松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

【(再)課程認定に関するQ&A その3】クラス分けされている科目でシラバスの内容が微妙に異なる場合,全部提出することになるの?

今日のご質問は,「クラス分けされている科目でシラバスの内容が微妙に異なる場合,全部提出することになるの?」というものです。

Q1

突然のメール失礼いたします。
××大学 ××部 ××課 教職担当の××と申します。

平素より、全私教協や京都地区の勉強会にも参加させていただいており、
松宮様のご発表、またブログも拝見しており、勉強させていただいております。
いつも様々な情報を提供いただき、大変ありがたく存じます。

さて、本日は(再)課程認定申請に関して、英語の教科で困っていることがあり、
ご相談させていただきたくご連絡を申し上げた次第です。
ご多用のところ大変恐れ入りますが、ご教示いただければ幸いです。


【相談内容】

再課程認定申請では英語コアカリが定められたことに伴い、
全ての科目でシラバスの提出が求められていると認識しております。
(Q&A153より)

本学では英語の教科に関する科目はクラス分けでの開講が多く、
授業担当者はクラスごとに異なります。
英語は特に演習科目が多いため、少人数編成としているほか、
習熟度ごとにクラスを分けているため、同一科目を複数開講しております。

そのため、基本的にはシラバスも担当者ごとに作成しておりますが、
課程認定申請上、同一名称科目のシラバスを複数作成することが
文科省に認められるのか、ご意見をいただきたく存じます。

H30開設用の課程認定申請手引きの解説書PP.216~にもありますが、
実地視察等で複数シラバスに対しては全学で調整するよう指摘があり、
課程認定申請でもかなり厳しくみられるのではないかと考えております。

これを受け、本学でも次の3案いずれかの対応が必要と考えていますが、
ご意見をいただければ幸いです。
1)担当者ごとに作成したシラバスの内容をできるだけ均す
2)モデルとなるシラバスを作成し、これを踏まえて各自で作成
3)各授業のシラバスを1つに統一して作成

                             以上


なお、本学では教職に関する科目を案3)のように1つのシラバス
作成しておりますが、こと英語に関しては、授業の内容が担当者によって
振れ幅があるようで、現場の先生方にどのようにシラバス作成をお願いするか
迷っている次第でございます。

また、このたび松宮様にご相談させていただきましたのも、
貴学グローバル・コミュニケーション学科の中高・英語の課程認定申請に
携わられていたことを拝見し、ご経験をご紹介いただければと考えた次第です。

もし、上記3案以外でご対応された経験などがございましたら、
アドバイス等をいただければ幸いです。


以上、大変恐れ入りますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

これに対する私の回答は,以下のとおりです。

A1

お問い合わせありがとうございます。

> 1)担当者ごとに作成したシラバスの内容をできるだけ均す
> 2)モデルとなるシラバスを作成し、これを踏まえて各自で作成
> 3)各授業のシラバスを1つに統一して作成
> なお、本学では教職に関する科目を案3)のように1つのシラバス
> 作成しておりますが、こと英語に関しては、授業の内容が担当者によって
> 振れ幅があるようで、現場の先生方にどのようにシラバス作成をお願いするか
> 迷っている次第でございます。
形式的には,「3)」になるのではないでしょうか。
というのも,担当形態がクラス分けである場合は,「クラス分け」と記載する必要があるためです(『手引き(平成30年度開設用)』p.80)。
実務上,シラバスに揺れが生じうるのはわかります。
しかし,形式的には同じ授業科目なので,シラバスレベルだと「3)」になるように思います。

これに対して,追加のご質問をいただきました。

Q2

早速ご回答いただきまして、誠にありがとうございます。
仰る通り、案3)がシンプルで事務的には望ましいと思いました。
貴学でも課程認定申請ではこのようにご対応されたということでしょうか?


一方で、後出しとなってしまい申し訳ありませんが、
いまいちどQ&Aを確認したところ、次の回答がありました。

(Q&A:129 より)
「同一科目で担当教員によりシラバスの内容が異なる場合において、
 シラバスおよびコアカリキュラム対応表はそれぞれ提出必要がある」

(Q&A:133 より)
「同一名称の授業科目において、
 クラス分けなどにより複数の教員が担当する場合においては、
 各教員において授業計画の内容が異なる場合においては
 各クラスに対応するコアカリキュラム対応表の提出が必要となる。」

文科省としては、従来は「同一科目は同じ内容が望ましい」との意向と認識しておりました。
ただ、Q&Aを見ると「必ずしも同じシラバスにする必要はない」と考えているのでしょうか。
授業の実態としても、シラバスを統一しなくてよければ先生方も都合良いのかもしれません。
私もますます混乱してきましたが、この点はいかがでしょうか?

これに対する私の回答は以下のとおりです。

A2

> 貴学でも課程認定申請ではこのようにご対応されたということでしょうか?
私はそのようにしました。


> 文科省としては、従来は「同一科目は同じ内容が望ましい」との意向と認識しておりました。
> ただ、Q&Aを見ると「必ずしも同じシラバスにする必要はない」と考えているのでしょうか。
> 授業の実態としても、シラバスを統一しなくてよければ先生方も都合良いのかもしれません。
> 私もますます混乱してきましたが、この点はいかがでしょうか?
これは,質問自体が野暮というもので,このような質問が来ると,
このように答えざるをえないということだと思います。

・同じ授業科目名で評価を下すのだから,内容や方法に大きな乖離があるのは望ましくない(という当たり前の話)
・それでもあえて乖離があることを前提とすれば,個々に判断するしかない(全てにコアカリを提出してもらう必要が出てくる)
ということだと思います。
私なら学内事情や事務手続きの煩雑さに鑑み,より都合の良い方を選びます。

以上の質問に対する私見を述べます。
私としてはA2に書いたことが全てです。具体的には次の2つですね。
(1)同じ授業科目名で評価を下すのだから,内容や方法に大きな乖離があるのは望ましくない(という当たり前の話)
(2)それでもあえて乖離があることを前提とすれば,個々に判断するしかない(全てにコアカリを提出してもらう必要が出てくる)
原則的には(1)だと思いますよ。
乖離がめちゃくちゃ大きかったら,それ同じ科目でしょうか,ということになるので。
私の過去の経験は,新学部で既存の授業(シラバス)がなかったため,「各授業のシラバスを1つに統一して作成」ができました。
このあたりは,個々の大学の事情によると思われます。