標記の本を読了した。
本書で最も勉強になったのは,第Ⅰ部の「認識論」である。
特に,存在論の2つの立場(基礎づけ主義と反基礎づけ主義)と認識論の3つの立場――実証主義(positivism),解釈主義(interpretivism),批判的実在論(critical realism)――の紹介と体系づけが行われた箇所は勉強になった。
さらに,先行研究として引用されているGrix(2010)*1による研究の論理的手順――存在論的立場の同定→認識論的立場の同定→(研究の)問いの導出→手法の導出→情報源の選定――も参考になった。
これまで,言ってみればこのように体系化された形ではなく,その都度パッチワーク的に勉強してきたことが整理できた。
このようなことを最初の段階で知っておくことはかなり重要だと思われるが,「なるほど!あれはそういうことだったのか」と腹落ちできるという意味で,いつ読んでも勉強になりそうであった。
この本は何度か読み返すことになると思うし,買ってよかった。
- 作者: 野村康
- 出版社/メーカー: 名古屋大学出版会
- 発売日: 2017/05/27
- メディア: 単行本
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*1:Grix, J. (2010) The foundations of reserach, 2nd ed. Basingstoke: Palgrave Macmillan.