標記の本を読了した。
本書を読んだ理由は,リンドブロムの提唱した「漸増主義(インクリメンタリズム)」について,基本的な確認をしておきたかったからである。
インクリメンタリズムというのは,端的にいえば政策形成過程において,すべての利害関係者の合意をとりつけることは不可能であるため,「少しの変更を繰り返す」ことにより,政治的に実現可能な決定を重ねていくことを指す。
わかりやすいのは予算で,予算額をちょっとずつ増やすことで改善を重ねる(ことにする)というものである。
このような方法の問題点は,現実解が最重要なので,抜本的な改善は不可能ということである。
まあこれは良いとか悪いとかではない。
それで,インクリメンタリズムは行政学の主要概念のようなのだが,少なくともこの本では中心的に扱われいない(と,自分は感じた)。
政策形成過程に広く焦点をあて,その中の一部のようにしか見えなかった。
このため,当該概念にあたるためには,たぶん英語論文にあたらないといけない。なので,以下にメモを残しておく。
Charles E. Lindblom, "The Science of ` Mudding Through '," Public Administration Review 19 (1959): 79-88
- 作者: チャールズ・E.リンドブロム,エドワード・J.ウッドハウス,Charles E. Lindblom,Edward J. Woodhouse,薮野祐三,案浦明子
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 2004/05
- メディア: 単行本
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