松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

【出願期間:2020. 1.6(月)-1.8(水)】千葉大学大学院人文公共学府「教育・学修支援コース」社会人特別選抜の実施について

あさがおMLで拝見しました。以下がその抜粋です。
学生の学習支援に関心のある大学の事務職員にとっては,非常に良いのではないかと思ってご紹介です。
(が,出願期間が短いのが気になります)

ASAGAOメーリングリストのみなさま,

千葉大学大学院人文公共学府人文科学専攻「教育・学修支援コース」では冬期選抜において「一般選抜」に加えて「社会人特別選抜」を実施します。多くの方の受験をお待ちしています。

出願期間:令和2年1月6日(月)から8日(水)
試験日: 令和年2月8日(土)
応募資格:「一般選抜志願者」出願資格のいずれかに該当し,入学時点で2年以上の職歴を有する者。
選考方法:書類審査および口述審査

「教育・学修支援コース」は,高等教育などの専門的な教育における教育・学修支援の専門的知識とスキルを習得するためのコースで,専門科目を「高等教育システムに関する理解」「学生・学修に関する理解」「教育・教育方法に関する理解」「フィールドワーク・実践科目」の4つの領域に区分し,各領域から選択履修します。「教育・学修支援コース」では「修士(学術)」を授与します。

出願資格,出願書類などの詳細については,以下のサイトの「募集要項」で確認してください。

https://www.gshpa.chiba-u.jp/admission/h31.html

なお,千葉大学大学院人文公共学府博士前期課程では,教育上特別の必要があると認めるときは,夜間その他特定の時間又は時期において授業又は研究指導を行うことがあります。 履修の方法などについては入学後指導教員と相談しながら決定することになります。教育・学修支援コースでは,社会人学生の履修を想定し,この特例を積極的に活用します。また,千葉大学大学院人文公共学府には長期履修学生制度もあります。

変更届における履歴書/教育研究業績書の提出 ≠ 審査

最新の『教職課程認定申請の手引き(令和3年度開設用)』が既に公開されています。
www.mext.go.jp
「教育課程の変更届」の手続きにおいては,場合により教員の履歴書/教育研究業績書を提出することがあります(『手引き』p.89あたり)。
しかしながら,これは「審査」ではありません。
「教育課程の変更届」は,行政手続きとしてはあくまでも届出であり,課程認定申請において行われる教員の業績審査とは別物(そのようなことは行われない)です。
課程認定申請での業績審査は,中教審の教員養成部会から付託を受けた課程認定会が行います。
一方,「教育課程の変更届」にそのようなプロセスはないので,大学が提出したものがそのまま受理されることになります。
過去に「教育課程の変更届」で履歴書/教育研究業績書を提出したことでもって,「自分は審査に通っている」と思い込むという,よくある誤解もあります。

スコット.W.リチャード(河野昭三・板橋慶明訳)(1998)『制度と組織』(税務経理協会)を読了

本書は,社会学的新制度主義について,先行研究(経済学,政治学社会学の各新制度論の差異)→理論的背景→現代の制度理論→経験的研究→有効性の検討→今後の方向性の順に展開して論じたものである。
ただし,独自のオリジナリティがあるかというと,微妙かもしれない。
70年代~90年代の社会学的新制度主義の研究を,網羅的にまとめたところに価値がありそうである。

制度と組織

制度と組織

令和元年度教職課程認定等に関する事務担当者説明会の資料4

こちらの冒頭に,前の手引きからの変更点が示されています。これに気づいておらず,失礼しました。
令和元年度教職課程認定等に関する事務担当者説明会について:文部科学省
毎回このように示してくださるなら,以下の記事のような作業は不要になりそうです。
『教職課程認定申請の手引き』の主な変更点―「平成32年度開設用」(H32)から「令和3年度開設用」(R3)へ - 松宮慎治の憂鬱

