松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

野崎昭弘(2017)『詭弁論理学(改版)』(中公新書)を読了

標記の本を読了した。かなりの名作である。本書では,代表的な詭弁と,その対象法が書かれている。
たとえば,大学においてよく聞く詭弁が,「aを認めてしまったら,Aも認めらなければならなくなる。だからaも認められない」というものである。
しかしながら,ここで焦点となっているのはaであり,意図的に焦点をAに拡大するのは詭弁である。

このように「ひとつが倒れれば、全部が倒れる」という理屈を、ドミノ理論という。(p.123)

上記のように,さまざまな詭弁に名称をつけ,解説している。
また,詭弁への対処術も示されている。
ドミノ理論」でいえば,次のとおりである。

(p.133)
(1)「将棋だおし」が本当に起るのか。その現実性はどれくらいか。
(2)ドミノ理論に従うための労力(プラス副作用)と、期待される結果(あるいは予防効果)とのバランスをとれているか。

詭弁に対処する,もしくは無自覚に詭弁を使わないようにするには,数学的必要が不可欠であるように思う。
たとえば,AならばBが成り立つとき,BならばAも同時に成り立つことを暗黙に仮定して議論してくる人がいないだろうか。
高校数学までの基礎的な理解が重要であることを,改めて実感する。

詭弁論理学 改版 (中公新書 448)

詭弁論理学 改版 (中公新書 448)