松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

【(再)課程認定に関するQ&A その5】カリキュラムを変更したら,変更届はどう出すの?

今日のご質問は,「カリキュラムを変更したら,変更届はどう出すの?」というものです。
ポイントは厳密にいえば課程認定ではないのですが,ご質問にあるとおり,関係はあります。

Q

突然のご連絡失礼致します。
先日、10/7の教員免許事務勉強会に参加させていただいた
××大学の××と申します。

とても有意義な会でした。話題提供ありがとうございました。

本学××学科は、××教諭を養成する学科で、
××課程はH××年度(××年度)から始まり、今年度、完成年度を迎えます。

そのため、次年度(H30年度)からのカリキュラム変更を予定しており、
今年度末に提出する変更届の準備をしております。

そこで、質問させてください。


H30年度の変更届
(教育の基礎的理解に関する科目)で、
担当教員を専任Aから非常勤Bに、また、履修年次を1年次から3年次に変更予定の科目があります。
・専任から兼任への変更なので、非常勤Bの業績書の提出は不要。
・3年次開講なので、H30、31年度は休講。
となります。

再課程認定では、H30年度に担当している教員がH31年度と同じ場合は、業績書の提出が不要となりますが、
この場合、H30年度が休講になるので、H30年度とH31年度が同じ担当とはみなされず、
非常勤Bの業績書の提出が必要になり、審査対象となるでしょうか。


質問を受け付けていただけるという記事を見て、
失礼を承知でメールさせていただきました。

突然で本当にすみません。
ご教示いただけますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。

こちらに対する私の回答は,次のとおりです。

A


お問い合わせありがとうございます。

> H30年度の変更届
>(教育の基礎的理解に関する科目)で、
> 担当教員を専任Aから非常勤Bに、また、履修年次を1年次から3年次に変更予定の科目があります。
2018年度入学生から履修年次を変更する,という理解でよいでしょうか。
そうであれば,2018年度カリキュラム→2019年度カリキュラムで担当教員は変更しないので,
業績書等の提出は不要です。
このように,課程認定も変更届も,入学年度でカリキュラムをわけて考える必要があります。

このように,カリキュラムは入学年度ごとに考えるのが基本となります。
実際に担当教員をあてる際には,新しいカリキュラムと古いカリキュラムを整合的に考えるとしても,形の上ではわけて考えればよいです。
ですので,同じ学部学科でも,複数のカリキュラムが走っている場合は,古いカリキュラムを履修する学生が在籍する限りは,複数枚の変更届を提出するようにしています。
(細かく言うと別の手段が色々あるのですが,原則的にこのように考えると混乱が生じにくくなります)

【(再)課程認定に関するQ&A その4】事前相談って何?

今日のご質問は,「事前相談って何?」というものです。

Q

突然のご連絡失礼いたします。私立大学で教職課程を担当している、××と申します。貴ブログを拝見し、職場を離れて、個人的に松宮様にご教示いただきたいことがあり、初めてメールをお送りさせていただく次第です。

勤務先は非常に小さな大学で、私は他業務と兼務で、教職課程を1人で担っております。今回のように、再課程認定という大仕事は初めてで、文部科学省に問い合わせるのも憚られるような疑問を解消したく、インターネットで検索していたところ、松宮様のブログに行き着きました。

教えていただきたいのは、「事前相談とは何か?」ということです。平成29年7月7日付の『教職課程認定申請の手引き(平成31年度開設用)【再課程認定】』暫定版p.10においては、「申請書等の作成内容や方法に関して、各法令等の趣旨や過去の課程認定委員会での指摘等を元に、事務的な確認を行う」とあります。しかし、専門的審議が必要なもの、書類全体の添削を求めるようなものは対応できないとの説明が続いています。そうしますと、申請書は手引き等に基づき確認を重ねて完成させるほかなく、担当者としては気がかりである教員業績等については対応不可とのことで、「一体、何を相談するのだろう?」との疑問が拭えません。事前相談は任意ですから、相談がないならないに越したことはないのだろうと思います。しかし、「そのようなステップを怠ったばっかりに、申請書提出時に不備等が生じてしまったら…」という不安もあります。基本的な理解が欠如しており、お恥ずかしい話なのですが、ご教示くださいますようお願いいたします。

