松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

北島康介は化け物

かつて水泳をやっていたこともあって、未だに世界水泳やオリンピックの競泳はついつい見入ってしまう。
これまでも日本の競泳界はさまざまなドラマを作ってきた。
近年では入江陵介の活躍がすさまじい。
背泳であの活躍である、というところが面白い。
水泳の場合は、陸上競技における100mと同じで、自由形で日本人が勝つのは難しい。
このため、陸上競技ではハードル走であるところの、バタフライや背泳、平泳ぎでの勝利を目指すことになる。

さて、北島である。
平泳ぎはたしかに陸上競技でいうところのハードル走であるが、かつての北島はなんとかメダルに食らいつく、というレベルではなく、圧倒的な王者であった。
海外の選手がみんな北島を目指した。
とはいえ、彼ももう33歳。かつてのライバルはみんな引退している。
ダーレオーエンは、既に亡くなった。
同世代でイアンソープという超人的な強さを誇った選手も、随分前に引退している(彼は平泳ぎではないけれど)。
その上で、昨日、競泳の日本選手権、北島康介のレース(100m平泳ぎ)を夜のニュースで拝見した。
一言でいえば、完全に化け物である。
競泳選手のピークは、20代前半と考えるのが一般的である。
他の競技よりピークの年齢がきわめて低いことで知られている。
だから、逆にいえば岩崎恭子のように、14歳でオリンピックの金メダルを獲得することもできる。
そうした競技の特徴にあって、標準記録を突破できなかったとしても、2位につけてくるとは本当に神様のようだ。
ヤフーニュースなんかでは、「あまりに残酷な結末が…」等と書いてあった。
たしかに、本気で目指してらっしゃるご本人からすればそうなのだろう。
しかしながら、北島はもう33歳だ。
これがどれくらいすごいことか、他の競技で例えてみよう。
サッカーでいうなら、キングカズは現在49歳であるが、彼がJ1で得点王をとるくらいすごい。
現実のキングカズは、J2の下位チームで、ごく稀に短い時間出場しているだけだ。もちろんそれでも十分すごいが。
野球でいうなら、山本昌(50歳)が最多勝するくらいすごい。現実の彼は昨年引退している。
当たり前だ、2人とももう50歳である。
50歳でそのように第一線を張れたら、それはもうどこかおかしい。

競泳でいう33歳は、そういう年齢である。
普通に考えれば、どれだけトレーニングを積んだとしても、日本のトップを争えるレベルになることは難しい。
北島選手自身も、どれだけ努力してもかつての自分のベスト、特に最強を誇った2000年代前半から中盤のコンディションには戻らないだろうと思いながら、歯を食いしばってらっしゃるに違いない。
一体、なんのために。何が彼をそこまで突き動かすのか。
仮にオリンピックに出場し、メダルをとるようなことがあれば、それはもう人間ではない。
神様の領域である。