標記の本を読了した。以下にお邪魔するにあたって,ほとんど勉強せずというのも恐縮だったからである。
shinnji28.hatenablog.com
本書の構成は,まずパネル調査とは何か,その現状と概要を説明した上で,実際の分析の説明に入る前に,回帰分析の解説とその限界が指摘される。
具体的には,回帰分析ではバイアスの問題に十分対応できないということが示されている。
なんとならば,バイアスの多くは個体特性に起因するのに,変化しうる属性(たとえば,個人の能力や体力)は観察できないからである。
p.39に,
パネルデータの強みを活かせる分析とは,基本的に変化する変数で変化する変数を説明するものである。
とあるが,この記述もわかりやすい。例として「夫婦の労働時間の変化が家事分担に及ぼす影響」が挙げられている。
こうした原理・原則を踏まえて,具体的な分析手順が基礎編→応用編で示されてゆく。
加えて,パネルデータ固有の問題である,サンプルの脱落についても説明されている。
最後に,具体的な分析事例が7つ掲載されている(論文体で)。
なかなか一発で理解するのは困難で,何回も読み直す必要性を感じているが,素人でもよくわかる内容であった。
- 作者: 筒井淳也,水落正明,保田時男
- 出版社/メーカー: ナカニシヤ出版
- 発売日: 2016/11/30
- メディア: 単行本
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