松宮慎治の憂鬱

タイトルは友人が考えたもので,某アニメのことはわかりません。

五島綾子(2007)『ブレークスルーの科学』(日経BP社)を読了

標記の本を読了した。
本書の問題意識は,「日本にはブレークスルー(革新的・独創的)の科学研究のシーズが生まれているのに、育てられていない」(p.4)という一言に集約されよう。
その上で,ブレークスルーのシーズを産む場所としては,分野の最先端と,分野と分野の隙間の2か所であることが示されている。
筆者の主張は,分野間の学際的研究を成功させるのは難しいが,個々に確固たる専門領域があること,そして異分野のコミュニケーション能力があることが重要であると指摘する。
また,基礎研究を成功させるためにはむしろ「この研究が役に立たない」という前提に立ち,時間的猶予(本書では「間」と表現されている)を研究者に与え,セレンディピティに期待すべしということを,白川先生の研究を辿ることで提示している。
本書で述べられているようなことは,おそらくは科学の世界では自明である。
では,なぜ「役に立つ」ことを過剰に求められたり,「間」がどんどんなくなっていったりするのか(それが自らの首を絞めるにも関わらず),という点が問題であるように思う。

ブレークスルーの科学 ノーベル賞学者・白川英樹博士の場合

ブレークスルーの科学 ノーベル賞学者・白川英樹博士の場合