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松宮慎治の憂鬱

'04京都橘高校卒→'08大阪教育大学卒、私立大学に職員として奉職→'17広島大学大学院教育学研究科博士課程前期高等教育開発専攻修了,そのまま後期課程在学中。とあるきっかけ(http://shinnji28.hatenablog.com/entry/2015/01/10/050000)があって、実名でブログを始めることにしました。特に憂鬱なことはないのですが、大学職員仲間がタイトルを考えてくれたので、そのまま使います。

京都橘大学の勢いがすごい―国際英語学部(仮称)を設置計画中―

京都橘大学の勢いがすごい。
先日もすごいプレスリリースが出ていた。
少し長いけれど引用しよう(赤字は引用者)。

京都橘大学京都市山科区、学長・細川涼一)は、2017年4月開設に向けて同大6つ目の学部となる「国際英語学部(仮称)」の設置準備を進めている。
同学部は、1967年の同大開学からの歴史を持つ人間発達学部英語コミュニケーション学科の教育実績を基盤として設置し、国際共通語としての英語を高度に運用する能力および国際感覚を身につけ、社会のグローバル化に対応できる人材の養成を目指す。
また、国際英語学部設置を前に、2015年11月に竣工した同大の新棟「響友館」に、英語とのふれあいや学習を促進する施設「Tachibana English Community(TEC)」も2016年4月に開設予定。

■国際英語学部(仮称)の概要
□開設予定 
 2017(平成29)年4月
□学部学科
 国際英語学部国際英語学科(グローバルキャリアコース/国際観光コース/英語教育コース)
□設置場所
 京都市山科区大宅山田町34
□教育目標
 国際英語学部国際英語学科は、教学理念に則り、国際共通語としての英語を高度に運用する能力および国際感覚を身につけ、社会のグローバル化に対応できる人材を養成することを目指す。

□学びの特徴(抜粋)
1.学生全員が原則として1年間留学(2回生後期~3回生前期)。
※教職課程履修者へのカリキュラム上の配慮から、6カ月間(2回生後期)の留学プログラムも準備
2.徹底した教育プログラムで、英語の高度な運用能力(TOEICスコア730点以上)を修得し、日本と外国の文化・社会・経済・経営・観光などを英語で学び理解する。
3.進路目標にあわせ、3つのコースを設定。
【グローバルキャリアコース】
 世界で活躍できるビジネスマンを目指し、高度英語運用能力に加え、経済・経営・会計の知識を習得。また、海外でのコミュニケーションのなかでビジネスを円滑に進めるために国際社会で必要とされる文化的素養を身につける。
【国際観光コース】
 観光・航空・ホテル業界への就職を目指し、高度英語運用能力に加え、観光学についての知識を習得。また、地域の魅力や観光資源を認識し、社会に発信するために外国や日本の文化についての深い教養を身につける。
【英語教育コース】
 中学校・高等学校の英語教員を目標に、教員として必要な知識と高度な英語運用能力を身につける。併せて、経済学、経営学に関する知識も身につける。
※設置計画中。計画内容は予定であり、変更することがあります。
※国際英語学部を設置した場合、人間発達学部英語コミュニケーション学科は2017年4月から学生募集を停止します。

学部設置のスケジュールは昨年度から2か月前倒しされているので,2017年4月設置であれば,今年の3月に申請書を提出するのであろう。
学部設置認可の申請書も,教職課程認定の申請書も,提出期日は設置予定の前々年度の3月末である。
当該学部にあたって,今年度4月に設置された本学のグローバル・コミュニケーション学部がベンチマークされたかどうかは定かでないが,おそらくされたであろう。
教職担当者の立場からいえば,留学と教員免許状の取得を両立させるのはなかなか難しい。
それは,留学の期間を1年間としてしまうと,教員免許状は取得できるが,「4年間」で,というのが難しくなるからである。
ふつうの(開放制の)教職課程では,3年次に教科の指導法を置き,4年次に教育実習を置く。
また,教職課程の立場からはコントロールしにくい通年科目の存在もあるし,通常2年次の配当科目が最も多い。
そうすると,1年間の留学をさせようと思うと,専門の学びを考えると3年次に行かせたいが教科の指導法と重複し,2年次に行かせようと思うと数多くの教職にかかわる必修科目と重複することとなる。
これをなんとかするには,教員免許状を取得する学生を意識しながら,彼らのために特別なカリキュラム編成を行うことが必要になる。
京都橘大学のような「半期留学」というのは,本学のグロコミと同様,ある種の最適な現実解となる。
実は「1年留学」でもテクニカルにはなんとでもなるのだが,大規模な大学であればあるほど,そうした意思決定が難しくなることは容易に理解できる。
たとえば,同志社大学のグローバル・コミュニケーション学部では,教員免許状を取得できない。
globalcommunications.doshisha.ac.jp

Q.10 教員免許は取れますか?
A. この学部では教員免許課程を設置しておりません。一年間のStudy Abroadが必修であるため、教職課程の科目すべてを残りの三年間で履修することが困難なためです。

これには,技術的な問題よりも意思決定の難しさが大きく影響しているはずだ。
たとえば留学を教職にかかわる科目に読み替える等して,4年間で免許状を取得できるカリキュラムを組むことは可能だが,学内の意思決定は難しくなる。

本来であれば,このように外国語系の学部で留学が義務づけられているようなカリキュラムで,英語の免許状が取得できない(あるいは,免許状を取得できるようにするためには,テクニックが必要)というのは望ましくない。
これは,教員免許状(あるいは教育職員免許法)というものが非常にガラパゴスなものであることに起因している。教員資格ほど,各国の文脈に依存するものもなかなかない。
しかしながら,近い将来これらについても,国際的な共通性を備えた枠組みができはじめると思われるし,わが国においても各種学協会では既に検討が始まっていることだろう。