松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

読書(小説)

垣根涼介著『迷子の王様—君たちに明日はない5—』(新潮文庫)を読了

標記の本を読了した。 このシリーズは,リストラ請負人の物語で以前から読んだことがあったのだが,2004年から続いていたとは知らなかった。迷子の王様: 君たちに明日はない5 (新潮文庫)作者: 垣根涼介出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2016/10/28メディア: …

浅田次郎著『天切り松 闇がたり 第五巻 ライムライト』(集英社文庫)を読了

前から購読していた,盗人のシリーズだが,今回は出色だった。 特に表題作となっている最後の「ライムライト」がすごい。 チャールズ・チャップリンが日本に来たときのようすを描いているのだが,チャップリンの作品に「ライムライト」というものがあるとは…

薬丸岳著『刑事の約束』(講談社)を読了

標記の本を読了した。 以前拝読した『天使のナイフ』が面白かったので。 shinnji28.hatenablog.com なので,短編集を買ってみたけど,正直言うと『天使のナイフ』の方が面白かった・・刑事の約束 (講談社文庫)作者: 薬丸岳出版社/メーカー: 講談社発売日: 20…

小室淑恵著『小室淑恵の即効プレゼン術』(学研パブリッシング)を読了

標記の本を読了した。 元々持っていたのだが,機会があって再読した。 持っているのは初版なので,たぶん2010年に買っている。懐かしい! 結構改めて読み直すと,暗黙知的にやってきたスキルが,こういうところからパクったものであることを実感させられる。…

薬丸岳著『天使のナイフ』(講談社文庫)を読了

標記の本を読了した。 少年法がテーマのいわゆる社会派の物語だが,それにとどまらずどんでん返しが何度かあってハラハラした。天使のナイフ (講談社文庫)作者: 薬丸岳出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/08/12メディア: 文庫購入: 7人 クリック: 34回この…

城山三郎著『総会屋錦城』(新潮文庫)を読了

株主総会で幅を利かせる伝統的な「総会屋」を描いた表題作をはじめ,7編が収められた短編集。 表題作が一番面白かったかも。総会屋錦城 (新潮文庫)作者: 城山三郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1963/11/05メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 16回この商品…

辻村深月著『島はぼくらと』(講談社文庫)を読了

夏らしい本を読もうかと思って読了した。 瀬戸内海の温暖でキラキラした海がイメージできる,楽しい物語でした。 文章がうまい。島はぼくらと (講談社文庫)作者: 辻村深月出版社/メーカー: 講談社発売日: 2016/07/15メディア: 文庫この商品を含むブログを見る

内館牧子著『エイジハラスメント』(幻冬舎文庫)

標記の本を読了した。 ぼくの中で内館牧子は脚本家のイメージなのだが,小説もかなり面白い。 以前読んだ『終わった人』は定年退職した男性, shinnji28.hatenablog.com 今回は,年齢に悩む34歳の女性が主人公である。 「自分はもう若くない」と思いつつも,…

サルでもわかる読書感想文の書き方

大学生の頃塾でアルバイトをしていたのだが、論作文の指導をする中で気づいたことがある。 それは、子どもたちが作文の内容を評価されると誤解していることだ。 いいことを書いて、その内容に点数がつけられると勘違いしている。 そんなわけあるまい。そんな…

山崎豊子著『約束の海』(新潮文庫)を読了

標記の本を読了した。 戦後,海上自衛隊と漁船の接触事故がテーマである。 関係者へのインタビューをもとに小説的に再構成したもので,現実とは関係ない的な注釈が最初にあるのだが,あまりにもリアルすぎた。 不勉強なのだが,この事故は現実にあったのだろ…

城山三郎著『落日燃ゆ』(新潮文庫)を読了

A級戦犯のうち唯一の文官であった広田弘毅を描いた物語を読了。 戦中,戦後の政治過程が革命に描かれており,歴史の勉強としても勉強になった。落日燃ゆ (新潮文庫)作者: 城山三郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1986/11/27メディア: 文庫購入: 7人 クリッ…

城山三郎著『臨3311に乗れ』(集英社文庫)を読了

標記の本を読了した。 この物語は,近畿日本ツーリストの創業を描いたものである。 昭和20年代に野武士集団が興した日本ツーリストが,やがて固い近鉄と合体し,大きな旅行会社を形成してゆく過程について, 本来壮大な物語であるにもかかわらず,淡々と描か…

浅田次郎著『獅子吼』(文藝春秋)を読了

浅田次郎の新作(といっても1月だが)を拝読した。 時代を遷移するオムニバス形式の良著。獅子吼作者: 浅田次郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2016/01/09メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る

奥田英朗『向田理髪店』(光文社)

GWに実家で読んで,実家に置いて帰った。 はっきりと書いてはないが,どう考えてもこの舞台夕張やろ…と思った。 財政破綻しそうな北海道の町をめぐる物語。 本省から来た情熱的な官僚に煽られてUターンする若者と,それを冷めた目で見る親。 突然町が映画の…

吉田修一著『パレード』(幻冬舎文庫)を読了

標記の本を読了した。 レビューを見ているレベルではあったが,すごく面白そうだなと思っていた。 普通に読めば,若い男女がシェアハウスで共同生活を過ごす,比較的淡々とした青春譚である。 そう,最後の章を読むまでは……。パレード (幻冬舎文庫)作者: 吉…

