松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

さようなら,メガバンク

初めて作った銀行口座

大学に入学した年,初めて銀行口座を作った。
それが三井住友銀行だった。
2004年当時,他の選択肢は考えられなかった。
親に連れられて,最寄り駅の支店に行き,作ったのである。
以来,アルバイトの振込から始まり,就職してからの給与まで,10年以上お世話になってきた。
最初は記帳というシステムだったが,いつしか通帳がなくてもウェブで内容が確認できるようになり,振込もウェブでできるようになり,時代は進んだ。

メガバンクのメリットがわからない

だが,昨年来,楽天やSBI等のネット銀行の口座を開設し,メガバンクの口座を日常使いすることに疑問をもった。
なぜなら,
・振込手数料
・ATM利用料
のいずれもが,ネット銀行の方が安いからである。
もちろん,無料回数もネット銀行の方が多い。
しかも,株式や投資信託を購入する場合,ネット銀行以外の選択肢はありえない。
そうなってくると,いったい何のために三井住友銀行の口座を使っているのかわからなくなったのである。
ATMなんて,コンビニで代用できるし。
いや,「疑問をもった」と書いたが,少し前から気づいてはいた。
ただ単に移行が面倒だったのだ。
これからの世代は,最初の銀行口座がネット銀行になるだろうから,面倒だから移行していない層はどんどん減っていってしまうだろう。

さようなら,メガバンク

そんなわけで,基本的にメガバンクからさようならすることにした。
給与の振り込み,クレジットの引き落とし,全て楽天銀行に変えた。
よりマメな人は,いくつかのネット銀行の口座を使い分けるのだろう。
そうしたときに,メガバンクを使う意味は正直ない。
少なくとも,個人が利用する意味は全くない。
企業体にとっては,なおメリットがあるのだろうか?
自分には銀行員の友人もいるのでこんなことは言いたくないが,メガバンク都市銀行地方銀行すべて,ネット銀行に勝ることは難しいと思う。
実態としてのお金を物理的に保有する意義は薄れていく一方だし,その差は結局,支店を同じく物理的に保有するという人件費分だからである。
もし勝ろうと思うと,物理的な支店をカットしていき,別のところで稼ぐしかないのだが,それは果たして銀行という位置づけになるのかわからない。

次回予告

同じようなことは,携帯電話(というこれ自体がもはや死語)会社にも言えるだろう。
自分の学生時代は,ドコモ,auソフトバンクはインフラ的な地位を占め,就職活動においても圧倒的勝者だった。
だが現在は……?
さようなら,3大キャリア。

日本教育社会学会第70回大会での報告資料について:「私学助成は定員割れ大学を延命させるのか」

標記の報告資料をアップしました。
https://researchmap.jp/?action=cv_download_main&upload_id=173192
なお,本研究の推進にあたっては,以下の資金の助成を受けています。
文部科学省機能強化経費「大学における教育研究の生産性向上に関する国際共同研究」
文部科学省特別教育研究経費(戦略的研究推進経費)「21 世紀知識基盤社会における大学・大学院の改革の具体的方策に関する研究-2007 年骨太方針をふまえて-」
・JSPS科研費16H02067 (基盤研究(A))「大学へのファンディングの変化と大学経営管理改革に関する国際比較研究」(研究代表者:丸山文裕)
・JSPS科研費JP16H03780(基盤研究(B))「持続可能な大学組織の探索:組織の規模と範囲・組織間関係の現状・変容・存続の分析」(研究代表者:村澤昌崇)

募集終了→【ご案内】第1回 大学職員のための(I)Rゼミナール(9月8日(土)開催:広島大学東京オフィス)について

以下のご案内を差し上げましたが,一瞬で埋まってしまいました。
第1回とありますとおり,続けていきたいと考えておりますので,なにとぞご容赦ください。(8/23,追記

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以下のとおりご案内します。もしよろしければお越しください。
期日が短くて申し訳ないです。
rihe.hiroshima-u.ac.jp

