松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

大学職員は教員と仲良くしましょう

munyon74.hatenablog.jp
こちらを拝読して,タイトルを反転させつつ,思ったことを書いてみようと思い立ちました。

ただ、教員と職員、って、ある意味反対の仕事、だと思うのですよね。教員は「自由にやろうよ」「学生のためになるよ、こっちのほうが」みたいな意見をもっている一方、職員は「いや、そんなこと言っても、ルールがありますから」「管理しないと困ります」という主張になります。まあ、職種としては当然ですよね。

お互いのことを踏まえるためには,職員も「学生のためになるよ,こっちのほうが」って思ったり,逆に教員側が「それはやりすぎだろう」と言ったりして,やや逆のスタンスを意図的にとればうまくいくんじゃないかなと思っております。

なので、教員は、機会を見つけて、職員と少し話をしてみるといいな、と思っています。まずは「仕事、大変ですよねー」っていうあいさつとかでもいいのでは、と思います。あとは職員の仕事を考えてみると、こちらもどうしておけばいいのか分かることも多いです。そういうことを積み重ねると、職員側も教員のことを考えていろいろアドバイスしてくれたり、助けてくれたりします。

ぼくが意識していたり,人に勧めたりしているのは,一緒に仕事する先生の,
 ①教員総覧や研究者総覧を見て,
 ②できれば論文や本を拝読する,
ということです。
この点,教員から見た職員とのコミュニケーションより,はるかに簡単です。
なぜなら,全部公開されているから。
普段お仕事する先生のものは当然拝読していますし,もしあまり知らない先生と一緒に入試の出張に行くことになったら,少なくとも①はやります。
この理由は,その先生がどういう専門で,どんな研究をされているか,というのが会話の糸口になることと,専門の違いによって思考のクセみたいなものが異なるからです。
①は,普通の大学は公開していますし,②はオープンアクセスならgooglescholarやCiNiiで見ることができます。
つまり,タダで確認できるんです。無料だし簡単なんだから,やろうよ,というスタンスです。
あとは,教育は休講したら補講しないといけない(簡単に別の人が代替可能な仕組みになっていない)といったことや,
研究活動は,「自分の好きなことをしている」といった単純な論理では片づけられないこと,専門のことは分野外の人間にはわからないという謙虚さをもつこと,といったことが大事かなと思います。
ただ,事務的な手続きを教員が詳細に知らないというのもまた事実なので,ここは一緒かなと。
情報の非対称性を自分の利益のために使わない,ことが大切なのかもしれません。

あとは、教員と職員は職種が違うだけで、上下関係はないので、フラットに付き合うことを意識しています。これ大事ですよね。

実は,職員の側は,「先生,先生」と立てつつも,管理という権限を使って,実質的に統制しようとするコミュニケーションをとることがあります。
管理する側とされる側,チェックする側とされる側,みたいな区別は,モチベーションを失わせます。
そのこともあって,「上に立てる」というのは,一見良いようでいて,実際には「下に見ている」ということの裏表だな,と感じることがあります。
同時に,今の若い先生は任期付であることが多いので,任期無職員である自分の方が,報酬も高く,立場も強いのだということは結構気にしています。
若く優秀な研究者を,強い立場を利用して応援できないかな,というのは,常に自分の中の大きなテーマの一つです。
(これは,職員組織内でも様々な身分形態があるので,その延長線上の話でもあります)


また,結局のところ,職員というのは,教員や学生に気持ちよく過ごしてもらってナンボ,みたいなところがあると考えます。
教員と仲が良くない(≒根本的なところで信頼されていない)と全く仕事にならない部門もあります。
ですので,何らかの提案を受けたら,一旦は「頑張ってうんと言う」(前向きに考える)ことを意識しているところです。


以上のようなことを考えるきっかけになったのは,某横田利久さんが仰っていたことです。
このお話を伺ったのはもうずいぶん前,就職したての,23歳くらいのときだったと思います。
内容はすなわち,
・学内行政の仕事に積極的に関与するのは,職員にとってはチャンスである
・だが教員にとっては,時間もリスクも自分持ち。なんなら,「研究ができないから行政に懸命なのだ」と揶揄されることすらある
・この事情を職員はきちんと知って,教員の専門のことも理解しつつ,火中の栗を拾う役割を担いなさい
ということでした。
教員は専門の学会において研究業績で評価されるのだから,自分たちと同じ原理で行動すると思わないこと,そして,彼らが職員に対して,「自分たちの職業文化を理解してもらえるだろうか」という根源的な不安を常に抱いていること,そういうことをよく知った上で,一緒に働きましょうねというお話でした。


そういうわけで,基本的には,一緒に働いている先生には,極力教育や研究という,大学のコアに注力していただく,そのための時間をいかに生むか,ということを重視する日々です。
(実際なかなかできていないこともあるので,心苦しいのですが)