こちらに対する私の回答は,以下のとおりです。

A

お問い合わせありがとうございます。

通常の課程認定の事前相談では,確認すべきことは次の3つです。
 (1)免許教科と学位名称の関係が深い(「相当関係」)
(2)「教科に関する科目」に卒業要件科目が相応に含まれる
 (3)「共通開設科目」の取扱いに違反していない
また,通常の課程認定では必ず事前相談には行った方がいいです。

しかし,再課程認定では全大学の相談には物理的に乗れませんので,相談に行かないということもありうると思います。
内容的にも,私自身何を質問すべきかはかりかねています。
あえていえば,提出予定書類のうち,特に個人調書に遺漏がないかを確認することになると思います。
具体的には,様式2号にもとづき(担当教員名はダミーであるとしても),
個人調書の提出予定教員を示し,漏れがないか確認するといったことです。

謙遜されていますが,かなり重要な質問だと思います。
言えることは,全大学の相談に乗るのは物理的に無理というものです。
したがって,このように疑問を共有化することが大事だと考えます。

【(再)課程認定に関するQ&A その3】クラス分けされている科目でシラバスの内容が微妙に異なる場合,全部提出することになるの?

今日のご質問は,「クラス分けされている科目でシラバスの内容が微妙に異なる場合,全部提出することになるの?」というものです。

Q1

突然のメール失礼いたします。
××大学 ××部 ××課 教職担当の××と申します。

平素より、全私教協や京都地区の勉強会にも参加させていただいており、
松宮様のご発表、またブログも拝見しており、勉強させていただいております。
いつも様々な情報を提供いただき、大変ありがたく存じます。

さて、本日は(再)課程認定申請に関して、英語の教科で困っていることがあり、
ご相談させていただきたくご連絡を申し上げた次第です。
ご多用のところ大変恐れ入りますが、ご教示いただければ幸いです。


【相談内容】

再課程認定申請では英語コアカリが定められたことに伴い、
全ての科目でシラバスの提出が求められていると認識しております。
(Q&A153より)

本学では英語の教科に関する科目はクラス分けでの開講が多く、
授業担当者はクラスごとに異なります。
英語は特に演習科目が多いため、少人数編成としているほか、
習熟度ごとにクラスを分けているため、同一科目を複数開講しております。

そのため、基本的にはシラバスも担当者ごとに作成しておりますが、
課程認定申請上、同一名称科目のシラバスを複数作成することが
文科省に認められるのか、ご意見をいただきたく存じます。

H30開設用の課程認定申請手引きの解説書PP.216~にもありますが、
実地視察等で複数シラバスに対しては全学で調整するよう指摘があり、
課程認定申請でもかなり厳しくみられるのではないかと考えております。

これを受け、本学でも次の3案いずれかの対応が必要と考えていますが、
ご意見をいただければ幸いです。
1)担当者ごとに作成したシラバスの内容をできるだけ均す
2)モデルとなるシラバスを作成し、これを踏まえて各自で作成
3)各授業のシラバスを1つに統一して作成

                             以上


なお、本学では教職に関する科目を案3)のように1つのシラバス
作成しておりますが、こと英語に関しては、授業の内容が担当者によって
振れ幅があるようで、現場の先生方にどのようにシラバス作成をお願いするか
迷っている次第でございます。

また、このたび松宮様にご相談させていただきましたのも、
貴学グローバル・コミュニケーション学科の中高・英語の課程認定申請に
携わられていたことを拝見し、ご経験をご紹介いただければと考えた次第です。

もし、上記3案以外でご対応された経験などがございましたら、
アドバイス等をいただければ幸いです。


以上、大変恐れ入りますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

これに対する私の回答は,以下のとおりです。

A1

お問い合わせありがとうございます。

> 1)担当者ごとに作成したシラバスの内容をできるだけ均す
> 2)モデルとなるシラバスを作成し、これを踏まえて各自で作成
> 3)各授業のシラバスを1つに統一して作成
> なお、本学では教職に関する科目を案3)のように1つのシラバス
> 作成しておりますが、こと英語に関しては、授業の内容が担当者によって
> 振れ幅があるようで、現場の先生方にどのようにシラバス作成をお願いするか
> 迷っている次第でございます。
形式的には,「3)」になるのではないでしょうか。
というのも,担当形態がクラス分けである場合は,「クラス分け」と記載する必要があるためです(『手引き(平成30年度開設用)』p.80)。
実務上,シラバスに揺れが生じうるのはわかります。
しかし,形式的には同じ授業科目なので,シラバスレベルだと「3)」になるように思います。

これに対して,追加のご質問をいただきました。

Q2

早速ご回答いただきまして、誠にありがとうございます。
仰る通り、案3)がシンプルで事務的には望ましいと思いました。
貴学でも課程認定申請ではこのようにご対応されたということでしょうか?


