松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

教員採用試験で大切なのは倍率を気にすることではなく,母集団を推定することである

多くの学生は自分の受検する自治体の倍率をかなり気にしている。
以前はそんなこと気にしても意味ないと思っていたが,それはあまりに傲慢であった。
気になる気持ちもわかるし,たぶん大切なのは気にする方法だろう。
教員採用試験に合格したことのない人間が言っても説得力がないかもしれないが,そもそも「試験」とは何かということに思いを致せば,ストレートに倍率を気にしても意味がないことがわかる。
では何が必要かというと,母集団の推定である。倍率を見るときは,母集団の推定とセットで考えなければならない。
倍率が低ければ簡単なら,旧帝レベルの国立大学の前期試験はたぶん2~3倍程度だから,きわめて簡単だということが言えてしまう。
それが間違いであることは誰でもわかると思うが,就職試験だととたんに忘れてしまうのはなぜだろう。

たとえば神戸市の中学校国語の採用者数が10人で,受検者が400人いたとしたら,倍率は40倍である。
これを見て一喜一憂するだけなら誰でもできる。
やらなければいけないのは,この400人にどういう人たちがいるのかを推定すること。
その上で,そのうちの10人にすべりこむためには,どのような戦略が必要かを検討しなければらならない。
ここでいう推定というのは,たとえば性別や所属大学も含めて,400人全員がどういう人かを想像するという,むしろ「妄想」に近いものである。
400人もいれば,ふつうに考えて一番多いのは現役の常勤講師と目的養成の学部生だろう。
仮に兵庫教育大学の中学校国語が30名としよう。
現役の常勤講師はどうだろうか?下手すると半数近くはそうかもしれない。
200人が現役の常勤講師だった場合,年齢構成はどうなっているだろうか。おそらくは,若いほど人数が多いカーブを描くだろう。
このように考えていくと,最終的には「妄想」で400人全員に名前までつけることができる。
ここまでやれば,自分がその中でどのように戦うべきか,なんとなく見えてくるだろう。
重要なことは,10人の中にすべりこむということである。
就職試験の結果は1か0かなのであって,合格すれば問題ない。
順位なんか関係ないし,そもそも意味をなさない。

今から,爆発的に力が伸びることはおそらくない。
そうした中で,何に自分のリソースを投入するのか。
記述のような400人の中で,どういう自分であれば「採用しよう」と思われるか。
そのようなことを一生懸命考えることが大事だと思っている。