池井戸潤『BT'63(上)(下)』(講談社文庫)を読了

BT'63という名前のトラックを基点に,父と息子の関係を描いた作品。 タイムトラベルものでもあります。BT’63(上) (講談社文庫)作者: 池井戸潤出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/06/15メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (5件) を…

内館牧子著『終わった人』(講談社)を読了

岩手県盛岡市から東大法学部に進学し,卒業後万邦銀行に入社。 エリート街道を進むも,49歳のある日,「たちばなシステム株式会社」に出向。 失意のうちに定年を迎えた,「終わった人」の「終わったあと」の物語。 内館牧子は脚本家だと思っていたが,このよ…

平安寿子著『心配しないで、モンスター』(幻冬舎文庫)を読了

この短編集は音楽と不可分である。 それぞれの短編に登場する音楽は,次のとおりである。 ①丘の上の馬鹿になりたい: ポール・マッカートニー『フール・オン・ザ・ヒル』 ②わけあって、舟唄 八代亜紀『舟唄』 ③黒魔術の女とお呼び サンタナ『ブラック・マジ…

司馬遼太郎著『殉死』(文春文庫)を読了

明治天皇を追って自殺した乃木希典が,大したことない人物として描かれていて衝撃的だった。 特段乃木希典が好きということはないが,母校の近くに明治天皇陵があり,したがって乃木希典を祀った神社(乃木神社)があった。 それで,ここには毎年高校の同級…

池井戸潤著『株価暴落』(文春文庫)を読了(ネタバレあり)

怨念からまるドロドロした話かと思いきや,結局は経済犯という落ちであった・・ 銀行の描写が詳細で,そこは面白い。株価暴落 (文春文庫)作者: 池井戸潤出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/03/09メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 79回この商品を含むブ…

重松清著『また次の春へ』(文春文庫)を読了

標記の小説を読了。 これは、東日本大震災を背景としながら、突然肉親をなくした者の喪失感を描いた物語であり、短編集である。 決して再生ではなくて、あくまでも喪失したこと、その喪失の中で過ごす者が素描されている。 つい先日、震災に関する記事をアッ…

池井戸潤著『仇敵』(講談社文庫)を読了

先日読んだ『7つの会議』が面白かったので流れで読んだのですが,うーん・・・という感じでした。仇敵 (講談社文庫)作者: 池井戸潤,村上貴史出版社/メーカー: 講談社発売日: 2006/01/13メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 7回この商品を含むブログ (14件) を…

司馬遼太郎著『殉死』(文春文庫)を読了

乃木希典をとりあげた標記の本を読了しました。 毎年伏見桃山の乃木神社に初もうでに行っている人間としては必読の書でした。 しかしながら,乃木将軍がすごくダメダメな将校であったという事実が描かれていて衝撃でした(笑) 知らなんだ……笑殉死 (文春文庫…

池井戸潤著『七つの会議』(日本経済新聞出版社)を読了

不祥事を隠蔽しようとする中堅メーカーの悲哀を描いた物語です。 このようなことは,大なり小なりどこの組織でもありますね。悲しいことです。 話としては面白いものの,「なんだかなあ…」という気分になります。半沢直樹しかり。 知らなかったですが,ドラ…

新庄耕著『ニューカルマ』(集英社)を読了―「給料とは別に、百万円入ってきたらいいと思いませんか」―

昨日以下のようなブログを書きました。 shinnji28.hatenablog.com これを書いたのは,この本を読んで思い出したからです。 この本は,若いビジネスマンがあるネットワークビジネスにハマり,生活を壊し,会社をやめ… という物語です。 「堂林さんは、何か夢…

山崎豊子著『不毛地帯』(新潮文庫)を読了

標記の本を読了した。 旧日本軍の大本営参謀であった人物が戦後シベリアに抑留され、帰国したのちに商社マンとなり、自衛隊の戦闘機の売買や中東の石油開発に携わった大きな物語である。 軍のトップで生きてきた人間がその商社マンとしてトップマネジメント…

新庄耕著『狭小住宅』(集英社文庫)を読了

すばる文学賞受賞作のこちら。 住宅を売る不動産業の営業マンの悲哀を描いた作品で、なかなか面白かったです。狭小邸宅 (集英社文庫)作者: 新庄耕出版社/メーカー: 集英社発売日: 2015/02/20メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る

那須正幹著『ズッコケ中年三人組』(ポプラ社)を読了

小学生の頃愛読していたシリーズの「中年」版が出ていたので読んだ。 元ネタのシリーズは,実家からほど近い図書館に置いてあったので,何度も読んだものである。 さっき調べたら,この「中年」シリーズも,第11弾まで出ているらしい。那須正幹氏は本当にす…

山崎豊子著『華麗なる一族(上)(中)(下)』(新潮文庫)を読了

いやーやはり山崎豊子作品は面白いですね……。 妻妾同衾生活を送る阪神銀行頭取,万俵大介。 万俵コンツェルンの閨閥結婚のために暗躍する元子どもたちの家庭教師,現愛人の高須相子。 貴族の娘として,閨閥結婚として万俵大介のもとに嫁入りした寧子。 阪神…

辻村深月著『ロードムービー』(講談社文庫)

なぜかまた辻村深月作品を買ってしまいました、、 でも、うまいですね。 この文庫には計5つの作品が集録されていますが、オムニバスとして関連があっておもしろかったです。 街頭 ロードムービー 道の先 トーキョー語り 雪の降る道 という5つでしたが、3つ目…