平成28年度教職課程認定等に関する事務担当者説明会で聞くべきこと
明日昭和女子大で開催される課程認定の説明会に関連して,職場の参加する同僚向けに作ったものです。
もしよろしければ,ご笑覧ください。
こういった機会にご挨拶したい方も多くいらっしゃるのですが,私は今回参加しません。
ご容赦ください。
①全体を通して
最も大切なことは,集中して聞くべきところとそうでないところを分ける,ということです。分け方のポイントは,その情報が既知(既にどこかで公開されている)か未知(未だどこでも公開されていない)か,という点です。集中して聞くべきところは,当然のことながらその場で初めて明かされる,未知の情報です。
既知情報と未知情報は,たとえば次のように考えることができます。
【既知(既にどこかで公開されている)情報】
・『手引き』に掲載されていること
・政策文書やそれに準じる刊行物,もしくは改正法で明記されていること
【未知(未だどこでも公開されていない)情報】
・再課程認定申請の具体的なプロセス,たとえば教員審査をどのように行うか等
上記のことから言えるのは,未知情報を入手するためには,既知情報を予め詳細に把握しておかなければならない,ということです。そうでないと,全てが未知情報に聞こえてしまいます。既知情報としては,少なくとも最新の『手引き』の内容と改正法の動向を十分に把握しておく必要があります。既に『手引き』の変更点や改正法のポイント等の形で,既に配付してきたところですので,これらに十分目を通してから参加してください。
②制度改正について
【既知情報】
・改正免許法の内容は明らかにされました
・また,おおまかなスケジュールについても,『馳プラン』どおりに進んでいます
【未知情報】
・施行規則の内容がまだわかっていません。また,施行規則がいつ示されるのかも,明確にはされていません(おそらく3月頃ではないかと思われますが・・)
・「教職課程コアカリキュラムの在り方に関する検討会」の審議結果がいつ,どのように制度に反映されるかも明らかではありません。森山先生は来年の6月頃に検討結果を示すと仰っていますが,それだと施行規則に反映されない可能性が高いので,制度上どのような効力を持ちうるか不明です
③教職課程認定申請手続に係る留意事項について
【既知情報】
・2017年度申請,2018年度審査,2019年度新課程スタートです(馳プランどおり)
【未知情報】
・再課程認定申請の具体的プロセスは,全く明らかではありません。おそらくは次年度に何度か全国で説明会を行うものと思いますが,内容が現時点でどの程度決まっているのか,知る必要があります
ストレスチェックの結果について
ストレスチェックが事業者に義務づけられた。自分も受けた。結果は次のとおり。
A.ストレスの要因に関する項目 30点
B.心身のストレス反応に関する項目 14点
C.周囲のサポートに関する項目 9点
合計 53点分析結果:高ストレスに該当しません
面接指導の要否:面接指導の必要はありませんセルフケアアドバイス:
あなたはストレスをあまりかかえておらず,またストレスの原因となる要素もあまりないようです。
ただし,ストレスは,急に仕事が忙しくなったり,ストレスの原因となる要素(仕事に関連したものや,ご家庭での問題)が重なると,急にあなたに重くのしかかってくる可能性もあります。
あなたの場合,活気,イライラ感,疲労感,不安感,抑うつ感,身体愁訴,全てに問題はみられませんでした。
あなたの仕事でのストレスの原因となりうる因子では,仕事の量的負担,質的負担,対人関係上のストレス,仕事のコントロール度,全てに問題はありませんでした。
今回の調査時点では,問題はありませんでしたが,普段からストレスをためこまず,気分転換をはかるようにこころがけることをお勧めいたします。
以下の画像を見ていただくと,「仕事のコントロール度」がとびぬけていることがわかるだろう。
自分にとって仕事のストレスは裁量の大小による(大きければ大きいほどストレスが少ない)ので,この結果はうなずける。
また,「上司からのサポート」が高いのは,そのように裁量を与えてくださっていることの結果だろう。
やや気になったのは,「家族や友人からのサポート」が低いことと,心身の反応のうち,活気,イライラ感,疲労感が相対的に中心に寄っていることくらいか。
前者については,はっきり言って環境的にどうしようもない。しかし,自分にとって必要というならばそれはそうかもしれない。
バーンバウム・ロバート著,高橋靖直著『大学経営とリーダーシップ』(玉川大学出版部)を読了
標記の本を読了した。
本書では,大学の代表的・特徴的な性格をいくつか示した上で,それらが組み込まれたシステムとしての大学を描く。
その上で,第三章では,以下のことが示される(p.14-15)。
組織の合理性,目的,および効果についてのいくつかの一般的な考え方の有効性に注目し,なぜこれらの考えが管理職に余り役に立たないかを明らかにする。大学にとって重要なことは,管理職が行う選択ではなく,現実の本質についての人々の合意である。人々は,環境のある側面がより重要だと考えたり,ある種の関わりが他よりも敏感に感じとれるとき組織を創造する。そのような合意は,人々が何を見るか,どう解釈するか,そしてどう行動するかということに大いなる影響を及ぼしている大学の文化の中で癒合するのである。
- 作者: ロバートバーンバウム,Robert Birnbaum,高橋靖直
- 出版社/メーカー: 玉川大学出版部
- 発売日: 1992/05
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喜多村和之編『高等教育と政策評価』(玉川大学出版部)を読了
標記の本を読了した。
田中敬文「私立大学への支援と規制―私学政策の評価と改革方向」(223-244頁)を拝見するために読んだのが,
別の章にあった,
市川昭午「高等教育政策研究の課題と方法」(18-39頁)が大変勉強になった。
具体的には,高等教育政策研究について,次のような整理がなされていた箇所が勉強になった。
いつか再度(というより,何度も)参照することになるだろう。
1.高等教育政策の基本的政策
意味と範囲
(1)高等教育とは何か?
