松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

大学コンソーシアム京都SDワークショップ「第3回 学生の成長を促す職員 ~リフレクション活用事始め~」に参加

標記の会に参加したので報告します。目的は、学生の力を引き出すためにどうすればよいのか、特にそれが名人芸のようなスタンドプレーにならないためにはどうすればよいのか、を学ぶことでした。
私は仕事ではなく自分で参加したのですが、関東の方から仕事で(つまり、経費で)来られている方が結構いらして、京都コンソの威力を思い知りました。
例によってメモ程度ですがご容赦ください。また、掲載にあたり許可は得ておりませんので、掲載そのものに関する問題や、修正の必要がございましたらご連絡ください。

名 称:2014年度第3回SDワークショップ

日 時:2014年12月20日(土)13:00~17:00

「趣旨説明」川面きよ氏(大学コンソーシアム京都専門研究員)

・「積極的に・平等に・傾聴する・評価ではなく受容する・違いを楽しむ」の5点を意識して参加してほしい
・リフレクションとは何か?経験学習や人材育成の分野でよく使われている。中原淳先生は、経験学習や人材育成の観点から、「未来に向けて、過去の経験から「意味とアクション」を作る活動」と定義している
OECDのDeSeCo(Definition and Selection on Competencies)には、3つのキーコンピテンシーが示されているが、その基礎には、個人が深く考え行動することの必要性(リフレクション;振り返る力)がおかれている
・大学でも経験を伴った学習が導入され始めている。それに伴って、その経験をどう振り返るかが注目されている。また、学生/職員/教員のキャリア形成の視点や、あるいは学職教協働の手法としてのリフレクションとしても注目されている
マンダラート:深く考えずに思いついた言葉を3*3のマス目に記載し、拡散させていくワーク。3*3の真ん中にテーマを置き、周囲に言葉を配置していく

②ワークA

マンダラート、テーマ「学生と大学」で個人ワークを行い、テーマ「理想の学職協働」で個人ワークとグループワークを行った

③「話題提供:学職協働と学生の成長―学生はどのような時に成長するのか、その時職員にはどのような能力が必要なのか―」村山孝道氏(京都文教大学教務課課長)

・最後に自分なりの結論を出す。でも、さきほどのマンダラートを拝見して、既にみなさんは、結論はもっていると感じた。あとは方法論だけだ
●私の学職協働の場面
SSA(Super Student Assistant)、PJT成果発表会チーム、学生自治会中央執行委員会、大学関連連携教育推進事業「UNGL」、学生宗教委員会、国際交流、FSDプロジェクト
・「他者との関係性を構築する力」「組織を動かす力」「しっかりと伝える力」「新たな価値を想像する力」このあたりが、学生が獲得してきたこと
●人が成長するとき
・「試合(本番)」があって「練習するとき
・「試合」のレベルが高いとき。(上級生、大人、外人、他大学生、など他流試合はよい)
・仲間がいるとき
●参加者の悩み
・リフレクション、プロジェクトマネジメント・チームの育成段階論、リスクマネジメント、モチベーション・ゲーミフィケーション
・ざっくりわけると、1.学生に主体性がない、やる気がない 2.前年踏襲 3.「主体性」も伸ばしたいが「事業の成功」も必要 4.「やりっぱなし」がもったいない 5.負担の偏り、士気の低下 6.学生がきてくれない
●主体性とやる気を生み出すには
・モチベーション論。1.0:生存本能、2.0:アメとムチ、3.0:内発的動機
・阻害要因は?やってあげている感ややらされている感
・モチベーション3.0(内発的動機)の源泉の3要素は?1.自律性(自己決定感)、2.熟達(自己肯定感)、3.目的(利他感、自己有能感)
・モチベーション論に基づくチェック。学生にとって、質の高い目標を感じさせているか、自律性を発揮できる裁量があるか、成長を感じさせる場があるか
・経験学習論(松尾睦、2011):リフレクション(振り返る力)、エンジョイメント(楽しむ力)、ストレッチ(挑戦する力)。その中心には、仲間・思い・つながりがある
・経験学習論に基づくチェック。1.思い&つながりの仲間がいるか 2.課題が適度に難しく、明確であるか 3.実行した結果についてのフィードバックがあるか 4.楽しめているか
●主体性も大事だが事業の成功も大事だ
・この問題を、リスクマネジメントとしてとらえている。主体性を尊重すると事業が成功しない可能性があることの対応について、教職員のみで実施→ミニマムリクワイアメントは教職員が実施、その他うあ全て任せる→全て任せ、何かあったら教職員が責任を負う、という段階がある
●やりっぱなしがもったいない
・振り返りの会をあらかじめ日程に組み込んでおくことがコツだ。リスク(ネガティブ、後ろ向き、批判、責任の擦り付け合い、責任回避、あたりさわりのない意見、傷のなめ合い等)を、ツールを使って回避する。KPT(keep,problem,try)法やリフレクション・イン・アクションを使う。後者では、誰もが口に出さなかった恥部が明らかになり、自分事になり、前向きに守備範囲の間を埋め始めた
ジョハリの窓の第1のトビラを開くには、クリティカル・フレンドが必要。でもチームには育成段階があるので、いきなりはできない。チームの編成→成立期→動乱期→安定期→遂行期→チームとして成熟し成果拡大
●負担の偏り、士気の低下
・PM理論、リーダーシップ論
・名人芸問題はリーダーシップ論で大体説明できる。ペースセッター型リーダーシップの長所は、リーダー個人の成果が高いが、結果を求めてメンバーにプレッシャーがかかったり、リーダーが何でも1人でも行ってしまったりという問題がある。これについては、ビジョン型のリーダーシップ(ビジョンを語り、手法は任せる)と併用すればよい
●本日取り上げきれなかったニーズ
・学生の成長や変化を客観的に量りたい:アセスメント
・ターゲットとしている学生ユーザーが来てくれない:マーケティング
・一対一の話し合いの手法:面田リング
●まとめ(学生が成長するとき)
・自律性、熟達、目標(モチベーション論)
・つながり・思い、ストレッチ、リフレクション、エンジョイメント(経験学習論)
・「教える」時に最も成長する。自分が何かを直接教えるというより教え合い、学び合う場(ラーニングコミュニティ)の創出

④ワークB

・「学園祭に向けて」というテーマのもと、学生B(去年のより大きなイベントをしたい)、学生C(自分たちでやれる範囲のことをしたい)という2名の学生、あるいは実行委員全体の企画を調整する役割(職員A)に分かれたロールプレイを実施した