松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

サルでもわかる教職課程再課程認定申請――の,核となる部分。「シラバス」「業績書等」の提出パターンについて――

まことに申し訳ないのですが,「サルでもわかる教職課程再課程認定申請」,書けなさそうです。

―――以上,2018年2月12日(月)に追記, さらに2月16日(金)に修正――――

標記の件について,以下のとおり報告します。
ご存知のように,文部科学省による教職課程再課程認定等の全国説明会は,8月28日(月)の中部•北陸ブロック(名古屋会場)をもって終了しました。
これにより,基本的な行政手続きが確定されました。現時点の質問回答集の数は644にのぼり,その一部は7月10日(月)の東京ブロック以来,そのつど更新ないし変更が行われています。
今後も細かい変更はありうるものの,マイナーチェンジに留まるものと思われます。
その上で,私は全国の私立大学の教職課程および文部科学省(加えてその両者間)の行政手続きコストをできるだけ小さくしたいという思いを持っています(持ってきました)。
この理由は2つあって,1つは教育研究へ割かれるコストをできるだけ減らしたくないということです。
もう1つは,今回の法改正では教職課程の量と質の関係(すなわち適正規模)に関する議論がほとんどなされていないように見えるが,その一方で量が「なんとなく」減ってしまう雰囲気があることに抗いたいということです。
誤解のないように書いておきますが,私は手続きの重要性は理解していますし,文部科学省に批判的な気持ちもありません。
この国の教員養成や教師教育に微力とはいえ貢献できないかと常に思っていて,かつその義務や責任が自分にはあると考えているわけです。
(理由2つはいずれも,「サルでもわかる」の本編では最後のおまけとしてお示しするつもりです。また義務と責任の話は,簡単に言えば恵まれている人間や何かを学んだ人間は,それを自分の利益に留めない義務があるという価値判断をしているという趣旨です。ちょっと表現くどいですね,すいません)
そして再課程認定を見据えながら,ここ3年くらいは過ごしてきました。
しかしながら,今回の誰が悪いわけでもないスケジュールの大幅な後ろ倒し,そして普段の業務(さらにはプライベート,ていうか大学院)に7,8月は大幅に時間を割かなければならなかったこと,等によって,予告していた『サルでもわかる再課程認定申請』の執筆が進んでいません。
まあ,絶対に使いたくない言葉なのですが「バタバタしてた」ということです。今も学生ボランティアの引率のためにフェリーにのっている時間で,これは予約投稿です。そして更新講習(教職担当者の夏の仕事はこれがあるので…書き散らし氏の更新が滞っているのも基本これが理由でしょ笑),プライベートな査読論文…このままでは倒れる。忙しいアピールと笑ってください。

くだらない前置きはさておき,「サルでもわかる」の核となる部分は完成しましたので,先んじて公開したいと思います。
これ以上お待たせすると,趣旨が達成されませんので。
今回の最大のポイントは,「省略」です。このため,一体何が省略されて,何が省略されないのかを正確に把握する必要があります。
そうでないと,提出に行ったその場で抜けがあり,即終了ということになりかねません。
通常の課程認定の方が「全部出す」ので,わかりやすいとすら言えます。
再課程認定の手続き全体では,まずそこがややこしいところだと思っています。

以下は全て,松本顕一氏(京都産業大学)のレビューを受けました。彼に質問したり,議論したりすること,またフラットかつスピード感ある関係性の中で,気づけたことが多くありました(ていうか今も現在進行形であります)。
またお名前を挙げることはできませんが,もう1名の方にもレビューをいただきました。
記してお2人に感謝の微意を表します。

シラバス」「業績書等」の提出が求められる範囲はどこか?

