松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

【3.変更届を作成する際に必要となる知見①―再課程認定申請が必要か否か―】サルでもわかる「はじめての変更届」―初学者のためのチュートリアル―

【1.はじめに】サルでもわかる「はじめての変更届」―初学者のためのチュートリアル― - 松宮慎治の憂鬱
【2.変更届とは何か―どういう時に提出が必要か?―】サルでもわかる「はじめての変更届」―初学者のためのチュートリアル― - 松宮慎治の憂鬱
続きです。

3.変更届を作成する際に必要となる知見①―再課程認定申請が必要か否か―

 前述のように、変更届は「課程認定を受けた当時からカリキュラムを少し変更するので、届け出ますね」という趣旨のものです。また、変更届の提出の際に気にしなければならないのは、おおまかに言えば「専任教員に関わる変更」「授業科目に関わる変更」の2つだけであることも既に述べました。このとき、遺漏なく確認しておかなければならないことがあります。それは、当該カリキュラム変更が「再課程認定申請をする必要がない程度の、軽いもので間違いないか」ということです。仮に「専任教員に関わる変更」が学部学科の再編と伴うものであったら?「授業科目に関わる変更」が総体としてのカリキュラムの大幅な改変を含むものだったら?それは、再課程認定申請をする必要がある重大な変更である可能性があります。
 再課程認定申請をする必要がある場合は、以下の7パターンに限定されています*1

① 新規に学部・学科等を設置し、教職課程の認定を受けようとする場合
② 認定を受けている課程を含む学部・学科等を改組し、学部・学科等を設置認可申請により設置する場合で、引き続き教職課程の認定を受けようとする場合(公・私立大学)
③ 認定を受けている課程を含む学部・学科等を改組し、学部・学科等を届出により設置する場合で、引き続き教職課程の認定を受けようとする場合(公・私立大学)
④ 認定を受けている課程を含む学部・学科等を改組し、学部・学科等を設置する場合で、引き続き教職課程の認定を受けようとする場合(国立大学)
⑤ 認定を受けている課程を含む学部・学科等の分離を行う場合
⑥ これまで認定を受けていない学部・学科等に新たに認定を受けようとする場合
⑦ これまで認定を受けている課程を含む学部・学科等に、新たな種類の免許状の認定を受けようとする場合

 にわかにややこしくなってきましたが、①や⑥や⑦はわかるでしょう。教職課程を新たに設置する、あるいは今あるものに追加するという、新規の設置のことを示しています。④は国立大学なので当てはまりませんね。判断が難しいのは、②③の改組と⑤の分離です。改組とは何を指すのでしょうか。分離とは何を指すのでしょうか。結論から言うと「怪しいケースが出てきたら、勝手に判断せずに文部科学省に相談する」のがいいです。
 勝手に判断せずに文部科学省に相談するのがいいと言える根拠となるQ&Aが2つありますので、以下に記載しておきます*2。これを見れば、再課程認定申請が不要だと勝手にすることが危険だと理解できます。
 一つ目のQ&Aがこちらです。

 認定課程を有する学科が、改組となった場合に、再度課程認定を受ける必要があるか。届出設置の場合には、変更届の提出でよいのか。例えば、以下のような場合には、再課程認定申請が必要か。
(例)
認定課程を有する学部学科と認定課程:
○外国語学
英語学科  = 中一種免(英語)
日本語学科 = 中一種免(国語)
改組後:
○外国語学部 
多言語多文化学科
英語専攻  = 中一種免(英語)
日本語専攻 = 中一種免(国語)
 設置届出であるか否かに関わらず、「課程認定審査の確認事項」1(1)より、組織の設置、廃止及び分離と解される場合には、原則として新たに教職課程認定を受けなければならない。例の場合は、外国語学部において、既存の学科を廃止し、新たな学科の設置が行われていることから、新たに教職課程認定を受けなければならない。
 なお、分離の場合で、従前の学科等の学科名称、教育課程、教員組織及び学位(又は学科の分野)の全てについて同一とみなされる学科等が分離後の組織として残る場合には、その学科等については必ずしも再課程認定を要しない場合がある。
 いずれにせよ、教職課程認定を受けた際と異なる組織や教育課程等に変更を予定している場合には、文部科学省に相談すること。

 このQ&Aでは、「なお、」以降がクセモノです。「必ずしも再課程認定を要しない場合がある」というような曖昧な表現がされている事項について、文部科学省に相談することなく「今回のケースはこれに当てはまっているのだ」と断言することは難しいでしょう。
 以下が、参考になる二つ目のQ&Aです。

 現在教職課程認定を受けている学科の入学定員を増員したいが、その場合に再度教職課程認定を受ける必要があるか。また、学科名称のみを変更する場合はどうか。
 原則として、学科の改組等を伴わない入学定員及び学科名称のみの変更であれば、改めて課程認定申請をする必要はないが、変更の届出が必要である。なお、当該学科等の教育課程の内容(教職課程に限らずに学科等全体の教育課程)が変更となる場合には、再度課程認定を受けることが必要になる場合があるため、特に、学科名称変更を行う場合には留意すること。
 また、変更の届け出のみで済む場合であっても、入学定員に応じて必要専任教員数が変わることなどに留意し、変更に伴って、教職課程認定基準を下回ることがないようにすること。(担当教員等を増員(変更)する場合には、適切な業績を有する者であるかどうかを確認することが重要である。その他、変更内容について大学が責任をもって確認し、変更の届出を行うこと。)
【参考】(2)変更届の提出の要否(4頁)

 ここでも婉曲な表現が多用されています。結局のところ、「当該学科等の教育課程の内容(教職課程に限らずに学科等全体の教育課程)が変更となる場合には、再度課程認定を受けることが必要になる場合がある」とありますが、教育課程の内容の変更というのは、その程度が問題になってきます。したがって、物事の程度を自分だけのモノサシで推し量ることは危険だということがわかるでしょう。
 ちなみに、本学は平成28年度に向けて、栄養学部の定員変更を行いました。事前相談の内容は以下のとおり*3で、再課程認定申請を行わずに済まないですかという相談をしましたが、最終的に「再課程認定申請を行ってください」という結論になりました。行政の立場に鑑みれば、微妙なケースであれば一応再課程認定申請をさせておくというのが妥当な判断なので、やはり「怪しいケースが出てきたら、勝手に判断せずに文部科学省に相談する」のが正解ということになります。
 変更届の作成は、年度末近くになってから行われることが多いようです。年度末の時期に、当該カリキュラム変更が「再課程認定申請をする必要がある程度の、重大な変更だった」ということに気づいても、時既に遅しということになります。ゆえに、教員からカリキュラム変更の相談があった場合には、その変更の程度が「再課程認定申請をする必要がない程度の、軽いもので間違いないか」ということを事務担当者として確認し、不安がある場合は必要に応じて文部科学省に事前相談等*4を行いましょう

*1:『教職課程認定申請の手引き(平成28年度開設用)』p.3,(1)課程認定申請の要否

*2:『教職課程認定申請の手引き(平成28年度開設用)』p.202-203,Q&A38,41

*3:内部情報のため省略

*4:『教職課程認定申請の手引き(平成28年度開設用)』p.10-11.(3)事前相談