松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

「gacco 統計学Ⅰ:データ分析の基礎」の1週目が終了

「gacco 統計学Ⅰ:データ分析の基礎」の1週目が、今朝通勤途中に確認テストまで含めて終了しました。その感想を、良かった点、不満な点、その他雑感、に分けて記したいと思います。私が申し込んだのは、有料の反転学習コースではなく、無料の通常コースです。なお、大学関係者には釈迦に説法ですが、gaccoというのはOCWオープンコースウェア)の一種で、一言でいうと無料のオンライン講義です。私が受講申し込みをした講座のレベルですが、日本統計学会が公式認定している統計検定の、3級と2級の間を設定しているようです。この3級と2級の間、つまり3級プラスアルファの部分は、「連関と因果の違い」「多重クロス表」「擬似相関」「単回帰分析」「公的統計の活用法」を想定しているとのことです。これで、大体のレベルが分かろうかと思います。

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◎良かった点

1.テキストがすごい

まずはこちらをご覧ください。

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 これは、1,000円で購入した「オフィシャル スタディ ノート」です。補助教材という扱いのようです。購入の強制はされておりませんし、これを購入してしまうと無料ではなくなってしまうわけですが、この内容がたった1,000円というのは驚きです。注文したら2日くらいで来ましたし、送料もかかりません(価格に含まれているのかもしれませんが)。どうしても無料を貫きとおしたい場合は、パワーポイントのPDFがダウンロードできますので、そちらで十分だ!という発想もありうるかと思いますが、個人的にはこの1,000円というのは、無料で済ませるよりお得だという実感です。

2.1つの動画が短く設定されている

受講する前は、1回50分くらいの講義を想定していました。しかしながら、実際には10分程度の動画を何回か受講する形式になっていました。第1週の「Week1 統計学への誘い」という回では、データの種類というテーマで5回、データセットの例というテーマで2回、それぞれ10分程度の動画が組まれていました。この設定だと、隙間時間に簡単に見ることができますし、おそらくそういうことが可能になるよう、あえてそうしているのではないでしょうか。私は全て通勤時間で受講しました。

3.確認テストが簡単

こちらも、受講する前は、いわゆる○×をつけられる「テスト」のようなものを想定していました。たしかにテストはテストですが、すごくハードルは低いです。具体的には、Week1の確認テストは、問題が3つ用意されていて、適切でないもの、組み合わせが最適なもの、最も適切なもの、をそれぞれ選ぶ形になっていました。選択肢は4つないし5つで、3回まで回答を提出できる、ということになっています。つまり、適当にやってもほぼ正解するということです。私もきちんと修了したいので、1発勝負なら、テキストを見ながら調べて答えようと思っていました。しかしながら、このように「3回まで回答できるし、間違ってもいいんだよ」という案内がなされたので、とりあえず1回は自分でやってみることができました。たまたま全問正解しましたが、このやり方というのは、ハードルが低いのと同時に、学びの一環に「間違う→もう一度自分で考え、再チャレンジする」というプロセスが組み込まれているという点で、優れていると思いました。

◎不満な点

さて、ここまで絶賛しておいて不満なことがあるのかという話になるかもしれませんが、一つだけあります。それは、この事業の主体であるJMOOC(日本オープンオンライン教育推進協議会)の個人会員であり、年会費1万円をおさめている私に、なんの割引も適用されないことです。これは冗談半分の愚痴ですが、改善されるならしてほしいですね。補助教材が無料になるとか、反転学習コースが半額になるとか。

私が会員になったのは、去年の12月、JMOOCがスタートしてすぐです。一瞬で加入したので、会員番号は一桁になっていたと思います。エデックスとかコーセラとか、受講してみたいけど英語で学習するのはハードルが高いなあと思っていたところ、JMOOCがスタートした(その1か月後くらいに、コーセラが和訳のサービスをスタートさせたのはご愛嬌でしたが)ので、応援したいという気持ちで、なけなしの年会費1万円を払い、今年の年会費も継続して払っています。ぜひお金を払っている個人会員のことをもう少しかわいがってほしいと思います(笑)

◎その他雑感

私がこうしたOCWに関心をもったきっかけは、2012年か2011年の東洋経済オンラインかダイヤモンドオンラインの特集記事でした。おそらく2012年です。今、その記事を引っ張るために検索してみたのですが、ヒットしませんでした…。また探します。少し記憶が曖昧なんですが、ご容赦ください。コーセラのこともエデックスのことも書いてあったと思いますが、あの衝撃は忘れません。そこには、大体こういうことが書いてありました。アメリカに1人のおっさんがいて、そのおっさんが遠く離れたところに住む親せきの子どもに、ネットに動画を公開することで勉強(物理だったかな?)を教えることになった。すると、評判が評判を呼び、たくさんの人がその動画を見るようになった。加えて、スタンフォード大学(だったと思います)の教授が、同じようにネットで講義を公開し、全世界から受講者を募った。するとどうだろう。その科目でトップの成績をとったのは、なんとスタンフォードの学生ではなく、モンゴルだかアフリカだか、およそ高等教育が保証されているとは思えないと考えられる奥地に住む少年だった。教授はその事実に衝撃を受け、テニュア(終身雇用の資格)だったのに仕事をやめた。収益は、受講者の優秀層と企業とをマッチングすることで、仲介手数料を得ることによってあげている。

私はこの記事を読んだ時、そう遠くない未来、自分の仕事場はなくなるかもしれないと思い戦慄しました。以来ずっとOCWに注目しています。当時は、教育研究機関たる大学の意味づけが大きく変わることによって、自分の職場がなくなってしまうと感じましたが、今は少し考えることが遷移しています。このあたりついては、また別稿で述べたいと思います。