一方で、後出しとなってしまい申し訳ありませんが、
いまいちどQ&Aを確認したところ、次の回答がありました。

(Q&A:129 より)
「同一科目で担当教員によりシラバスの内容が異なる場合において、
 シラバスおよびコアカリキュラム対応表はそれぞれ提出必要がある」

(Q&A:133 より)
「同一名称の授業科目において、
 クラス分けなどにより複数の教員が担当する場合においては、
 各教員において授業計画の内容が異なる場合においては
 各クラスに対応するコアカリキュラム対応表の提出が必要となる。」

文科省としては、従来は「同一科目は同じ内容が望ましい」との意向と認識しておりました。
ただ、Q&Aを見ると「必ずしも同じシラバスにする必要はない」と考えているのでしょうか。
授業の実態としても、シラバスを統一しなくてよければ先生方も都合良いのかもしれません。
私もますます混乱してきましたが、この点はいかがでしょうか?

これに対する私の回答は以下のとおりです。

A2

> 貴学でも課程認定申請ではこのようにご対応されたということでしょうか?
私はそのようにしました。


> 文科省としては、従来は「同一科目は同じ内容が望ましい」との意向と認識しておりました。
> ただ、Q&Aを見ると「必ずしも同じシラバスにする必要はない」と考えているのでしょうか。
> 授業の実態としても、シラバスを統一しなくてよければ先生方も都合良いのかもしれません。
> 私もますます混乱してきましたが、この点はいかがでしょうか?
これは,質問自体が野暮というもので,このような質問が来ると,
このように答えざるをえないということだと思います。

・同じ授業科目名で評価を下すのだから,内容や方法に大きな乖離があるのは望ましくない(という当たり前の話)
・それでもあえて乖離があることを前提とすれば,個々に判断するしかない(全てにコアカリを提出してもらう必要が出てくる)
ということだと思います。
私なら学内事情や事務手続きの煩雑さに鑑み,より都合の良い方を選びます。

以上の質問に対する私見を述べます。
私としてはA2に書いたことが全てです。具体的には次の2つですね。
(1)同じ授業科目名で評価を下すのだから,内容や方法に大きな乖離があるのは望ましくない(という当たり前の話)
(2)それでもあえて乖離があることを前提とすれば,個々に判断するしかない(全てにコアカリを提出してもらう必要が出てくる)
原則的には(1)だと思いますよ。
乖離がめちゃくちゃ大きかったら,それ同じ科目でしょうか,ということになるので。
私の過去の経験は,新学部で既存の授業(シラバス)がなかったため,「各授業のシラバスを1つに統一して作成」ができました。
このあたりは,個々の大学の事情によると思われます。

【(再)課程認定に関するQ&A その2】「教職センター」付教員は,どこかの学科に所属させないといけないの?

今日のご質問は,「「教職センター」付教員は,どこかの学科に所属させないといけないの?」というものです。

Q1

お世話になっております。
××大学 ××センター ××です。

いつもご相談ばかりで恐縮です。

松宮さんのHPの解説につきましてお尋ねしたいことがございます。
▼ 2015-02-27 の
【注意】いわゆる「教職センター」付教員は、課程認定上の専任教員としてカウントできるか?
というブログの内容です。
http://shinnji28.hatenablog.com/entry/2015/02/27/050000

・「センターの仕事をする専任教員は、人事発令上、どこか教職課程を持つ学部に貼りつけておく必要があります。
もちろんしなくてもいいですけど、その場合は課程認定上の専任としてカウントできません。」
というご説明に混乱しております。

●本学でも、文科省の意向に基づいて「××センター」という組織を一昨年作りました。
それまでの「××センター」から教職教員4人が独立し、
教務課職員1名とパート職員、
それに××センター元所長も加わって、
教員採用試験対策用実務を担当してもらっています。
しかし、特に学科には所属していません。

