反対解釈ってどう考えたらいいの?―品川皓亮(2015)『日本一やさしい条文・判例の教科書』(日本実業出版社)を読了して
標記の本を読了した。まさしく「日本一やさしい」と思う。
第1部が準備編,第2部が条文編,第3部が判例編となっており,ステップアップしながら学習できるようになっている。
自分の仕事に使うことを考えれば,第2部までで十分であった。
ところで,ぼくは以前からわからないことがあった。それは「反対解釈」(p.73)である。
〇民法
(養親となる者の年齢)
第792条 成年に達した者は、養子をすることができる。
この条文は「成年に達した者」についての条文であり、未成年者については何の規定もありません。しかし、この規定の裏返しとして「未成年者は養子をすることができない」と解釈するのが反対解釈です。
この本を読んでも,この疑問は解決しなかった。
論理と命題の考え方からすれば,次の4パターンがありうるはずである。
(1)成年に達した者は → 養子をすることができる
(2)養子をすることができる者は → 成年に達している
(3)成年に達していない者は → 養子をすることができない
(4)養子をすることができない者は → 成年に達していない
(1)を真とするとき,(2)は逆,(3)は裏,(4)は対偶である。
ある命題「p → q」が真のとき,対偶は真であるが,逆や裏は必ずしも真とは限らない。
すなわち,「反対解釈」というのは「p → q」のとき,裏もまた真であると言っているので,論理的にはおかしい。
たしかに,「どのような条文でも常に反対解釈ができるというわけではありません」とあり,幅があるようなのだが,今一つ納得できない考え方である。
どなたか,この点についてどう考えたらよいか,わかる人がいれば教えてください。(根本的に自分の考えが間違っているのかもしれないが)
- 作者: 品川皓亮,土井真一
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2015/01/29
- メディア: 単行本
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RED BULL の CAN YOU MAKE IT? というイベントについて
ぼくの担当している学部の学生がエントリーしているみたいなので,よかったら投票してやってください。
投票締切が2018年2月21日午前7時59分で,24時間に1回投票できるんですが,10,000票を集めたいらしいです。
ぼくのブログがおおむね月間2万PVですので,一週間で5000PV,ありえないですが1PVあたり1名としても,届かないですね。。
canyoumakeit.redbull.com
教職課程再課程認定申請を行う上での書類作成の優先順位
過去の経験から言って,課程認定では手続きの細かい部分に囚われるのではなく,優先順位を検討することが求められると考えている。
提出までの時間は限られている。
それゆえ,極端に言えば全ての書類を璧に整えて提出することは不可能であるという諦めをもちつつ,優先順位の高い作業に資源を投入することが大切である。
提出書類の一覧は,『手引き』p.6のとおりである。
通常の課程認定申請の業務に取り組んだことのある方は混乱するかもしれないが,何の先入観ももたずこの一覧を確認することをおススメする。
通常の課程認定申請と比較したときに,その大半が省略されていることだけをわかっておけばよい。
以上を踏まえて,以下にズバり優先順位を示そう。次のとおりである。
第 1位 様式第5号 実習校からの受入承諾書(学校体験活動を開設する場合のみ)
第 2位 単位互換協定書(再課程認定にあたって新たに締結する場合のみ)
第 3位 新旧対照表(66条の6は不要)
第 4位 様式第4号 教員個人に関する書類(提出対象教員のみ)
第 5位 シラバス
第 6位 教職課程コアカリキュラム対応表
第 7位 外国語(英語)コアカリキュラム対応表(該当大学のみ)
第 8位 学則・履修規程等
第 9位 様式第5号 教育実習実施計画に関する書類
第10位 様式第2号 認定を受けようとする大学の課程の概要
第11位 様式第1号 申請書
第12位 チェックリスト
第1位と第2位の選出基準は,「自大学だけで完結しないもの」である。
たとえば,通常の課程認定で私が真っ先に取り組んできたのは,第1位の「様式第5号 実習校からの受入承諾書」である。
なぜなら,この様式は教育委員会や学校から承諾書をいただくことを求めるものであり,自大学だけで完結しない作業だからである。
限られた時間の中で最優先すべきは,自大学以外にお願いしなければならない仕事となる。
しかし,再課程認定では,学校体験活動を開設する場合のみ提出するとなっているので,多くの大学にとっては無関係である可能性が高い。
