松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

反対解釈ってどう考えたらいいの?―品川皓亮(2015)『日本一やさしい条文・判例の教科書』(日本実業出版社)を読了して

標記の本を読了した。まさしく「日本一やさしい」と思う。
第1部が準備編,第2部が条文編,第3部が判例編となっており,ステップアップしながら学習できるようになっている。
自分の仕事に使うことを考えれば,第2部までで十分であった。

ところで,ぼくは以前からわからないことがあった。それは「反対解釈」(p.73)である。

民法
(養親となる者の年齢)
第792条 成年に達した者は、養子をすることができる。


この条文は「成年に達した者」についての条文であり、未成年者については何の規定もありません。しかし、この規定の裏返しとして「未成年者は養子をすることができない」と解釈するのが反対解釈です。

この本を読んでも,この疑問は解決しなかった。
論理と命題の考え方からすれば,次の4パターンがありうるはずである。
(1)成年に達した者は → 養子をすることができる
(2)養子をすることができる者は → 成年に達している
(3)成年に達していない者は → 養子をすることができない
(4)養子をすることができない者は → 成年に達していない

(1)を真とするとき,(2)は逆,(3)は裏,(4)は対偶である。
ある命題「p → q」が真のとき,対偶は真であるが,逆や裏は必ずしも真とは限らない。
すなわち,「反対解釈」というのは「p → q」のとき,裏もまた真であると言っているので,論理的にはおかしい。
たしかに,「どのような条文でも常に反対解釈ができるというわけではありません」とあり,幅があるようなのだが,今一つ納得できない考え方である。
どなたか,この点についてどう考えたらよいか,わかる人がいれば教えてください。(根本的に自分の考えが間違っているのかもしれないが)




日本一やさしい条文・判例の教科書

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