以下(1)(2)(3)のように,場合わけを行って考えるとわかりやすい。
(1)「新規事項及びコアカリキュラムが策定された事項」の場合
(2)「新規事項及びコアカリキュラムが策定された事項以外の事項」の場合
(3)(1)が(2)に干渉してくる場合


(1)「新規事項及びコアカリキュラムが策定された事項」の場合

 基本的には,以下の3つ。

1. 旧「教職に関する科目」のうち,「教職実践演習」を除くすべて
2. 旧「教科に関する科目」のうち,「小学校の外国語」「中学校・高等学校の英語」
3. 新規事項のうち,「幼稚園の領域に関する専門的事項」(今回の再課程認定で,旧「教科に関する科目」から変更するパターンのとき。経過措置により,タイミングを後ろ倒しすることも可能である)
 
 このうち,「シラバス」「業績書等」の提出の要・不要の組み合わせは,『教職課程認定申請の手引き(平成31年度開設用)【再課程認定】ver.H30.1.15 送付版』のp.7のとおりである。端的に言えば,上記の3つを対象とすると,「シラバス」は必ず提出しなければならないが,「業績書等」の提出が求められる科目は限られる。具体的には,次のとおりである。

1. 「幼稚園」の,「領域に関する専門的事項」のすべて【新規事項】
2. 「小学校」の,旧「教科に関する科目」のうち,「外国語」【コアカリ策定事項】
3. 「小学校」の,旧「教職に関する科目」のうち,「外国語の指導法」【新規事項】
4. 複合科目【新規事項】
5. 「特別の支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対する理解」【新規事項】
6. 「総合的な学習の時間の指導法」【新規事項】
7. (養護教諭栄養教諭の)「道徳、特別活動及び総合的な学習の時間に関する内容」【新規事項】
8. 大学が独自に設定する科目(新設科目)【新規事項】
9. 「中学校・高等学校の英語」の旧「教科に関する科目」のうち,科目区分(施行規則に規定する科目及び事項)「英語文学」に配置する科目【「同一事項名称」でなくなるため。】

 ただし,この「シラバス」「業績書等」の提出の要・不要の組み合わせは,科目の担当教員が変更されないことを条件としている。担当教員が変更されるときは,上記にかかわらず「シラバス」「業績書等」は必ず提出することになる。
 なお,「7.」については,新旧の開設形態によって提出パターンが場合わけされている『教職課程認定申請の手引き(平成31年度開設用)【再課程認定】ver.H30.11.15 送付版』のp.10のD)。この場合わけでは,総合的な学習の時間に関する内容を担当する教員については,開設形態にかかわらず「シラバス」「業績書等」の提出が省略できないことを説明しているものと思われる。


(2)「新規事項及びコアカリキュラムが策定された事項以外の事項」の場合

・担当者を「名称(施行規則に規定する科目及び事項)」*1の枠というグループ(チーム)として考えて,
・グループ(チーム)のメンバー構成が変わると,追加された新規メンバーは(その全ての担当科目について),「シラバス」「業績書等」の提出対象となる
・逆に,メンバー構成がそのままであれば,授業科目を新設しようが削除しようが,名称変更しようが,「シラバス」「業績書等」の提出対象とならない

 つまり,「新規事項及びコアカリキュラムが策定された事項以外の事項」の場合は,「名称(施行規則に規定する科目及び事項)」をグループ(チーム)とした,担当者の構成だけが提出書類を判別する上で問題になる。また,「シラバス」だけを提出する,といったことはありえず,必ず「シラバス」「業績書等」の提出はセットである。

(3)(1)が(2)に干渉してくる場合

 上記(1)(2)以外の第3のパターンとして,(1)が(2)に干渉してくるケースがある。具体的には,以下の2つである。
①(1)において「業績書等」の提出が求められ,かつ当該教員がたまたま(2)に含まれる科目を同時に担当している場合
→(1)(2)を併せた担当科目全てを「業績書等」に列挙することになる。このような場合においては,審査対象となるのは(1)の科目のみである【質問回答集:平成30年1月9日版,No.386】
②(1)の「中学校・高等学校の英語」の場合
→(1)の枠組みにもとづいてまず,科目区分(施行規則に規定する科目及び事項)「英語文学」に配置する科目は,当然「シラバス」「業績書等」を提出する必要がある。しかしこれに加えて,(2)の枠組みにもとづいた「シラバス」「業績書等」の提出要・不要を判断しなければならない

※最終更新日:2018年2月12日(月)

