本書は,アメリカ高等教育のアカデミック・キャピタリズム的な知と学問の現状,発展,課題について包括的に論じたものである。
本書の重要な指摘は,単にアメリカの大学の商業主義を批判しているのではなく,それらが「政策、媒介組織と新しいすき間組織、アクターとその実践から成る複雑な配置やネットワークの中に埋め込まれている」(p.490)と指摘する点であろう。
埋め込まれている側の政策やアクター,ネットワークの側が,社会と適切に関与し,得られた利益を未来のために再投資することが推奨されているように思われた。
章立ては以下のとおり。
第1章 アカデミック・キャピタリズムの理論
第2章 アカデミック・キャピタリズムの政治的背景
第3章 特許政策:法律の変化と商業的拡張
第4章 特許政策の影響:学生と教員
第5章 著作権:大学の政策と実践
第6章 著作権の影響:大学の中心的機能の商品化
第7章 学科レベルのアカデミック・キャピタリズム
第8章 大学執行部のアカデミック・キャピタリズム
第9章 権力のネットワーク:理事長と学長
第10章 スポーツ:契約、商標、ロゴ
第11章 学士課程学生と教育市場
第12章 アカデミック・キャピタリズム的な知と学問の体制
アカデミック・キャピタリズムとニュー・エコノミー―市場、国家、高等教育 (叢書・ウニベルシタス)
- 作者: シェイラスローター,ゲイリーローズ,Sheila Slaughter,Gary Rhoades,成定薫,阿曽沼明裕,杉本和弘,羽田貴史,福留東土
- 出版社/メーカー: 法政大学出版局
- 発売日: 2012/11/01
- メディア: 単行本
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