松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

山崎茂明(2007)『パブリッシュ・オア・ペリッシュ:科学者の発表倫理』(みすず書房)を読了

本書は,科学者の研究不正について,具体的な事例を交えながらその構造を論じたものである。
そもそも,パブリッシュ・オア・ペリッシュという言葉はいったい誰が使い始めたのかを調査することから始まり,
(1)はぜ発表倫理が問題になるのか
(2)発表倫理はどのようにして破られたのか
(3)発表倫理が破られる圧力は,何によって生まれるのか
(4)発表倫理を確立するためにはどのようにすればよいのか
の4点について,具体例を交えつつ平易な言葉で論じられている。
IFの誤用の解説が面白い。
具体的には,
①IFが,ときとしてその定義が全く理解されることなく,あたかも研究者個人の評価指標であるかのように用いられていること
②IFを上げようと思えば,直近2年間の論文の自己引用をひたすら繰り返せばよいこと
③雑誌の側も,①や②を受けて,IFを上げることに喜びを感じることがあること
などが述べられている。

パブリッシュ・オア・ペリッシュ―科学者の発表倫理

パブリッシュ・オア・ペリッシュ―科学者の発表倫理