松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

自分の人生にSMAPを引き寄せようとする人々

ぼくはSMAPの結成の2年前に生まれている。
すなわち,物心ついたときには既にSMAPはいたことになる。
SMAPが「国民的」と形容される理由は,第1にさまざまな年代層に愛されたことにあるだろう。
たとえば亡くなった祖母なども,中居正広出演のドラマを見ていた。
一方,ぼくの通っていた小学校では,1年にひとつ,テーマとなる歌謡曲をみんなで歌うという文化があったのだが,小4だか小5だかに設定されたのが,「夜空ノムコウ」であった。
今から思えば,「夜空ノムコウ」やその前年の「青いイナズマ」あたりから,SMAPのジャンプアップは始まった気がしている。
たとえば1996年に木村拓哉山口智子主演の「ロングバケーション」というドラマがあったが,ぼくの世代で,このドラマについて全く知らない人はたぶんいない。
その後,「ラブジェネレーション」「ビューティフルライフ」等,木村拓哉はテレビドラマの王として君臨した。1990年代後半から2000年にかけてのことだ。
バブルが崩壊して失われた10年の中にあったはずなのに,ドラマや音楽の面では,きわめて活気があった(実際に,CDの売り上げ枚数は1998年にピークを迎えている)。
そしてその中心にSMAPがいたことは明らかだ。「世界に一つだけの花」よりも前に,2000年の「らいおんハート」だろう。
たとえばサザンオールスターの「TSUNAMI」が同じ時代に売れたように,日本のポップスが最後の輝きを放とうとする中で,人と人との愛情をテーマとする歌が世の中に望まれていたのかもしれない。
当時は何が良いのかわからないという感想をもったのが率直なところだが,友人の結婚式で使われた「らいおんハート」は,やはりぼくらの世代にとって思い出深い一曲であると言える。

さて,以上の文章は,自分の人生に対して,SMAPを意図的に引き寄せようとして書いてみた。
最近,このような,SMAPをことさらに自分の人生に引き寄せた文章を多く見かけていないだろうか?
「特別にファンではなかったけれど,自分の生活には当たり前にSMAPがあった」などなど。
このように,CDも買ったことがない,新曲も知らない,たまにドラマを見ていて,そして生活の中に時々音楽があっただけ,といった関係性の事物であっても,人間は自分の人生に意図的に取り込むことができるのである。