松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

災害時におけるマスコミの動きに対する批判についてー災害ボランティアにNHKの記者が同行した思い出

ここ最近、熊本地震の取材のため現地入りしたマスコミの動きに対する批判が目立つ。
ガソリンスタンドで割り込んだ、豪華な弁当を現地調達しているのではないか、などなど…。
真偽のほどがわからないが、災害のたびにマスコミへの批判は必ず出てくる。
熊本に限らず、このように災害があった場合はマスコミへの批判もセットである、といっても過言ではない。
実際、学生時代の友人が公務員になったのだが、彼の務める自治体が地震ではない自然災害で被災したときに、「マスコミが迷惑すぎた」という話も聞いたことがある。
現地の民間人からも公務員からも迷惑がられてしまう取材の仕方には、やはり大きな問題がある。

ところで、以前東日本大震災のボランティアに学生を引率した仕事のことを書いたが、
http://shinnji28.hatenablog.com/entry/2016/03/11/050000
三回参加したうちの一回に、NHKの記者が同行くださったことがある。
たしか2012年の5月のやつ。
このNHKの記者は本当に立派な方で、行程の途中からではあったものの、夜行バスでの移動も含めて全ての行程をご一緒した。
なお、取材はお一人で、ハンディカメラ的なものを持参されていた。
一例を挙げると、宿舎で学生と一緒にご飯を食べ、風呂に入るところまでご一緒した。
また、そのときだけでなく、事前事後の取材もされていた(後日大学でお見かけしたときは驚いた)。
仮設住宅では、現地の人に「帰れ」と怒鳴られているある民放のテレビを見たことがあるので、「NHKってやっぱすごいんやな」と感じた記憶がある。
もしかしたら、取材に使えるお金の額なんかが違うかもしれないので、単純比較は怒られるかもしれないが、それでもレベルの違う丁寧さであったように思う。

それだけ丁寧な取材をされたのに、放送時間は10分程度だった。
3泊とか4泊ご一緒して、結果が10分である。
そのとき、「この仕事は、削ぎ落とす仕事なんやな」と思った。
本当に必要なこと、伝えたいことだけを削ぎ落として10分にするのは、素人では想像もつかない。
またそのたった10分のためにそれだけの取材の時間をとられたことに驚きを隠せなかった。
NHKにも色々と問題はあるのかもしれないが、個人的にはその一度の出会いによって、以来そっと応援している。
やや不遜な表現になるが、そうして、応援されるような仕事の仕方をしなければ、取材対象から本音を引き出したりすることは難しいだろう。