松宮慎治の憂鬱

'04京都橘高校卒→'08大阪教育大学卒、私立大学に職員として奉職→'17広島大学大学院教育学研究科博士課程前期高等教育開発専攻修了,そのまま後期課程在学中。とあるきっかけ(http://shinnji28.hatenablog.com/entry/2015/01/10/050000)があって、実名でブログを始めることにしました。特に憂鬱なことはないのですが、大学職員仲間がタイトルを考えてくれたので、そのまま使います。

規制や罰則強めたところで,長時間労働やハラスメントはマシにならないのでは?

言うまでもなく,仕事でいやなことがあったときの対策は,さっさと訴えて,訴えても改善されないなら,退職して別の職場に行くことだ。
でも,長時間労働で消耗したり,ハラスメントにあって力を失っていたりする人には,既にその力がなくなっている。
したがって,力がなくなる前に早めに判断する必要がある。

しかしながら,わが国の労働市場では,「イヤになったら辞める」という早めの判断はきわめて難しい。
特に大企業や大学のような場ではそうだ。
なぜか?そういった市場は,新卒一括採用をとっているからであり,解雇規制が厳しいからだ。
つまり,もっともっと雇用が流動化する必要がある。
「イヤになったら辞める」ということが,簡単にできるようになる必要がある。
「イヤになったら辞める」ということが簡単にできるようになれば,組織の側も環境を整えるようになる。
だって,イヤになった人がどんどん流出すると困るから。

消耗しきったあとの「イヤだな,辞めたい」と,その前の「イヤだな,辞めたい」は全然違う。
できるだけ後者の判断ができるだけの,制度的環境の整備が望まれる。
そして,このことは労働者(そして有権者)の,解雇に対するイメージを変えることとトレードオフでもある。
合わない職場に長いこといるのは不幸だ。解雇=悪ではない。
だが,「身分」を「保証」された方が安心,という価値観に溺れる限り,雇用の流動化は達成しえない。
いとも簡単に解雇が行われるようになって初めて,労働者の苦しさは緩和されていくのである。

とはいえ,このような変化は少しずつやってくるので,今の人間は今の体制下でうまくやるか,体制から抜けて国外に逃亡するしかない。
ここ3年ほどの自身の戦略は,仮に今の職場を辞めてもすぐ別のオファーが来るレベルに市場価値を高める,というものであった。
そうすれば,「いつ辞めてもいいや」というマインドになって,職場でも言いたいことが言える。
「クビにしたいなら,どうぞ」「イヤになったら辞めますんで。俺が気持ちいいように環境を整えなさいや」という強者のメンタルで,言いたいことを言い,やりたいようにやると,怖いものがなくなるからか,不思議と結構仕事もうまくいったりする。
それでも,それは「自分が楽になるにはどうすればよいか」という発想であって,全体に資するものではない。
全員が「イヤになったら辞める」と言いやすいようになるには,どうすればよいのか。それにはやはり,制度的環境と,社会の中の空気みたいなものの変化を待つしかないのだろうか。