本書は,大学進学率の地域格差が生じるメカニズムを,進学の費用便益分析から描いた。
博士論文が刊行されたものであるので,博論の書き方という視点からも勉強になった。
また細かいところではあるが,新たに知った重要なこととして,進学率を県外進学率と県内進学率にわけて考えることである(第1章第2節)。
県外進学率の定義は、出身高校の所在地県とは異なる県の大学への入学者数を、高等学校卒業者数で除した値である。県内進学率は、出身高校の所在地県と同じ県の大学への入学者数を、やはり高卒者数で除した値となる。よって、県外進学率と県内進学率を足し合わせた値が、全体の大学進学率に一致する。(p.71)
特に地方県に着目して眺めてみると……(中略)県外進学率の高い県ほど、大学進学率全体も概ね高い……(中略)……よって、とりわけ地方県において大学進学率に差が生ずる背景を理解するには、県外進学に着目することが重要である。(p.73)
- 作者: 朴澤泰男
- 出版社/メーカー: 東信堂
- 発売日: 2016/03
- メディア: 単行本
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