松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

計量化する社会はダメか?―中原淳先生のブログを読んで

少し前ですが、こちらの中原先生のブログを拝読しました。
NAKAHARA-LAB.NET 東京大学 中原淳研究室 - 大人の学びを科学する: 業績社会化・計量社会化する「世の中」で、間違った方向に「成果」を出さないためには!?
中原先生は、こちらの記事で業績化・軽量化する社会を批判的に捉えられています。
私もふんふんと思いながら拝読していて、「そのとおりである。さすが中原先生」といったことを感じていたのですが、今通っている大学院では、そのように誰かの意見を全面的に肯定することはあまり歓迎されません。
常に批判的な視点を持つように言われます。
ということで、あえて(あくまでも「あえて」)この意見に反駁することを試みたのですが、実際にはかなり難しい営みでした。

最近になりますと、さらに惨い事態も進行しているようですね。噂によりますと、「指導受け入れした大学院生の数」「学位取得させた大学院生の数」すらも、業績・計量化し、ポイント化する大学があるのだとか、ないのだとか。噂なので、本当のところは知りません。

こちらの記述は、明らかに私も所属している広島大学のことですね(笑)
このページにかなり具体的なことが書いてあります。
徹底した大学のモニタリング | 広島大学

広島大学は、10年後に世界top100の大学となること、および、研究と教育の両面において大学として最大の結果を出すため教員を適切に配置できるようになることを目指しています。
この目標を達成する道筋を明確にするために、本学独自の目標達成型重要業績指標A-KPI(Achievement-motivated Key Performance Indicators)を設定しました。

KPIは、企業等において、目標達成の度合いを数値化する業績評価指標として用いられます。
大学におけるKPIとしてどのようなものを設定すべきなのか、大学経営企画室で検討してきました。その結果、世界top100の大学として備えているべき数値を10年後の目標値に設定し、それをポイント化する、という概念を考案するに至りました。

本学のA-KPIには二重の仕掛けを込めています。
一つは、本学が世界top100になるまでの達成度のモニタリングとしての仕掛けです。
もう一つは、各教員の教育や研究の担当分を数値化することにで、総合研究大学である本学で、さまざまな分野の教員を適切に配置するための尺度としての仕掛けです。
具体的には、次のように教員の担当をポイント化しています。(以下略)

これを読んだ時に思ったのは、まず自分とセンターの先生方のことですね。
この文章を読むと、ああ自分はM1の学生なので、主指導の先生には自分によって5ポイントが入ってくるのだな、とかそういうことを思ってしまいます。
逆に、先生方にそういうことを意識されてもいやですね。まあされることはないとは思うのですが、、もしも「こいつに博士の学位を与えたら120ポイントが、、」とかそういう話になってくると、結構世知辛い雰囲気になるなと感じます。
一方で、10年後に世界top100の大学に入る、そのためにこうする、といった高い目標そのものはいいと思うんですよね。
大学ランキングの抱える問題は捨象しても、要は世界と戦える大学になりたいんだということでしょう。
こういうことがよかったか悪かったか、それは結局今の段階でわからないのではないでしょうか。
この指標を作った関係者の方々はずいぶん叩かれたでしょうが、結果がわかるのは10年後ということで。
楽しみは楽しみですね。