松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

制度改正のスケジュール感について―目的養成はSTAY,開放制はGO—

昨日掲載した分科会の記録で,私が次のような質問をしています。

■質問②制度改正のスケジュールについて(松宮)
・制度改正を見据えた見通しについて,「カリキュラム改正」を念頭に置いた場合のことをお伺いしたい
・担当者の本音としては,制度改正より前のタイミングでカリキュラム改正をしてしまうと,制度改正が起こったときにまた再課程認定申請をしなければならなくなる。これを避けたい
・一方で,私立大学の経営判断では,学生募集等の改善に向けて,早めに「カリキュラム改正」を行いたいということもありうる
・その上で,制度改正の時期は不透明だが,学位プログラムとの相当関係を深める方向性であれば,再課程認定申請でも大きな葛藤は生じないだろうと感じている
.・すなわち,目的養成は待った方がいいが,開放制は今すぐ改正しても大きな問題にならないだろうと思っている。感覚的な話になってしまうが,大きく間違っていないか教えてほしい
→正直答えにくい質問である
→今回の通常国会にかけられなかったので,法改正は話が進んでいない。したがって,審議会でどういう議論をしているのかをにらみながら行っていく必要がある
→独立するものは強めに審査が行われるが,カッコガキの部分は大丈夫だろう・・・
(あとで質問)
・カッコガキの部分というのは,教職に関する科目のことを指すのか?
→そうである
・ぶっちゃけた話,大学の裁量が増えることを趣旨として想定している。そうなれば,あまり大きな変更をすることなく再課程認定申請に対応できるだろうと考えている
→こちらとしてもそれを想定している。でないと無駄にしんどくなる

この質問の背景は,制度改正がいつになるかわからない中で,私立大学としてどのように経営判断をすべきか,ということにあります。
制度改正が具体的にどのような内容で,しかもいつ行われるのかという具体的なことは,政治的なことが絡んだりして,担当官の方も応えられないことは承知していました。
しかしながら,自分の中にもイチ担当者としての判断があって,その判断が行政官として過ごされている中で感じられている方向性の雰囲気と,大きく乖離していないか,を確認したかったのです。
この法改正・制度改正については,このブログでも何度か取り上げています。
shinnji28.hatenablog.com
shinnji28.hatenablog.com
shinnji28.hatenablog.com
スケジュールに関する最新の情報は,公式には今もなお,昨年11.24の教員養成部会で示された,

 H29年度 事前相談
 H30年度 課程認定申請
 H31年度 施行(学部1年次入学者より適用)

というものです。
その上で,カリキュラム改正をしたり,再課程認定申請を出したりする際の前述の「イチ担当者」としての判断ですが,それは

目的養成はSTAY,開放制はGO

というものです。目的養成の場合は,それ自体がメインですから,変なものを作ると制度改正後の葛藤が大きくなってしまうリスクがあります。
しかしながら,開放制の場合はそうではありません。
オプションやサブという表現はよくないですが,一方でメインでもありません。
したがって,教職担当者がこの制度改正を気にしすぎるということは,「カリキュラム改正を少し待ってくれ」と学部に要求するということです。
そこまでする必要はないというのが自分の判断です。どうぞその学部の好きなタイミングで改正をしてくれたら,私はプロとして教職課程のカリキュラムはそこに合わせていきますよ,というスタンスです。
この判断の前提は,現在の制度改正の趣旨は私立大学の裁量を大きくしようとするものであって,そのこと自体が大きく変更されないということにあります。
学位プログラムとの相当関係が深まっていくようなことであれば,制度改正後の葛藤は限りなく小さくなると踏んでいるのです。
したがって,この方向性が逆に振られてしまうと,私の判断は大きな誤りということに結果としてなります。
そうした可能性がないかどうか,全体のためにも確認したかった,というのが質問した理由でした。

多くの方は,2012年答申であれほど具体的にうたわれた修士レベル化が,事実上頓挫していることをご記憶だと思います。
同じことにならないとも限らないので,まだ起こってもいないことを過大に評価する必要はない,
さらにその起こり得る現象は私立大学の裁量が拡大する方向にあるから,実際に起きても葛藤は小さい,以上が私の判断の要諦です。

信じるか信じないかは,あなた次第です…!