松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

チャールズ・E・リンドブロム/エドワード・J・ウッドハウス著,藪野祐三/案浦明子訳『政策形成の過程ー民主主義と公共性』(東京大学出版会)を読了

標記の本を読了した。
本書を読んだ理由は,リンドブロムの提唱した「漸増主義(インクリメンタリズム)」について,基本的な確認をしておきたかったからである。
インクリメンタリズムというのは,端的にいえば政策形成過程において,すべての利害関係者の合意をとりつけることは不可能であるため,「少しの変更を繰り返す」ことにより,政治的に実現可能な決定を重ねていくことを指す。
わかりやすいのは予算で,予算額をちょっとずつ増やすことで改善を重ねる(ことにする)というものである。
このような方法の問題点は,現実解が最重要なので,抜本的な改善は不可能ということである。
まあこれは良いとか悪いとかではない。
それで,インクリメンタリズムは行政学の主要概念のようなのだが,少なくともこの本では中心的に扱われいない(と,自分は感じた)。
政策形成過程に広く焦点をあて,その中の一部のようにしか見えなかった。
このため,当該概念にあたるためには,たぶん英語論文にあたらないといけない。なので,以下にメモを残しておく。

Charles E. Lindblom, "The Science of ` Mudding Through '," Public Administration Review 19 (1959): 79-88


政策形成の過程―民主主義と公共性

政策形成の過程―民主主義と公共性