『教職課程認定申請の手引き』の主な変更点―「平成32年度開設用」(H32)から「令和3年度開設用」(R3)へ

id:samidaretaro 氏が別の仕事に旅立ってしまわれたので代わりに作りました。
氏のように細かくはできないので,不十分で恐縮です。
細かすぎて伝わらない「教職課程認定申請の手引き」の変更点 - 大学職員の書き散らかしBLOG
細かすぎて伝わらない「教職課程認定申請の手引き」変更点(平成32年度開設用) - 大学職員の書き散らかしBLOG
再課程認定を終えた通常の課程認定は実のところフォローしておりませんので,変更点といっても,前回のを十分把握していないという意味で,若干ブランクがあります。
来週の説明会には行けませんので,参加された方にレビューを加えていただけますと幸いです。
令和元年度教職課程認定等に関する事務担当者説明会について:文部科学省
また,『手引き』の送付文には以下の一文がありましたので,併せてフォローが必要となります。

なお、「学科等の目的・性格と免許状との相当関係に関する審査基準」「学科等の目的・性格と免許状との相当関係に関する審査基準について(解説)」「教育又は研究上の業績及び実績の考え方」「Q&A(よくある質問と回答)」について、本手引きには一部の改正内容が反映されていないため、当省ホームページ(http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kyoin/1395208.htm)に掲載している改正版を併せて確認するようお願いします。

主な変更点は以下のとおりです。

表紙

・色が薄緑から灰色に変更

目次

・「Ⅳ.審査基準等」(R3)に,以下が追加された
  11. 外国語(英語)の審査の考え方
  12. 教職課程の新たな基準に基づく認定課程の実施に当たって
・「Ⅳ.審査基準等」に,「Ⅴ.参考」から以下が移動された
  9. 「特別な支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対する理解」の審査の考え方
  10. 「総合的な学習の時間の指導法」の審査の考え方
  13. 教職課程認定基準で定める「共通開設科目」の取扱いについて
  14. 教職課程認定基準に定める「共通開設科目」の開設可能範囲
  15. 各科目の名称例について
  16. 教職課程コアカリキュラム
  17. 外国語(英語)コアカリキュラム
  18. 教職実践演習について
  19. 履修カルテについて
  20. Q&A(よくある質問と回答)
・「Ⅴ.参考」(R3)に,以下が追加された
  2. 教育職員免許法施行規則及び免許状更新講習規則の一部を改正する省令の交付について(通知)(抄)
  3. 教育職員免許法施行規則の一部を改正する省令の公布について(通知)
  4. 在外教育施設における教育実習を可能とする制度改正について
  5. 課程認定の際に留意すべき事項を付された大学に係る令和4年度末までの事後調査について
  6. 事後調査対応届に関する質問回答集(最終決定:令和元年11月11日)
  8. Q&A集(教育公務員特例法等の一部を改正する法律等関係)(最終決定:平成31年2月5日)
9. 学校における働き方改革に関する取組の徹底について(通知)
  10. 学校における働き方改革に関する取組の徹底について(通知)【概要】
  13. 小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知)
  15. 高等学校学習指導要領における家庭科の履修学年に関する改正について(通知)
  18. 学校における医療的ケアの今後の対応について(通知)
  21. 特別支援学校高等部学習指導要領の全部を改正する告示及び平成31年4月1日から新特別支援学校高等部学習指導要領が適用されるまでの間における現行特別支援学校高等部学習指導要領の特例を定める告示等の公示について(通知)
  23. ハンセン病に関する教育の実施について(通知)
  24. 公文書等における日本人の生命のローマ字表記について(依頼)
・「Ⅴ.参考」(H32)から,以下が削除された
  14. 小学校及び中学校の学習指導要領等に関する移行措置並びに移行期間中における学習指導等について(通知)
  16. 高等学校学習指導要領の改訂に伴う移行措置並びに移行期間中における学習指導等について(通知)

