松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

組織が潰れる=自分が潰れる,ではない

時々,自分の組織が立ちいかなくなってつぶれてしまうのではないか,ということを心配している人がいる。
自分もかつてそういう感情を持っていなかったわけでもないので,気持ちはわかる。
結論からいえば,そのようなことを気にする必要は全くない。
組織が潰れる=自分が潰れる,ではないからである。

寿命は,個人>組織

これはリンクアンドモチベーションの社長である小笹芳央さんが,2008年にテレビ番組でおっしゃっていたことだが,もうどんな組織であれ個人より寿命が長いというのは考えにくい。
従来の寿命(といっても,昭和という限定された時代であるが)は,組織>個人であった。
したがって,そのことを前提に給与体系を組み,人事政策を構成することができた。
しかしながら,これからは(というか,今は既にもう),寿命は個人>組織,になった。
ゆえに,「自分の組織が潰れたらどうしよう」というのは,発想そのものが時代遅れである。
自分の所属している組織が,自分の寿命より長く存続することは確率的にはかなり低い。もうそういう時代である。
このため,自分の人生は自分でデザインするという気概が必要となる。

組織と自分を同一視する危険性

そのようなことを考えたとき,組織と自分を同一視せず,むしろわけて考えることの大切さに気付く。
「組織が潰れたらどうしよう」という風に,自分と同一視するのはきわめて危険である。
組織と自分を同一視した時に起こりうる問題として,たとえば組織ぐるみの隠蔽がある。
ここ最近,伝統的な日本企業で組織ぐるみの隠蔽が明るみになることが多くなったが,あれは明らかに組織と自分を同一視する昭和的価値観から生まれたものである。
また,組織と自分を同一視し,過剰に背負いこむことによって,組織の責任と自分の責任を切り離して考えられなくなったりもする。
この結果,組織で補てんすべきものをなぜか個人で補てんしたり,またその逆の現象が起きたりする。
あるいは,うつ病等の精神疾患も,組織と自分を同一視した場合に招きやすい。

組織が潰れようがどうなろうが,自分が生き生きとして働けることが大事である。
どうせ,組織の寿命より個人の寿命の方が長い。
潰れたら他の組織に雇ってもらえばいいのである。少なくとも,それだけの力を備えておけばいいのである。
そして,そういう人がたくさんいることそのものが,実は組織に良い効果をもたらしたりする。
逆説的ではあるが,組織が潰れることが心配なら,むしろ心情的には,組織のことは積極的に切り捨てていかねばならない。