日本教育社会学会編(2018)『教育社会学のフロンティア2:変容する社会と教育のゆくえ』(岩波書店)を読了
伊神満(2018)『「イノベーターのジレンマ」の経済学的解明』(日経BP社)を読了
本書はご存知,クリステンセンによる『イノベーションのジレンマ』を,経済学的見地から実証的にサポートしたものである。
クリステンセンによるそれは,
「テーマと事例は面白いが、理論も実証もゆるゆるだ。経済学的に煮詰める必要がある」
からである。
本書の冒頭ではまず,イノベーションがいかにして起こるか,あるいは怒らないか,その阻害要因は何か,といったことについて,「共喰い」「抜け駆け」「能力格差」という3つのキーワードで説明する。
その上で,具体的なデータ分析(相関,回帰,機械学習,対照実験,反実仮想シミュレーション)により,「ジレンマ」の解明を試みる。
本書の結論は以下のとおりである。
①既存企業は、 たとえ 有能で戦略的で合理的 であったとしても、新旧技術や事業間の「共喰い」がある限り、新参企業ほどにはイノベーションに本気になれない。(イノベーターのジレンマの経済学的解明) ②この「ジレンマ」を解決して生き延びるには、何らかの形で「共喰い」を容認し、推進する必要があるが、それは「企業価値の最大化」という株主(つまり私たちの家計=投資家) にとっての利益に反する可能性がある。一概に良いこととは言えない。(創造的「自己」破壊のジレンマ)
③よくある「イノベーション促進政策」に大した効果は期待できないが、逆の言い方をすれば、現実のIT系産業は、丁度良い「競争と技術革新のバランス」で発展してきたことになる。これは社会的に喜ばしい事態である。(創造的破壊の真意)
個人的には,データ分析の章の説明がわかりやすく,勉強になった。
というのも,おそらくこの本は一般の読書に向けて書かれたもので,計量経済学のオーソドックスな解説はかなり省略しつつ,語り掛けるように解説してくれているので。
もちろん,わかりやすいことが全てではないが,勉強中の身にはありがたかった。
- 作者: 伊神満
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2018/05/24
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【ネタばれ無し】クリストファー・ノーラン監督作品(2006)『プレステージ』を鑑賞
競い合う2人のマジシャンを描く作品。
マジックにのめり込むあまり,最終的に互いに狂気にたどり着く。
その狂気は,「人間瞬間移動」をいかにして成功させるかで極まる。
★★★★☆
- 発売日: 2013/11/26
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振れ幅の大きさとそのコントロール
振れ幅の大きさ(1)生活
よく,「一度上げた生活水準を下げられない」と言う人がいる。
これは厳しい。
なぜなら,この手の性格だと,生活水準を一定に保ち続けるだけでは満足度が維持できないので,上げ続けるしかなくなるからである。
一方,上げた生活水準を簡単に下げられる人は強い。
そういう人は,自らの生活を自らで選択しているからである。
社会や世間から与えられているわけではない。
振れ幅の大きさ(2)自信
同じようなことは,自信にも言える。
自信満々な人は傲慢だし,謙虚すぎる人は卑屈である。
だがより重要なのは,場面に応じて適切なレベルを選択できることである。
プレゼンをするときは自信満々になった方がいいし,一人で勉強するときは卑屈すぎる方がいい。
某カードがなかなか脱会させてくれない
実家に帰ると年会費の請求が来ていたので脱会しようと思い電話したのだが,混雑しているとのことで繋がらない。
脱会しようと考えたのは,もう某レンタルビデオ店を使うことは二度とないからだ。
5年くらい使っていなかったにもかかわらず,無駄に年会費を払い続けてしまった。
そしてもちろん,カードに付随するポイントを使うこともない。
shinnji28.hatenablog.com
ウェブから時間帯混雑予測を見ると,基本的に混雑していて,繋がらないようだ。
「ウェブからも解約できる」という音声案内があるけど,ウェブでの解約を行うためには,カード会員向けの登録を行わねばならない。
辞めようとする人が,新規登録を行うわけがない,という話もあるけど,我慢して新規登録を行おうとしたところで,使っていないカードの情報を求められる。
そしてその音声案内自体,最初に「混雑しているので繋がらない」という宣言をしたあとは,延々色々な案内を続けてくる。
以上の結果として,面倒になり放置する人も相当数いるだろう。
少なくとも,平日の昼間には,それなりに繋がらないと,ますます利用者が離れるように思う。
今野敏(2007)『慎治』(中公文庫)を読了
標記の本を読了した。初版は1997年。
しかし,自分がこの作品を知ったのは2007年だと思う。
大学生のとき,友人が「こんなのがあったよ」と写真を送ってくれた記憶がある。
10年越しに読み終わった。
いじめられている中学生が新しい世界を発見しながら強くなっていく話。
- 作者: 今野敏
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
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カール・R・ポパー(大内義一・森博訳)(1971)『科学的発見の論理(上)(下)』(恒星社厚生閣)を読了
自分の中で夏の課題図書にしていた標記の本を読了した。
有名な反証可能性概念は早くも上巻の第1章で登場する。
反証可能性とは,「経験的科学体系にとっては反駁されうるということが可能でなければならない」(p.49)ことを指すが,この前提には,反証可能性が「境界設定の基準として採用されるべき」(p.49)という考え方がある。
境界設定基準というのは,真ないし偽を最終的にテストできるラインということを示す。
ちなみに,上巻の後半から下巻にかけては数理的な解説が続き,難解である。
- 作者: カール・ライムント・ポパー,大内義一,森博
- 出版社/メーカー: 恒星社厚生閣
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- 作者: カール・ライムント・ポパー,大内義一,森博
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