松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

大学行政管理学会20周年記念ページの「寄稿」欄が相当おもしろい

まだ村上義紀氏のものしか掲載されていないが,相当に読ませる内容となっている。
多くの会員が耳の穴をかっぽじって聞くべき内容ではないかと感じる。
特に結びの一文が強烈だ。
「不条理な人間」という言葉には賛成できないが,それ以外のところはかなり正確に,未来を見通されているのではないかという記述である。

 大学の現場から離れて16年にもなるから、最近の大学の動きには不案内だ。それだけではない。その変革の動きが在職中に比べると格段にはやくなっていると聞く。とくに若手の職員の業務量は増大し、多忙になっている。多くの業務が手作業から機械処理されたことから、データの作成も時間との競争になる。そして処理データからの情報を読み取る能力が必要になっている。近い将来は、いわゆる事務作業は機械が処理して判断までするかもしれない。将棋の電脳戦をみても最強のプロ棋士が勝てない。自動車も自動運転の時代が近いといわれる。そうなった時代になれば、判断業務さえも機械が即断、即決して処理してしまうかもしれない。そして事務処理は教員や学生自身がダイレクトに処理して、いままで中間に介在していた事務職員の仕事は不用になるかもしれない。いまでは当たり前になっている銀行預金の出し入れや予約や買い物さえもお客自身が作業をするではないか。大学の事務職が担ってきた業務のなかで、何が変化し、ひとが中間に介在しなくてもよいか、の研究をしておく必要がある。そうなればピラミッド組織の中間管理職は不用となり、機械で判断できない業務だけに対処するフロント人材が重視されて即決、処理するフラットな組織になるのではないだろうか。後方に座って稟議書にハンコを押す管理職は不用の時代がみえる。高度の判断力のあるフロントに配置できる相当数の人材、すなわちフロント・アドミニストレイターと少数のトップ・アドミニストレイターの養成が必要になるのではないか。また、ひとに直接接しない本部の仕事とされる予算、調達、決算等経理の業務と人事の給与計算業務は少人数でできる可能性が高い。職員の新しい仕事は、限りなく学生あるいは教員という不条理な人間に対する教育サーヴィスへとシフトしていくのではなかろうか。とくに学生への教育サーヴィスとは何かを研究し、それに対応できる人材の養成が、わが学会が取り組むべき大きな課題であろう。


3年ほど前,村上さんに初めてご挨拶して,後日御礼のメールをお送りした際,すぐに返信がきて驚愕した覚えがある。
上記の文章もそうだが,若々しさを感じる。
自身が就職した自分は,既に「第二世代」である横田会長の時代であり,村上さんの世代は表現はよくないがいわば「生きた化石」であるとすらいえる。
この世代の方がご存命の間に,多くのことを吸収したいと,この「寄稿」欄をみて決意を新たにした次第である。       

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