逆にいえば,学校体験活動を開設する場合は,真っ先にこの作業に取り組んだ方がよいだろう。第2位もしかりである。
さて,多くの大学にとって本格的に関係するのは,第3位以下であり,特に第3位と第4位は重要である。
第3位の「新旧対照表」は,通常の課程認定でいう「様式第2号(教育課程及び教員組織)」に,新旧の対照が付加されたものである。
私は通常の課程認定では,実をいうと「様式第2号(教育課程及び教員組織)」(今回でいう「新旧対照表」)よりも,今回第4位とした「様式第4号 教員個人に関する書類」を優先してきた。
この理由は,単純に後者の方が作成に時間がかかるからである。
通常の課程認定では,「様式第2号(教育課程及び教員組織)」に掲載する66条の6を除く全ての科目について,「様式第4号 教員個人に関する書類」を提出すればよかった。
それゆえ,当然に時間のかかる「様式第4号 教員個人に関する書類」を優先することになる。
しかしながら,今回の再課程認定では,「新旧対照表」が決まらないと「様式第4号 教員個人に関する書類」を作成すべき対象者がわからない状態になっている。
したがって,自動的に「様式第4号 教員個人に関する書類」よりも「新旧対照表」を優先させなければならない。
以上のことから,今回の再課程認定申請の最大のポイントに焦点化すると,「新旧対照表」にもとづき,「様式第4号 教員個人に関する書類」の提出が求められる教員が誰かを見極めることであると言えるのである。
第5位以下の順位づけは難しい。
上記では,記載内容にそれなりに気を遣う必要があるという意味で「シラバス」を第5位に置いた。
「シラバス」が整えられていれば,第6位と第7位のコアカリはそのまま対応可能だろう。
第8位以下の優先順位は,いったん作業量を基準として順位づけを行ってみたものの,実質的な重要度に大差はないので,個人の好みに応じて順位を入れ替えればよい。
たとえば私は,精神安定のために,最初に提出予定日を記した「様式第1号 申請書」を作るようにしている。
「サルでもわかる教職再課程認定申請」の記事,更新しました
事実上,申請までの最後の更新になるかもです。
shinnji28.hatenablog.com
「再課程認定申請直前のポイントと今後の対応」@東海・北陸地区私教懇
依頼を頂戴して,標記のタイトルで報告をさせていただきました。
東海・北陸地区私立大学教職課程研究連絡懇談会@椙山女学園大学です。
3連休の初日にもかかわらず,参加いただいた皆様には感謝します。
また,椙山の教職員の皆様,および運営事務局の皆様にも大変お世話になりました。
少しでも皆様のお気持ちが軽くなっていれば幸甚です。
なお,資料に一部誤りがありましたので,訂正して再アップロードを行いました(2018年2月11日 23:22最終更新)。
ですので,資料掲載のURLが無効になっていようかと思います。
お詫びして訂正いたします。
当日資料からの修正点は,以下のとおりです。
1枚目:日付
× 2018.02.05
〇 2018.02.1018枚目:タイトル
× 場合わけ(2)の具体例γ 「シラバス」「業績書等」の提出対象とならないとき
〇 場合わけ(2)の具体例γ 「シラバス」「業績書等」の提出対象となるとき19枚目:タイトル
× 場合わけ(2)の具体例δ 「シラバス」「業績書等」の提出対象とならないとき
〇 場合わけ(2)の具体例δ 「シラバス」「業績書等」の提出対象となるとき33枚目:(2)について
× 適性規模
〇 適正規模
また,以下に当日の議論について2点,若干の補足説明をさせていただきます。
(1)旧課程 or 新課程で,担当形態がオムニバスであった場合の,担当者変更等の考え方について
スライドの10枚目から21枚目において,いかなるパターンのときに「シラバス」「業績書等」の提出が必要になるのかをお話ししました。
これについて,旧課程 or 新課程で,担当形態がオムニバスである場合にどう考えればよいのか,というご質問をいただきました。
いただいた質問のケースは,以下のような内容でした。
新課程(2019年度) | 旧課程(2018年度) |
A先生の単独 | A先生,B先生,C先生のオムニバス |
これに対する私の1度目の回答は,「B先生やC先生がいなくなるだけなので,A先生の「シラバス」「業績書等」の提出は不要」というものです*1。
ただ,該当の科目を伺ったところ,その科目は新規事項である「総合的な学習の時間の指導法」であるとのことだったので,そうであれば,担当者交代の有無にかかわらず,「提出が必要」(スライドの13枚目)と回答を訂正して差し上げました。
私の提出パターンに関する場合分けは,広いところから狭いところに入り,最後にただしがき(たとえば例外ケースのようなもの)を記す,という基本的構造を有しています。
