーカー: Amazon Publishing発売日: 2017/07/14メディア: Kindle版この商品を含むブロ…

デヴィッド・グレーバー(酒井隆史訳)(2017)『官僚制のユートピア:テクノロジー、構造的愚かさ、リベラリズムの鉄則』(以文社)を読了

標記の本を読了した。 本書は文化人類学的な視点から官僚制の強化と両義性を描く。 とりわけ第3章は「規則(ルール)のユートピア、あるいは、つまるところ、なぜわたしたちは心から官僚制を愛しているのか」というタイトルが示すように,我々は結局のところ…

新堀通也(1966)『学歴:実力主義を阻むもの』(ダイヤモンド社)を読了

標記の本を読了した。 本書は,ラベルと実質という2つの側面から「学歴」にスポットライトをあてるものである。 学歴主義の将来として,(1)企業や社会動向から見れば,マス化によって高学歴は必要条件にはなるが十分条件ではなくなる,が,(2)進学傾向か…