「Ⅰ.はじめに」

・「課程認定審査スケジュール」:申請の〆切が3月23日(月)であることが明記された(p.1)
・「課程認定の要否」:「届出」により設置する場合について,「要相談」から「要審査」に変更された(p.2)
・「課程認定の要否」:「改組」により設置する場合について,「要」から「要審査」に変更された(p.2)
・「変更届の提出の要否」:「⑲大学名、設置者名を変更する場合」が「要(報告)」として追加された(p.3)
・「審査等スケジュール」:「令和3年度開設予定のスケジュール」で,「課程認定委員会①」の時期の〆が,8月中旬から9月上旬に延ばされた。これに伴い,「審査意見伝達」「補正申請(申請書提出)」も少しずつ延びている。ただし,「課程認定委員会②」以降のスケジュールは従前どおり。つまり,第1回の課程認定委員会の機関が長くとられている(p.4)
・「令和4年度開設予定のスケジュール」:同じく「課程認定委員会①」の時期の〆が伸びているが,なぜか8月下旬と令和3年度に比べて遠慮がちである。その他は令和3年度と同様(p.5)
・「教員審査」:いわゆる「審査結果の尊重」について,「単独で担当することを可」とされている場合であることが,下線によって強調された(p.7)

「課程認定の申請要領及び提出書類の様式・記入要領」

・「必要提出書類」:「様式第6号 教育の基礎的理解に関する科目等(特別支援教育に関する科目)の履修体制に関する書類」が削除されたことにより,様式第6~第9号の位置づけがズレた。たとえば,従来いわゆる「設置の趣旨」と呼ばれてきた様式第8号アは,様式第7号アとなった(p.10)
・「事前相談」:相談日,予約〆切,資料〆切の関係が一目でわかる表が挿入された(p.13)
・「事前相談」:「予約確定後は、以下の資料をⅡ-1(4)の一覧を参照の上」←ここでの一覧は,資料一覧ではなく締切一覧のことだと思われる(p.14)
・「事前相談」:事前提出する書類について,送付PDFは「原則として紙媒体を避ける」から,「紙媒体のスキャンではなく」電子媒体を直接PDFに変換せよとの変更(p.15)
・「提出方法」:事前相談と同様に,提出日,予約開始日,予約締切日の関係が一目でわかる表が挿入された(p.15)
・「表紙等の作成例」認定年度までに大学名の変更がありうる場合,表紙や背表紙には認定年度における大学名を記載するよう指示(p.19)

様式第1号

・「作成例」:大学名について,認定年度における大学名を記載するよう指示(p.20)
・「作成例」:申請者(設置者名)とその長の職名および氏名について,設置者と設置者の長の2段階にわけてわかりやすく明示(p.20)
・以後の様式においても,各欄についてそれらが欄であることがわかるよう,カギカッコ付かつ太字になっている。たとえば,「〇〇大学」(欄)といったように

様式第2号

・課程認定基準を参照として,詳細な説明を略記(p.24)
・幼稚園の教職課程を例として,配置が必要な科目についてカッコを付さないことが指示(p.24)
・認定年度までに昇任が確定している教員の役職の記載方法を明記(p.24)
・「幼・領域及び保育内容の指導法に関する科目①領域に関する専門的事項」:「複合領域」の記載方法および制度的な考え方を詳細に追記(p.25)
・「小・教科及び教科の指導法に関する科目①教科に関する専門的事項」:同一学科の幼稚園と共通開設を行う場合の施行規則不足第7項をかっこ書きで明記(p.27)
・「小・教科及び教科の指導法に関する科目①教科に関する専門的事項」:複合科目を担当する専任教員のカウント方法を追記(p.27)
・「中高・教科及び教科の指導法に関する科目」:「同一の教科であっても」中高それぞれで作成するようにという指示が追加(p.29)
・「中高・教科及び教科の指導法に関する科目」:共通開設科目である場合の記載方法を追記(p.29の下から2つの〇)※以後の学校種でも同様
・「中高・教科及び教科の指導法に関する科目」:申請課程が英語以外であったときの含む事項の表記方法を追記(p.30)
・専修免許状の課程「大学が独自に設定する科目」:科目名称だけでなく区分も明記するよう指示(p.40)
・専修免許状の課程「特別支援教育に関する科目」:複数の特別支援教育領域の認定を受け,かつ共通する科目を担当しうる教員の記載方法を明記(p.42)

シラバス

・「共通事項」:クラス分けの場合,各クラスの担当形態を含めて記載することに変更(p.51)