更新日 変更内容
0 2017年 9月 7日(木) 新規作成
1 2017年10月10日(火) 3. 「小学校」の,旧「教職に関する科目」のうち,「外国語の指導法」【新規事項】 3. 「小学校」の,旧「教職に関する科目」のうち,「外国語の指導法」【コアカリ策定事項】 正確を期す修正。場合わけ(1)のうち,「業績書等」の提出を求められる科目に関する部分。
2 2017年10月10日(火) 新「大学が独自に設定する科目」のうち,旧「教科(養護、栄養に係る教育)又は教職に関する科目」に位置づけられている科目, 新「大学が独自に設定する科目」のうち,旧「教科又は教職に関する科目」 正確を期す修正。場合わけ(1)の補足部分。
3 2017年10月10日(火) (1)の「中学校・高等学校の英語」の場合 (1)の「中学校・高等学校の英語」で,2019年4月に新カリキュラムをスタートする場合 正確を期す修正(「カリキュラム」は無関係)。場合わけ(3)の②部分。
4 2017年10月10日(火) (1)の枠組みにもとづいてまず, (2)(1)の枠組みにもとづいてまず, 余計な文字が残っていたので削除。場合わけ(3)の②の矢印以降部分。
5 2017年11月13日(月) ただし,この「シラバス」「業績書等」の提出の要・不要の組み合わせは,科目の担当教員が変更されないことを条件としている。担当教員が変更されるときは,上記にかかわらず「シラバス」「業績書等」は必ず提出することになる。 ―(記述なし)― 場合わけ(1)に追記。
6 2017年11月13日(月) ―(削除)― 以上のことから,補足的に述べれば,新「大学が独自に設定する科目」のうち,旧「教科(養護、栄養に係る教育)又は教職に関する科目」に位置づけられている科目, 「養護に関する科目」「栄養に係る教育に関する科目」は,「シラバス」「業績書等」の提出は求められない。  場合わけ(1)から削除。
7 2017年11月13日(月) 『教職課程認定申請の手引き(平成31年度開設用)【再課程認定】ver.H29.11.2 送付版 『教職課程認定申請の手引き(平成31年度開設用)【再課程認定】ver.H29.7.7 初版 出典をアップデート。
8 2017年11月17日(金) なお,「7.」については,新旧の開設形態によって提出パターンが場合わけされている『教職課程認定申請の手引き(平成31年度開設用)【再課程認定】ver.H29.11.2 送付版』のp.10のD)。この場合わけでは,総合的な学習の時間に関する内容を担当する教員については,開設形態にかかわらず「シラバス」「業績書等」の提出が省略できないことを説明されているものと思われる。 ―(記述なし)― 場合わけ(1)における「(養護教諭栄養教諭の)「道徳、特別活動及び総合的な学習の時間に関する内容」【新規事項】」に関する,H29.11.2送付版手引きの「条件」に関する解説を付記
9 2018年2月12日(月) 変更内容の「8」について,新旧の記述が逆であったので修正
10 2018年2月12日(月) 『教職課程認定申請の手引き(平成31年度開設用)【再課程認定】ver.H30.1.15 送付版』 『教職課程認定申請の手引き(平成31年度開設用)【再課程認定】ver.H29.7.7 初版 場合分け(1)。手引きのバージョンを更新。
11 2018年2月12日(月) 省略できないことを説明している 省略できないことを説明されている 場合分け(1)の,「なお」以降。日本語表現を修正。
12 2018年2月12日(月) 質問回答集:平成30年1月9日版,No.386 質問回答集:平成29年8月28日版,No.379 場合分け(3)。質問回答集のバージョンを更新。
13 2018年2月12日(月) 冒頭に説明等を追記。


以上です。
ちなみに,上記を考え始めたきっかけは,現行法から大きく変わる部分はわかるけど,あんまり現行法から変化のない旧「教科に関する科目」の部分の手続きがよくわからないな,と感じたことにあります。
私は上記がわかりやすいけれど,人によって合う,合わないはあるかもしれません。
万が一間違いがあれば,ブログトップの連絡先等で教えていただけると助かります。もちろん,ご質問もどうぞ。
「ご利用は自己責任で」という気はないです。
このようなものを公開している以上,第一義的な責任が自分にあるのは当たり前だというのが私の意見です。という程度の腹はくくっています。
しかし,少しずつ分担しながら,みんなで乗り切れると嬉しいというのが思いです。

*1:ここでいう名称は科目名称ではない。法律上の科目区分である。