松宮慎治の憂鬱

タイトルは友人が考えたもので,某アニメのことはわかりません。

『SYNAPSE』70号,「課程認定申請に向けた心がけ」に見る教員と事務職員の協力関係について

小野勝士さん(龍谷大学)の「教職課程認定申請実務入門」の最終回の最後に,さらっと重要なことがまとめられています。

(1)第一人者としての自覚をもつ
(2)学内人材を活用することも検討する
(3)教員の協力を引き出す
(4)記録の教材化

このうち,(1)と(3)では,教員と事務職員との協力関係について,事務職員の立場からどのように振る舞えばよいのか,ということが書かれています。

(1)では,

 事務職員から教員への指示がぶれると先生方は不安になります。このことは、今後の他の業務での自身の信用にもつながります。

とあります。
やはり,課程認定のような行政手続きは,教員にはわからないことが多く,不安になります。
教員としては,事務職員にその専門的な知見があるものとして,色々と確認をすることになります。
このとき,教員をさらに不安にさせる事務職員の態度として,「指示がぶれる」ということを挙げられています。
このほかにも,
・何かを聞かれても,制度のことをよく理解しておらず,答えられない
・「今はわからないけど,ここを調べればわかるから少し待ってくれ」という暫定的な回答すらできない
・事務手続きはするが,結果の責任は負わないという他人事な空気感
・その,「する」という事務手続き自体が,教員の指示待ちになる
などもまずいように思います。

(2)では,

「教員がいうことを聞いてくれない」という意見を聞くことがあります。教職協働の前提として、先生方も忙しいということを、事務職員は理解しておくべきです。
 先生方に手引きを渡す、通知文を渡す、文科省からのメールを転送するだけでは読んでいただけません(事務職員が先生方に「伝えた」というアリバイ作りにしかなりません)。
 何がポイントか、変更点はどこか、どういう点に本学は注意すべきなのかということを簡潔にまとめたものを添えると、先生方の印象もずいぶん変わります。伝え方次第で、「また仕事を頼んできた」と思われるのか、「重要な情報を送ってくれた」と感じてくれるかの違いが出てきます。

とあります。
課程認定のプロセスにおいて,教員が手引きを読み込まなければならない状況というのは,かなり厳しいです。
もちろん,規模が小さく,事務職員の数が限られている場合に,そうならざるをえない局面もあるということは理解しているのですが,マクロに見たときには,とてもよくないと思います。
ベルトコンベアに乗っているかのように,事務職員の指示どおり動いていたら,自動的に認定を受けていた,というくらいがよさそうです。

ところで,上記のようなことは,大学における教員-事務職員関係に限らず,ビジネス上のコミュニケーションに共通して指摘できることだと思います。
つまり,相手の立場をおもんぱかり,この連絡を相手が受けたときにどう感じるのか,想像力を働かせながら,成果を出していくということです。
より詳細には,コミュニケーションによって必ず生じてしまうコストを,自分が負担するのか,相手が負担するのかをデザインする,ということではないでしょうか。
そもそも,仕事の出し手と受け手は情報が非対称なので,仕事を発生させる出し手の側が,そのコストの大半を担うべきだというのが私の立場です。
情報を豊富に持つ側が,生じる総コストをうまく計算できるはずだ,ということですね。

仕事を発生させるときに,コストを相手に負担させるというのは,どのような状態でしょうか。
たとえば私は,以下のようなパターンのときは,「しんどいな」と感じます。
・「詳しくは添付ファイルをご覧ください」のメール → 添付ファイルを開く時間を割くことになるので,せめて本文で概要をわかるようにしてほしいです
・「以上,よろしくお願いします」と言いつつ,何をしてほしいのかわからないメール → こちらに何をしてほしいのか,具体的に明示してほしいです
・スクロールしなければならないほどの長文のメール → 時に長くなるのは仕方ないけど,その場合は内容をカテゴライズして送ってほしいです
・さして重要でない内容なのに,往復が続いてしまうメール → 情報は後出しせず,一往復で完結するようにしてほしいです(もちろん,大切な議論をするときは除く)
・電話 → 急ぎでない案件なら,強制的に時間を同期するのはやめてほしいです(「今メールを送ったんですけど‥」などは最悪)
結局仕事というのはコストの奪い合いなので,どういうポジションをとっても,奪う側に立ってしまうことはやむをえません。
しかしながら,「この人なら,奪われてもいいな」と思われるかどうか,という違いはあるような気がします。

jidaisha.co.jp