様式第3号

・「共通事項」:複数の学科を申請する場合は原則的に別葉だが,それが中高の場合は,「各教科の指導法」「教育の基礎的理解に関する科目等」は中等教育の教職課程(中・高)としてまとめるよう指示(p.55)
・「共通事項」:従来,個人調書とのズレが生じていた「年齢」と過去の審査実績が記載不要に変更(p.56)

様式第4号

・「履歴書」:「昇任予定」が追加(p.63)
・「業績書」:従来の「その他」が「全般的事項」となり,全体を整理(pp.66-69)
・「業績書」:活字業績の種別について,新たな区分を勝手に設けぬよう注意(p.67)

変更届

・「必要提出書類」:注意事項として,※5と※6が追記(p.90)
・「変更内容一覧表」:例について,幼少高が入り混じる場合,中高一種免のみの場合,専修免のみの場合に場合分け(p.92)
・「理由書」:専任教員の退職が例示として追記(p.93)

下司ほか(2019)『教育学年報11 教育研究の新章』(世織書房)

本書は,様々な教育〇〇学の論客が集合し,当該分野の近年の動向を提示したレビュー論文集である。
各部の合間には編集委員と執筆者の「座談会」が構成され,初めて分野に触れる方がわかりやすく入り込めるようになっている。
個人的に,教育経済学,教育社会学,高等教育論の3つを拝読することが目的であったが,日本教育史や教育行政学も面白く読んだ。
他方,つらかったのは知識が不足していることである。その領域の背景がほとんど抑えられていない場合,議論の展開を追うことが難しい。
その意味で,上記については少しは背景知識があったために,読みやすかっただけのことかもしれない。

教育研究の新章 (教育学年報11)

教育研究の新章 (教育学年報11)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 世織書房
  • 発売日: 2019/08/07
  • メディア: 単行本

「たたき台」を作る人は一番えらいが……

先般,以下の記事がTwitterでバズっており,大学の事務職員間でも話題となりました。
note.com
記事の要旨は,
・いわゆる「たたき台」の作成は,ゼロからイチを生成する仕事である
・これが一番大変なので,敬意を払わないといけない
・このことを自覚せず,出てきた「たたき台」をただ叩くだけの人が多い
というものでした。

この事例を大学事務職員の業界にあてはめてみますと,次のようなことが言えそうです。
・「たたき台」を作る人と作らない人がいる
・作る人の中には,自ら能動的に作る人と,役割に規定されて受動的に作る人がいる
・作らない人の中には,作る能力はあるが作らない(作りたくない)人と,作る能力がなく作らない(作れない)人がいる

「たたき台」を作る人が一番えらいというのは,個人的にも同意します。
大学事務職員は,何らかの意思決定を行う際に,多くの場合教員と協働することになります。
このとき,「たたき台」の作成は,必ずしも事務職員である必要はありません。
むしろ,「それは教員が決めることだ」というお題目のもと,教員が「たたき台」を作ることもあります。
それ自体は,責められるべきことではないと考えています。
誰が「たたき台」を作るべきか,というのは,上記のように能力や,仕事の範囲,分担の方法等によって変わってくるからです。

私がなりたくないと思っているのは,教員が作った「たたき台」にダメ出しをする事務職員です。
まさに,冒頭の記事における「たたき台」をただ叩くだけの人,のことです。
ダメ出しをするくらいその対象への知見があるならば,初めから自分が「たたき台」を作るか,一緒に作成に携わればよいだけのことです。
他人にダメ出しをすることは気持ちいいかもしれませんが,長い目で見て信頼を失います。

一方,事務職員が「たたき台」を作った場合,「ほめてほしい」と思っていると,しんどいかもしれません。
ふつうは,大学において事務職員は縁の下の力持ちであって,前面に出て賞賛される存在ではないからです。
ひょっとすると,せっかく作った「たたき台」が叩かれるだけ叩かれて,「もう二度と作るまい」と思うこともあるでしょう。
そこがひとつ踏ん張りどころになるような気がします。「叩かれてもいいや,仕事が進むなら」という合理的な諦念が必要になります。
そして,この記事を読んでくださった大学教員の方がおいででしたら,事務職員が作ってきた「たたき台」を叩く前に,まずそのこと自体に敬意をもっていただくと,仕事がうまく回るかもしれません,とお伝えしたいところです。