松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

尾形憲著『教育経済論序説―私立大学の財政』(東洋経済新報社)を読了

標記の本を読了した。
筆者は本書で,

戦前(1934-36年)の私大財政は,ノーサポート・フルコントロール

戦後(1952-70年)の私大財政は,ノーサポート・”ノー・コントロール

戦後(1970-76年)の私大財政は,サポート・アンド・コントロール

であると整理ししている。
戦前(1934-36年)の特徴は,学費依存,文科系の学部学科への依存,私大の都市集中というものであり,にもかかわらずその結果は少数エリートの創出であったという。
また戦後(1952-70年)の特徴は,戦前(1934-36年)の特徴が変わることなく,国家の関心だけが(少数エリート養成の養成という観点から)遠のいたというものである。
その後,戦後(1970-76年)では,私大の質的な位置づけが不正確なまま経常費補助がはじまったとされ,「公共性」と「私事性」の矛盾を抱えたまま,助成による「誘導」ないし「調整」によって,私大が国家の一元的な包摂の下に組み込んでいくのではないかという警鐘が鳴らされている。