松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

村本大輔(ウーマンラッシュアワー)の選挙に関する演説は、ネットTVに留めるにはもったいなさすぎる

アベマTVというインターネットTVが4月から開局している。
その中のアベマプライスという番組で、
ウーマンラッシュアワーというお笑い芸人のボケの方である村本大輔氏が堀潤氏とともにMCを務めている。
その番組の中で彼は先日、「選挙に行ったことがない」と言い、いわゆる炎上が起こった。
しかし実はそれは嘘で、「選挙に行ったことがない」と言うことで意図的に炎上を起こし、
さらに番組内で「選挙に行ったことのない村本に、選挙に行くよう説得する」というコーナーをすることで、
「コンビニの前でタムロしてるヤンキー」や、「堀潤さんと出会う前の自分」に響かせたかった、という種明かしがさきほどなされた。
その一連の演説がすごかった、という話である。
生放送だったので、文字起こしできないのが残念だ。

ぼくなりに解釈すると、彼の根源的な主張は3つだった。
1つは、外形としての投票率よりも、内実としての関心が重要であること。
「投票に行こう。行くことが大事だ」みたいなライトなノリでは意味がない。
もう1つは、そういったライトなノリも含めた投票行動が、社会の上澄みの人たちでなされているということ。
コンビニでたむろしてるヤンキーが、SNSでシェアされた「投票に行こう。行くことに意味がある」的なオシャレな投稿を見て、「行こう」と思えるはずもない。
地上波は毎回選挙特番をやるけれど、事実として投票率は上がっていないじゃないか。
社会の上澄みでない人たちが投票に行くためには、関心にアプローチすることが必要だ。
すなわち、「なぜ、選挙に行くのか?」「選挙とは何か?」といった根源的な問いを、彼らに届かせなければならない。

彼の主張の最後は、そういった社会の上澄みでない人にアプローチするには、自分の足元や生活と関連づけることが必要だということ。
その一例として、彼は自分の家族と親友の話をした。
彼の弟は自衛隊員であり、親友は地元の福井県大炊町の原発で働いている。
自分の投票行動によっては、弟は武器をもって戦地に行くかもしれない。だが弟はそんなことは気にせず投票してくれと言う。
自分は脱原発をしたいけれど、もし本当にしてしまったら、親友は仕事を失ってしまう。
そういう中で自分はある政党に一票を投じた。
しかし、一票を投じたあとに、色んな人からその政党の情報を聞いて、「本当によかったのか」と後悔した。
でも1年後に、「やっぱりあれでよかったんだ」と思うかもしれない。
そういうモヤモヤがいつも残るのが選挙だ、そう言って締めくくった。

今日は、自分が昨日の選挙でどういう考えでどこに投票したか、なんてことを書こうと思っていた。
でも、さきほど番組を見ていまこの文章を書いている。
村本氏の演説は、プレゼンとして完璧だった。
さらにいえば、社会の上澄みでない人たち、勉強もしてこなかった、アホでバカなヤンキーたち、おそらくはかつての自分のような彼らに対する優しさで満ちていた。
端的にいって感動した。