松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

宮本常一・安渓遊地著『調査されるという迷惑―フィールドに出る前に読んでおく本』(みずのわ出版)を読了

標記の本を読了した。
この本は,フィールドワークを行うにあたり,現地の方にいかに迷惑をかけてきたか,また迷惑をかけるとしたときにどのような迷惑のかけかたがありうるのか,といったことについて述べられている。
具体的には,「「調査をしてやる」という意識」(p.25)で研究を行ったり,現地の物品を資料として借りておきながら返却しない「略奪調査」(p.60)等が挙げられている。
また最終章では,「「研究成果の還元」はどこまで可能か」として,たとえば報告書を郵送するといった行為には一定の限界があること,また本来であれば,調査する側とされる側という二項対立ではなく,ある意味で一体となり,「研究成果の還元」が死語となることが望ましい(p.111)と論じている。
本書が扱っているのはフィールドワークなので,自身が用いている方法とは異なるが,調査されることの迷惑という点は共通している。
自身も修士のときに二度調査を行ったが,実際のところ迷惑をかけずに調査することや,さらにそれを協力者に適切に還元することは困難である。
なので,このような「迷惑」を肝に銘じながら,調査はできるだけしない(公表されているデータを二次利用する)ということを考えている次第である。

調査されるという迷惑―フィールドに出る前に読んでおく本

調査されるという迷惑―フィールドに出る前に読んでおく本