ウェイン・C・ブース他著(川又政治訳)『リサーチの技法』(ソシム)を読了

本書は,ハーバード,イェール,シカゴ等の大学でレポート/論文執筆を学ぶ学生のための参考図書,"The Craft of Research"の和訳である。
この手の書籍は定期的に読みたくなるのだが,大学院でも学部でも,レベルを問わず参照しやすいテキストであると感じた。やや分厚いが。。

リサーチの技法

リサーチの技法

石黒格編著(2014)『改訂 Stataによる社会調査データの分析―入門から応用まで―』(北大路書房)を読了

標記の本を読了した。
Stataを用いてマルチレベル分析を行うために購入した。
社会調査を念頭に置いた本で,大変参考になった(たとえば,架空の調査票が添付されており,それに基づいた分析が展開されているなど)。

改訂 Stataによる社会調査データの分析: 入門から応用まで

改訂 Stataによる社会調査データの分析: 入門から応用まで

アメリカ心理学会(APA)(前田樹海・近藤裕之・田中建彦訳)(2011)『APA 論文作成マニュアル[第2版]』(医学書院)を読了

標記の本を読了した。
自分が投稿するジャーナルでは,とりわけ統計量の記述等について明確なルールが定められていないことが多い。
そこで,本書で勉強しようとしたわけである。
そういう意味でいうと,第4章で統計で使用する略語と記号,第5章で結果を表示する際の方法が明示されており,参考になった。
本書ではこれ以外にも,投稿論文をめぐる一連のプロセスが示されており,論文を始めて書くときに非常に参考になるだろう。

APA論文作成マニュアル 第2版

APA論文作成マニュアル 第2版

「パッと言えてしまうようなこと」の重要性

「パッと言えてしまうようなこと」

以下の記事を拝読した。
パッと言えてしまうようなことを言ってみる:8月5日朝日朝刊「折々のことば」に寄せて | 群衆の居場所
こちらで述べられていることは,「パッと言えてしまうようなこと」が卑下されつつ,互いに「大したはことない」と言い合う空間の居心地の悪さである。

いまこの言葉に接して、むしろより強く異論を唱えたいのは、「パッと言えてしまうようなこと」の方である。たしかに「パッと言えてしまうようなこと」には、この国の場合、場の空気を読んだり場を占拠したりするための、イス取りゲーム的発言が含まれるが、それ以上に、最初の違和感をまず言葉にしてみたい、その言葉を皮切りに思考や議論をスタートさせたい、といった衝動に駆られたものの方が多いように思う。だから自由で民主的な公共圏(コミュニケーションの総体)には、皆が「パッと言えてしまうようなこと」をパッと言い合うことが絶対的に必要で、逆にそれを抑止するのは、押し黙った皆の前に、満を持して支配的な言葉を述べたがる、専制者のメンタリティだ。

思考する際に,「パッと言えてしまうようなこと」は実はかなり重要である。
自分自身も,ミーティング等で思いついたことをできるだけすぐにそのまま出すようにしている。
というのも,頭に浮かんだものはそのままにしていると流れてしまうからである。
掴んでしまわないと,流れてしまう。
そのためには,思いついた時点ですぐに言葉に出さねばならない。

頭に浮かんだことは厳密にはそのまま掴むことはできない

しかしながら,思いついた時点ですぐに言葉に出したとしても,頭に浮かんだものをそのまま掴んだことにはならない。
なぜなら,思いつきをすぐに言葉にするというプロセスは,
・「すぐに」と言ってもそこには時間差がある
・言葉でしか表現できない時点で,語彙力の制約を受ける
からである。
頭に浮かんで言葉にする間に,カンマ何秒か時間がかかるから,その間に抜け落ちるものがある。
また,言葉で全てを表現できる人間はいない。この限界を超えるには,人間の脳を繋いで通信で交信するしかないのである。
そんなわけで,思いついてすぐに言葉にしても,掴んだことにはならない。
いわんや,言葉にさえしなければどうなるのか,ということである。
周囲の人間にとってみれば,思いつきをポンポン口に出されるようでウザいかもしれないが,思ったことすら口に出せないようでは,思考実験はいつまでも進まないのである。