この構造がもっともわかりやすいと考えたためです。
それゆえ,私の提出パターンの考え方を採用いただけるのであれば,最初に,新規事項及びコアカリキュラムが策定された事項の場合なのか,そうでないのか,を考えていただく必要があります。
その上で,(1)新規事項及びコアカリキュラムが策定された事項の場合」は,次のような構造をとっています。
①「新規事項及びコアカリ策定事項」ってどれ?→とりあえず,シラバスは全部提出だよ!(スライドの12枚目)
②①のうち,「業績書等」の提出が必要なのは,これだけだよ!(スライドの13枚目)
③ただし,①②は担当者を変更しないことが前提であって,変更するときは新しい人は「シラバス」「業績書等」とも提出する必要があるよ!(スライドの14枚目)
このように,上から順にたどれば必ずわかるようになっています。
加えて,この質問を機に,次のような問いがフロアから生まれました。
すなわち,たしかにこのケースでは(新規事項やコアカリ策定事項でなければ)A先生の「シラバス」「業績書等」は不要なのかもしれない。
でも,もしも旧課程で分野をわけて担当していて,新課程で一人で担当するようになったとしたら,必要なんじゃないの?というものです。
具体的には,「教育原理」を例にとると,次のようなイメージでしょうか。
新課程(2019年度) | 旧課程(2018年度) |
A先生(理念・歴史・思想)の単独 | A先生(理念),B先生(歴史),C先生(思想)のオムニバス |
要は,A先生にとって,歴史や思想の部分は新しい領域なので,審査を受けるべきなのでは?ということだと理解しています。
これは,趣旨を厳密に解釈すれば「そのとおり」ということになると思います。
しかしながら,今回の課程認定の手続きでは,少なくとも大学側が積極的に上記の事実を説明しない限りは,「シラバス」「業績書等」の提出は不要となります。
なぜなら,旧課程において理念・歴史・思想と分担していたのかどうかが,様式から判別できないからです。
たとえば,「A先生(理念・歴史・思想),B先生(理念・歴史・思想),C先生(理念・歴史・思想)」といったように,3領域を全員が担当していて,単に回数を分担していただけなのかもしれません。
でも,この両者の区別は今回の申請書では不可能です。
では,このようなとき,大学に積極的に説明する義務はあるでしょうか?
私はないと思います。
このようなケースの判別をしたいなら,手続きとしては,旧課程と新課程の同一事項で担当者が減ぜられる場合に,旧課程と新課程の双方のシラバス等を提出し,新旧の担当領域を照合する様式を用意しておかなければなりません。
もちろん,倫理的に説明すべきだと判断し,あえて「シラバス」「業績書等」を出すこともできると思われます。
しかし,私なら不要と判断し,限られたリソースを別のところに注ぎます。
(2)事前相談における「貸し借り問題」について
今回,事前相談で多くの大学が受けている指摘を最新情報として取り上げました(スライドの29-32枚目)*2。
私はこれを「貸し借り問題」と名づけました。
詳細についてはスライドの図を見ていただければと思いますが,エッセンスは,
・「借り元のB学科が,B学科開設科目の「日本史」を「教科に関する専門的事項」として置いている場合,貸し先のA学科は,B学科から「日本史」を借りて「教科に関する専門的事項」には置けない。」
と同時に,
・「借り元のB学科が,B学科開設科目の「日本史」を「教科に関する専門的事項」として置いていない場合,貸し先のA学科は,B学科から 「日本史」を借りて「教科に関する専門的事項」に置くことができる。」
というもの。
・この前提は,①同一の教科の認定を受けている学科等同士であり,② A学科等の学則等に当該科目が規定されていない,こと
です(スライドの29-30枚目)。
これに関して,現段階で私は以下のような見解をもっています(スライドの32枚目)。
・改めて「「共通開設科目」の取扱いについて」(平成22年3月23日事務連絡)を見てみると,上記のようなことは読み取れない気が……
・同事務連絡の別紙1の1.②では,共通開設の例として,以下がある「学則又は履修規定等において、一の学科等の授業科目として規定されている科目を、他の学科等における教科に関する科目としてあてる場合」
・ここに定められているのは,「借り元」の学則等に何らかの形で科目が規定されていることだけではないか。すなわちそれが「教科に関する専門的事項」なのか,そうではない,たとえば教職とまったく関係ない科目なのかという限定はなされていない
→上記のような対応を正とするには,この記述について,「借り元」に「教科に関する専門的事項」として配置されていれば×,逆に配置されていなければ○,という下位条件を足す必要があるのでは
