松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

給料を公開しようと思ったのですが、やめました―1人の大学職員の年収をめぐる問題―

先日源泉徴収票をいただいたので、内容公表しようと思ってすべての金額を記して予約投稿をしていたのですが、信頼している他大学の先輩の意見を伺って、記事を削除しました。
ほとんどのことは迷わないのですが、さすがにこれだけは迷って客観的な意見を伺った上で、やめることにしました。
給与所得を公表しようと思った理由は2点です。
①大学職員という仕事を具体的に知って欲しかった
②アンフェアな労働市場の問題に一石を投じたかった
公表をやめた理由は、「結果の責任が多分とれそうもないから」です。

①大学職員という仕事を具体的に知って欲しかった

仕事には色々な要素があって、給与所得というのはその中でもかなり重要な指標です。
「大学職員 年収」等と検索すると、実際に年収額を検証したサイトがヒットしたります。
これが有名私大の職員の年収だ! - これでも大学職員のブログ
しかしながら、待遇なんて大学によるとか地域によるとか、個別の条件がついてきて、実際のところはよくわからないというのが業界関係者以外から見た時の目だと思います。
私はこの業界にたくさん優れた人が入ってきて欲しいと思うので、自身の待遇を一部示すことで、判断の材料にしてほしいと考えました。

②アンフェアな労働市場の問題に一石を投じたかった

この国の労働市場に関する問題意識は、既に以下で述べたところです。
日本の正社員制度は、身分制度である―竹中平蔵氏に賛成する― - 松宮慎治の憂鬱
私は基本的に、給与所得というのは自分で高いとか低いとか言うべきものではなく、あくまでも労働市場の中で自動的に価値が決まってくるものだという考え方を持っているのですが、
上記の記事では、そもそもその前提となるフェアな労働市場が整備されていないのではないか、という問題意識を述べています。
特に大学は相当規制されていますし、大企業と同様解雇規制が機能しているので、市場としてはフェアでないと考えてきました。
これは職場や大学業界だけでなく、世の中全体のことなので、自分ではどうしようもないということは理解しているのですが、少しでも早く良くなればいい、そのために何かできないかと思っていました。

でも、結果の責任がとれるかどうかわからない

①や②はいいとしても、その表現方法として源泉の公開が正しいのかもわかりませんし、勤務先や業界全体の方に変な迷惑をかけるわけにはいきませんし、実名でブログを書いている以上、どのような危険があるとも限りません。
かつて国Ⅰのキャリア官僚である宇佐美典也さんが自身のブログで給与を公開しましたが、
キャリア国家公務員が給与を公開。給料は国民が決めるべき 2012/03/04(日) 13:37:08 [サーチナ]
彼は最終的に経産省を辞めていますし、その他ならぬ宇佐美さん自身から「ブログを書くのはおすすめするけど、組織で働いているんだから実名でやるのはやめた方がいい。給料公開なんてもってのほか」というアドバイスを受けていて、実名でやるという助言無視を一つしているので、これ以上先人の知恵を無視するとよくないことになる気がする、という思いもありました。

処遇に見合う価値を産む

ということで、ヒヨって給与の公開をやめた代わりに、自分なりにずっと考えてきて、実行するよう努めてきたことを最後に決意として示しておきたいと思います。
それは、処遇に見合う価値を産む、ということです。
当たり前のことではありますが。
率直に言って、私立大学の職員の給与は高いです。もちろん、大学にもよりますが、総じて高い方に寄っているはずです(もちろん、そうでない大学もあると思います。念のため)。
私にも日本で有数の大企業の友達もいるので、比較ができます。そういう日本のトップの企業と同程度か、やや上、というのが今の自分の待遇です。
しかし、そのこと自身が問題なのではなくて、働きぶりや生んでいる価値が給与に見合わないということが問題なのだと思います。
何も自分の待遇の良さを負い目に感じるのではなく、隠すことなく堂々としていればいいし、そうできるように努力したいと考えます。
それで、「あいつならそれだけもらっててもいいよな。むしろもっとあげたい」と思われるように精進します。