松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

高校生にとって,入学する学部学科の学位名称はきわめて大事である

学位の名称はとても大事である。
現在日本で出している学位は700くらいあって,うち600くらいはその学部学科でしか出せない,オンリーワン学位であるとされている。
ぱっとソースが出せないのだが,数字は大体あっていると思う。

ところで,わが国の学位の種類はたまたまここ20年で多様化し続けてきたが,これからも多様化し続けるのか,それとも収束に向かうのかは予測できない。
そうした潮流にあって,学位の国際標準化が進んだ場合,多様化したいわゆるキラキラネームの学位を取得してしまうことには,若干のリスクがある。
というのも,取得した学位は取り消せないからである。
もちろん,このまま多様化が進めばいいのだが,そうでなくて収束してしまうと,キラキラ学位の問題はより焦点化してしまう。
学位の信頼は結局歴史に依存する。
すなわち,歴史的に長く使われた学位であれば,一定程度信頼性があるとされる。
学位の多様化は設置基準大綱化によって起こったわけだが,大綱化前に設けられていた学位は以下のたった29種類である。

文学士、教育学士、神学士、社会学士、教養学士、学芸学士、社会科学士、法学士、政治学士、 経済学士、商学士、経営学士、理学士、医学士、歯学士、薬学士、看護学士、保健衛生学士、 鍼灸学士、栄養学士、工学士、芸術工学士、商船学士、農学士、獣医学士、水産学士、家政学士、 芸術学士、体育学士

引用元↓
http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/daigakusuisin/pdf/s-gakui7-1.pdf
これが大綱化によって,表記が学士(○○)になると同時に,爆発的に数も増やしたことは周知の事実である。

こんなことを言ったら私立大学関係者としてはダメかもしれないが,
前述のリスクから逃れるためには,日本人の場合はここに示されている学位を取得しておくことが無難かもしれない。
もちろん,従来の学問分野の細目だけでは限界があり,全体として学際的にありつつあるという状況は理解している。
ただ,学位の信頼が歴史に依存するという事実も一方ではある。
高校生には,大学の威信や勉強の内容で進学先を選ぶのもよいが,このように「その大学を卒業したら何の学位を取得することになるのか」という視点で考えてみることもすすめてみたい。
取得する学位は,意外と内容を形容しているかもしれないし。