松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

サルでもわかる改正免許法案等のポイントと今後の検討課題

既に学内等には報告したところですが,せっかくなのでこちらでもまとめておきます。
あくまで私見なので,丸々盲信いただくと困るなのですが,「まあ,こんなもんじゃないですかね」という程度でとらえてもらえれば幸いです。
いつも思うことですが,こういうのって「サルでもわかる」ことが大事だと思うんです。
だから,できるだけ本質を射抜いて,情報提供することをまず目指していて,そのことによって特に私立大学の多様な教員養成に貢献したいというのが基本的な価値観です。

さて,まず改正免許法案が,おそらく10月19日に公開されました。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/detail/1377981.htm

1.改正免許法案等のポイント

ポイントは,以下の5点です。

文部科学省令で定める教員の資質向上に関する指針を策定する
教育委員会と大学は育成協議会を組織し,①の指針を「参酌」しながら,育成指標や研修計画を定める
教育委員会は,十年者研修を充実させる
④免許法において,「教科に関する科目」「教職に関する科目」「教科又は教職に関する科目」の枠組みを統合し,「教科及び教職に関する科目」とする。ただし,修得すべき総単位数は現行法と同一である
教員研修センターを教職員支援機構に改め,資質に関する調査研究や②を巡る助言,教員免許更新講習の認定の業務を移管する

「参酌」って初めて聞きました。
最初「斟酌」だと思ってたら,よく見たら「参酌」でした。
たしかに,「斟酌」は変ですけど,「参酌」なんて言葉があろうとは……。

2.今後の検討課題

今回の改正免許法案等は,既に衆参両院で受理されているので,年内には可決されると予測されます。
その予測を踏まえた今後の検討課題は,次の2点です。

①再課程認定申請のスケジュールの確認

年初の『馳プラン』に準じれば,次のとおりとなります。
2017年度 再課程認定申請(2017年度末に申請書提出)
2018年度 審査と認定
2019年度 新課程スタート

②カリキュラム改正等の要/不要

上記の法案では枠組みの統合が示されているのみで,大学に与えられる裁量の程度*1が不明です。この点については,「教職課程コアカリキュラムの在り方に関する検討会」*2(来年3月まで)の検討状況と,それを受けた再課程認定申請(課程認定基準の改正含む)次第ということになりそうです。

3.つぶやき

コアカリキュラムの設定をどこまでするか(統制)と,大学の裁量をどの程度認めるかは,常にバッティングしますよね。
この両者がいずれも大,ということはありえないでしょう。
したがって,このバランスが制度上どうとられるかがポイントになりうるというのが現時点での感想です。
コアカリキュラムの議論が再課程認定申請(や,課程認定基準の改正)に降りてきて,事実上,再課程認定申請の審査レベルでふるいにかけられたり,かけられなかったりするということが予測されます。
そうしたときに,コアカリキュラムといっても,厚労省管轄の資格のように,一律に何かを導入するのは困難ではないか,という気がしています。
とはいえ実践演習は一律に導入したわけなので,フェアに考えれば現時点ではなんとも言い難い,という状況でしょうかね。

*1:たとえば,現行の科目を維持したまま,学内規則で枠組みだけを撤廃するということが可能かどうか,等。

*2:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/126/index.htm (2016.10.20閲覧)