また,対応するかどうかに関しては,
・今回の再課程認定では,該当する大学も現状のまま 出すしかない,というのが私の意見
→この問題を今から修正するより,提出に集中した方がよい
という私見をお示ししました(スライドの31枚目)。
この私の意見を受けて,「本学は対応しようと思って調整に入ったのだが,なぜそのように思われるのか?」という趣旨のご質問を頂戴しました。
これに対するご回答は,
・根拠が今一つ見えない
・再課程認定自体への影響は薄い(対応しなかったからといって,認定されないことはない)*3
・変動可能性が大きい(最終的にどうなるかわからない要素が多すぎる)
の3点から,脊髄反射的に対応するのは私なら避けるというものでした。
以上についてもう少し補足させていただきますと,もしも根拠が示されないのであれば,大学としては対応できないとお伝えすればよいです*4。
「文科省に指摘されたから(でも,根拠はない)」という理屈で,学内の調整が可能でしょうか。
少なくとも,私なら自分が理解・納得していないものを説明できません。
そのような仕事をしていると,「教職課程はいつもややこしいことばかり言ってくるな。しかも根拠もないし。もう辞めてしまおう」ということになりかねません*5。
また,このケースでは行政側も根拠を示す必要があると思いますので,「根拠を明示できないなら対応できないです」とお伝えすることによって,状況が好転すると考えられます*6。
以上の「貸し借り問題」については,そもそも「貸し借り」を使っている大学と使っていない大学があるので,使っていない大学にとっては前提が共有しにくい部分もあると思います*7。
ただ,使っている大学にとっては,教職課程認定基準におけるいわゆる「みなし専任教員」規定にも影響してしまって,これ次第で必要専任教員数を下回る可能性があるという,きわめてシビアな問題です。
私の現時点の見込みでは,学則の体系を整備することによって技術的にクリアできるだろうという気持ちがしています。
またもちろん,既述のように変動可能性が大きいので,完全なちゃぶ台返しとなる事態も起こりえます。
したがって,これを理由に取り下げ等を検討する必要はなかろう(というか,しないでほしい)と感じています。
補足は以上です。
内容について,ご意見・ご批判あればいつでも頂戴できれば幸いです。
#椙山女学園大学
*1:『質問回答集(平成30年1月9日最終更新版)』No.539にも同様の質問と回答があることを,追って確認済です。
*2:この問題については,2名の他大学の友人からレビューをいただきました。御礼申し上げます。
*3:ただし,通常の課程認定では別です。ここには影響がありますので,3月の提出までに文科省との折衝および学内調整に目途をつけねばなりません。
*4:事前相談の当日も,根拠は明示されなかったというお話でしたので。ただ想像するに,行政サイドの理屈としては,これは新しい解釈ではなく,「今までも本当はそうだった」ということなのだと思います。しかしその場合でも,やはり根拠を明示する必要はあると考えます。根拠を導出できないのならば,既述のように従来の共通開設の考え方に下位条件を付す等,新たな情報提供が欲しいところ。
*5:私は自身の所属が開放制の一般大学であることから,個々の学部に嫌がられないことをかなり大事にしています。要は,嫌がられないことがまず先にあって,「お,教職課程もうちの学部の学生にとっていいよね」と思ってもらう,そのことによってまた協力してもらう,という正のサイクルを作りたいのです。
*6:私ならけんか腰の交渉はしません。全てのアクターを平等に扱い,協働するというのが自身の価値観だからです。このような指針をなぜ今,このタイミングで動かし始めたのか,その背景や趣旨を併せて確認する等して,建設的な議論を行います。そしてそうした行動様式こそが,双方にメリットをもたらすと考えます。
*7:本学もそうなので,最初はよくわかりませんでした。
浅田次郎(2016)『帰郷』(集英社文庫)を読了
標記の本を読了した。戦前・戦後の苦しみの中に生き抜いた多様な「帰郷」を描く。
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新田次郎(1971)『八甲田山死の彷徨』(新潮社)を読了
標記の本を読了した。
日露戦争手前の青森において,青森歩兵第5聯隊と第31聯隊が,訓練のため雪の八甲田山を行軍し,遭難する物語。
リアリティがすごい。名作。
- 作者: 新田次郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
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