▼××センター所属専任教員4名(課程認定に必要な教職教員の人数は満たしている)が、
教職課程の各免許課程を置いている学科に所属した教員ではありません。
(学務に聞きましたら、補助金をもらうための専任教員としてカウントはされているとのこと)

文科省的には、
H31年度の再課程認定でいずれかの学科に所属させなければならないのでしょうか。
開放制の教職課程を持つ××系大学の大半は、教職専任教員が学科に所属していないのではないかと思いますが・・。

すみませんが、
よろしくお願いいたします。

私の回答は次のとおりです。

A1

ご指摘のとおり,発令だけでもどこかの学部にしておく必要があります。

『教職課程認定申請の手引き(平成30年度開設用)』p.204 Q&A13
Q 学科等にではなく、教職センターのような学内組織に所属する教員は、学科等の専任教員として含めてもよいか。
A 学科等の専任教員は、認定課程を有する学科等に籍を有する者でなければならないため、センターのみに籍を置く教員を専任教員に含めることはできない。
  ただし、センターの業務を本務としている者であっても、認定課程を有する学科等にも籍を置いているのであれば、当該学科等における専任教員として扱うことは可能である。
 【参照】「教職課程認定基準」3(4)

これに対して,追加の質問をいただきました。

Q2

早速のご回答ありがとうございます。
たとえば、
「このまま、センター付けのみで放置」しておいて、
後々問題になりますでしょうか?(変なご質問ですが)

私の回答は次のとおりです。

A2

問題にはなりませんが,その先生方は専任教員としてはカウントできません。

以上のQ&Aに関する私見を述べます。
大学内で用いている「専任教員」と,教職の文脈で用いている「専任教員」は定義が異なります。
後者は課程認定基準にもとづいています。
たとえば,学内的にはA学部の専任教員の先生でありながら,同時に「教職に関する科目」の「専任教員」としてカウントされることもありえます。
このように,教職課程では「専任教員」の数でもって,制度的には質保証がなされています。
その上でこの方のご質問ですが,文部科学省(政府?)は,必ずしもセンター組織の設置を義務づけてはいません。
趣旨は,個々の学部学科がバラバラに動くのではなく,ある程度一体感をもって動かしましょうねということにあり,そのツールとしてセンター組織を提案しているにすぎません。
したがって,各々の大学の規模,組織文化等にあわせて,センター組織を設けたり設けなかったりする必要があると思います。
一方,近年の動向を受けてセンター組織を設置した大学が結構あるのもまた事実であり,この問題はなんとかならんかなと前から感じています。
センター組織を設けて,そこで教員を採用した場合,「教職に関する科目」の「専任教員」としても同時にカウントしたいのが人情でしょう。

【(再)課程認定に関するQ&A その1】はじめに

先日,私に来る(再)課程認定に関するQ&Aを公開してもらえないかという要望をいただきました。
これを受けて,了承のいただいたものだけ,大学や所属が特定されないようにぼかして公開していきます。
内容に誤りがあったり,あるいは質問いただいた趣旨と私のアレンジがズレすぎていたら,ご連絡ください。
ブログの弱みですが,時間が経つと制度等が変わり,正確さを棄損することがあります。
その点,ご了解ください。

中澤渉(2014)『日本の公教育費はなぜ少ないのか―教育の公的役割を問いなおす』(勁草書房)を読了

標記の本を読了した。
中澤先生の書籍は入試改革のものを読んだことがあった。

一方本書では,高等教育の行財政(費用負担)に関して複数の論点を提示されている。
たとえば,
・教育と社会福祉社会保障との関係(それらの国際比較)
・特に高等教育の費用負担の歴史的整理
民主党政権の教育政策への賛否(フェアな評価)
等である。
高等教育の無償化が政策課題となっている昨今,0か100かではない,本書のような精緻な議論が求められる。
入試改革の社会学

入試改革の社会学

山谷清志(2012)『政策評価』(ミネルヴァ書房)を読了

政策評価の基本的なことを知りたくて,標記の本を読了した。
BASIC公共政策学の第9巻とあって,門外漢にやさしい構成となっていた。
「政策」とは,「評価」とは何かといった基本的なことから,日本における政策評価制度の展開まで,
基礎→応用と勉強になった書籍であった。

政策評価 (BASIC公共政策学)

政策評価 (BASIC公共政策学)