松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

羽田貴史(2019)『大学の組織とガバナンス(高等教育研究論集第1巻)』(東信堂)を読了

本書は,2000年代前半から2010年代中盤までの筆者の各種論稿を加筆・修正して所収したものである。
その対象は,高等教育をめぐる組織,政策,制度改革,マネジメント,大学団体,大学職員とかなり幅広く,それら幅広い対象を,組織とガバナンスの観点からまとめあげようと試みられている。
筆者自身がそう書いているように(p.293),テーマの終着点は第1章に表現されている。
第1章では,ガバナンス・マネジメント・リーダーシップという3つの鍵概念を提示し,これらが日本の高等教育では混用されていると指摘する。
そして,組織論にもとづかない「特定のトピックに沿った命題を繰り返す特徴がある」(p.9)と喝破する。
こういうことが流行しているから,大学も対応しなければならない,的な思考はある種のイデオロギーですよ,高等教育研究者はきちんと勉強しましょうねというメッセージを感じ取った。
第1巻ということだが,続編はどのようになるのだろうか。(本書だけでも,広範なテーマについて論じられている。この感じで何巻まで出すのだろう。。)

大学の組織とガバナンス (高等教育研究論集)

大学の組織とガバナンス (高等教育研究論集)