本書は,2000年代前半から2010年代中盤までの筆者の各種論稿を加筆・修正して所収したものである。
その対象は,高等教育をめぐる組織,政策,制度改革,マネジメント,大学団体,大学職員とかなり幅広く,それら幅広い対象を,組織とガバナンスの観点からまとめあげようと試みられている。
筆者自身がそう書いているように(p.293),テーマの終着点は第1章に表現されている。
第1章では,ガバナンス・マネジメント・リーダーシップという3つの鍵概念を提示し,これらが日本の高等教育では混用されていると指摘する。
そして,組織論にもとづかない「特定のトピックに沿った命題を繰り返す特徴がある」(p.9)と喝破する。
こういうことが流行しているから,大学も対応しなければならない,的な思考はある種のイデオロギーですよ,高等教育研究者はきちんと勉強しましょうねというメッセージを感じ取った。
第1巻ということだが,続編はどのようになるのだろうか。(本書だけでも,広範なテーマについて論じられている。この感じで何巻まで出すのだろう。。)
- 作者: 羽田貴史
- 出版社/メーカー: 東信堂
- 発売日: 2019/03/29
- メディア: 単行本
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