松宮慎治の憂鬱

このブログの情報は古く,今後更新しませんので,特に教職課程関連の参照元とすることは避けていただければと思います。ご迷惑かけます。2023.2.19

日本高等教育学会編『高等教育研究』第19集を読了

標記の本を読了した。
こちらは学会誌であるが販売されており,非会員でも購入できる。
特に刺激的だったのは,論稿「薬学教育改革の成果と課題―二段階の「出口」――「就職」と「国家試験」に着目して―」(速水幹也)である。
こちらの論稿では,6年制化以降のいわゆる薬学教育改革について取り上げ,この改革が結果として卒業者の専門職化をおしすすめた(薬剤師が必要な仕事につく人が増えた)一方で,入学難易度の低い大学ではそもそも国家試験に受からないといった実態があり,
しかもそういう学生は専門性の高い教育を受けているので,さりとて他の職を検討することも難しい,といった隘路にあることが実証された。
自身の勤務先にも薬学部があり,得ている実感と整合的な分析であった。
こうした制度化は薬学に限らず,教師教育の分野でも議論されているので,他の分野にも援用可能という意味で,きわめて刺激的,勉強になる論文であった。

高等教育研究におけるIR (高等教育研究 第19集)

高等教育研究におけるIR (高等教育研究 第19集)