(2)政策とは何か
(3)類似概念との異同
位置と特質
(1)位置
(2)特質
2.高等教育政策研究の目的と領域
研究の性格と方法
(1)性格
(2)必要性
(3)方法
研究の領域
(1)主体別
(2)対象別
(3)関連領域
3.高等教育政策研究の課題
政策規範の研究
(1)政策の目標と整合性
(2)政策の実施と帰結
政策過程の研究
(1)政策の主体
(2)政策形成過程
(3)政策実施過程
今後重視されるべき研究課題
(1)これまでの研究と残された課題
(2)政策評価の必要性と困難性
- 作者: 喜多村和之
- 出版社/メーカー: 玉川大学出版部
- 発売日: 2000/07
- メディア: 大型本
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尾形憲著『教育経済論序説―私立大学の財政』(東洋経済新報社)を読了
標記の本を読了した。
筆者は本書で,
戦前(1934-36年)の私大財政は,ノーサポート・フルコントロール
戦後(1952-70年)の私大財政は,ノーサポート・”ノー・コントロール”
戦後(1970-76年)の私大財政は,サポート・アンド・コントロール
であると整理ししている。
戦前(1934-36年)の特徴は,学費依存,文科系の学部学科への依存,私大の都市集中というものであり,にもかかわらずその結果は少数エリートの創出であったという。
また戦後(1952-70年)の特徴は,戦前(1934-36年)の特徴が変わることなく,国家の関心だけが(少数エリート養成の養成という観点から)遠のいたというものである。
その後,戦後(1970-76年)では,私大の質的な位置づけが不正確なまま経常費補助がはじまったとされ,「公共性」と「私事性」の矛盾を抱えたまま,助成による「誘導」ないし「調整」によって,私大が国家の一元的な包摂の下に組み込んでいくのではないかという警鐘が鳴らされている。
- 作者: 尾形憲
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 1978/12
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河野太郎議員の問題提起をめぐる先行研究の確認(1)そういうことをしてみてはどうだろうという話
ここ一か月ほど,主にツイッター界隈で河野太郎議員に対して,大学における研究費の使い道などの様々な問題を指摘できる状況になっている。
nlab.itmedia.co.jp
指摘された問題点に対して逐一河野太郎議員が回答を戻していることから,改善の期待とともに盛り上がっている。
www.taro.org
こういった,関係省庁から収集したデータに基づく河野議員の回答に対して,さらなる問題点を疑問点を山本裕子先生(イエナ大学)が指摘し,
twitter.com河野太郎議員が発信した、日本の国立大学に配分された科学技術研究費の統計資料を基に、研究者への研究費配分が少ないとされている原因究明の為の第一次計算を行いました。計算間違い、ミスのご指摘、あるいはさらなる議論のたたき台となれば幸いです。https://t.co/RHhOXCUiML
— 山本裕子@イエナ大学、ドイツ (@yamayu_lab) November 26, 2016
さらに,この山本裕子先生のご指摘に対して,同業の某氏がリプライを加えるなど,
d.hatena.ne.jp
かなり議論が進行しつつある印象である。
河野議員のパワーには頭が下がる。
これに対して何か貢献できないかなと思っていたのだが,自分が貢献できるとすれば先行研究の確認くらいかなと。
それは,議論を見ている中で,その一部は先行研究で実証されているはずだと感じたからである。
加えて,議論の渦中で先行研究がレビューされている感じもなかった。
自分は山本先生や同業の氏ほど優秀ではないし,私学勤務なので国立のことは詳しくないし,ローデータをいじって追試することも難しいので,公刊されている論文を読むくらいのことはせんとなあと。
そんな風に感じながら,成り行きをしばらく見守っていた次第である。
とはいえ,勤務先や広島大学の高教研に迷惑がかかってもマズいし,どうしようかなと逡巡していたのが正直なところではある。
しかし何も貢献しないのもなんだか気持ち悪いという個人的な理由から,何か明確な目標があるわけでもないが,次回から先行研究を少しずつ確認する作業をしてみたい。