松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

電通社員の自死とその労災認定に寄せて

標記のニュースを拝見して,気分が沈んでいた。
この理由はなんとなく自分でもわかっていて,亡くなった方のツイッターを見てしまったからだろう。
また,自分のフォロワーは教育関係者が多いので,議論というか,この件に関する意見交換が結構なされて,深く考え込んでしまったということもある。
ツイッターというのは,いわゆる「社畜アカウント」的なつぶやきが結構流れるし,時には自分自身がしていることもある。
フェイスブックと違ってそういったネガティブな情報も流れやすいのがツイッターである。
件の方は,長時間労働に加えて,パワハラ・セクハラ,いびりを受け,ほとんど人間としての尊厳を失っていたと推量できる。
そのような状態に陥ると,退職・休職,バックれるといった判断自体が困難になってしまう。
したがって,誰か第三者が介入して,無理やり休ませたり,退職させたりする必要がある。
それをすべきなのは第一には上司や同僚であろうが,それができない環境である上,住まいは会社寮で一人暮らしとなれば,逃げ場のなさは想像に難くない。

では,こういったケースは電通だけの問題なのか?というと当然そうではない。
たとえば,ぼくの勤務する業界でもこういった話は数多く聞いてきた。
時に若くて優秀な人は,嫉妬もあって追い込まれやすい印象がある。一つや二つではない。国公私立も関係ない。
高等教育機関なのだから,働く環境も人もクリーンだろう」。
そんな風に信じていた時期が,ぼくにもありました。しかし,現実はそうではない。
組織がかけがえない一個人を殺してしまうということが,普通に行われている。
考えたくはないが,業界に関係なく,ほぼどこでもそうなのだろう。

ぼくも仕事が仕事なので,時々卒業生が仕事の愚痴を(おそらくどこでも言えないので)言いに来たりする。
また,卒業する前の学生が,「社会人になりたくない」と言っていたりする。
こんな社会で,家族を持ち,子どもを育てようという雰囲気が強化されるはずがない。
この手の労働問題には,働きだした当初,つまり2008年頃からずっと関心をもってきた。
だが,10年近くたってもほとんど変わっていない。この国の労働環境は,若者に見放されつつある。
自分も見放しつつある。