松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

日本高等教育学会第18回大会(6/27-28,@早稲田大学)で発表予定です。タイトル「IR担当者に必要な潜在的素養に関する質的分析―大学職員の事例におけるTerenziniの3層モデルの適用―」

標記のタイトルで申し込み、大学院で指導をいただきながら要旨収録も提出したのですが、非常に不安です。
大学院に入学する前に発表の申し込み締切があったので、見切り発車で申し込んでいたのです。
内容に相当不足があることは自覚しているのですが、一つの経験というか、トレーニングだと思ってベスト尽くします。

この発表でやりたかったことは、既に日本の大学でIRに従事されている方へのインタビューから、今後のわが国におけるIRの担い手に必要な能力等の示唆が得られないかという検討です。
また、その際にIR担当者に必要な能力を組織的インテリジェンス(organizational intelligence)と捉えるTerenzini(1993)のモデルを参考にしています。

Terenzini,P.T.(1993)“On the Nature of Institutional Research and the Knowledge and Skills It Requires”Research in Higher Education,vol.34,no.1,Springer,Netherlands,pp.1-10.

Terenzini(1993)は、IR担当者に必要な能力を3層構造(3層モデル)で示しています。
具体的には、各層について、
第1層は、技術的・分析的インテリジェンス(technical and analytical intelligence)、
第2層は、論点のインテリジェンス(issues intelligence)
第3層は、文脈のインテリジェンス(contextual intelligence)
といった定義づけを行い、かつ各層に含まれる個別の能力が論じられています。

また、この論稿では、「IRとは何か?」という定義の問題が、先行研究では解決されておらず、さらにIRの性質や役割が変化し続けている状況にあることが指摘されています。
変化の中身には、「学生の変化、コンピュータや通信技術の進歩、財政上の変化、高等教育の国際化の進行、意思決定の高度化・複雑化、増え続ける人口と大学の有効性への要求」等が挙げられています。
こうした状況とあいまって、既存の定義が明確化されないままもろもろ存在する中で、それらを包括したIRの概念を提示するのだという意欲を示したのがこの論稿です。

アメリカのモデルをいきなり日本にあてはめることは当然難しいわけですが、IR先進国であるアメリカを一旦参照することで、アメリカとは異なる日本固有の課題が見えてくればいいなあと考えてます。
また発表が終われば、スライドを公表しようと思います。
あとから振り返ったらなんて次元の低いことをやってたんだと思い出すことになるかもしれませんが、そうした恥さらしも含めて、勉強勉強。